令和2年度年末調整を事例で税理士が解説!
こんにちは!
税理士・行政書士の齋藤幸生です!
今回は・・・
令和2年度年末調整を事例で税理士が
解説する記事となります。
事例の前提をもとに
実際の年末調整の計算について
解説を行っていきます。
それでは、スタートです!!
事例の前提
事例は、国税庁から公表されている
令和2年分年末調整のしかたP70から
引用を行いました。
名前:山田太郎さん
給料に関する事項
年間給与総額:8,970,000円
年間源泉徴収税額:350,818円
給与から天引きした社会保険:1,356,867円
保険に関する事項
支払った一般生命保険料(新生命保険)
24,000円
支払った一般の生命保険料(旧生命保険)
36,000円
支払った介護医療保険料:48,000円
支払った個人年金保険料(旧個人年金保険)
72,000円
支払った損害保険料のうち地震保険料
30,000円
支払った損害保険料のうち旧長期損害保険料
19,600円
(支払った地震保険及び旧長期損害保険のうち
同一の契約に基づき支払ったものはない。)
扶養親族関係他
一般の控除対象配偶者(給与所得の金額40万円)
あり
一般の控除対象扶養親族(年齢16歳)
1人
(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額
140,000円
令和2年度年末調整の計算
年末調整の計算の流れ
年末調整の計算は次のようになります。
①給与所得の計算
②所得金額調整控除の計算←NEW
③各種所得控除の金額の計算
④年税額の計算
⑤住宅借入金等特別控除計算
⑥年末調整税額の計算
⑦年調過不足の計算
以下では、上記の流れに沿って計算します。
給与所得の計算
給与所得の計算は
総支給額ー給与所得控除=給与所得
になります。
この点、年末調整実務では
「給与所得控除後の金額の算出表」で
計算すると楽です。
以上のことから
8,970,000円ー1,950,000円=7,020,000円
が給与所得になります。
所得金額調整控除の計算
総支給額が850万円超で、年齢23歳未満の
扶養親族を有するため、所得金額調整控除の
適用があります。
実務上では、
基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼
所得金額調整控除申告の表において判断します。
所得金額調整控除の計算は
(総支給額ー8,500,000円)×10%です。
今回は
(8,970,000円ー8,500,000円)×10%=47,000円
ということになります。
所得控除の計算
社会保険料控除
山田さんは給与から天引きされた
社会保険のみですから
1,356,867円という令和2年分の天引き額が
そのまま、社会保険料控除になります。
生命保険料控除
生命保険料控除の計算は新契約と旧契約ごとに
次の表に当てはめて計算します。
実務上は、保険料控除申告書にて計算します。
①生命保険料(新契約)の計算
24,000円×1/2+10,000円=22,000円
②生命保険料(旧契約)の計算
36,000円×1/2+12,500円=30,500円
③①+②=52,500円>40,000円(新旧の両方の控除限度)
∴40,000円
介護保険料の計算
48,000円×1/4+20,000円=32,000円
個人年金の計算(旧契約)
72,000円×1/4+25,000円=43,000円<50,000円(旧契約の控除限度)
∴43,000円
したがって、生命保険料控除の合計額は
40,000円+32,000円+43,000円=115,000円
となります。
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地震保険料控除の計算
地震保険料控除の計算は次のように
当てはめて計算します。
今回は、通常の地震保険と旧長期損害保険があるので
それぞれ表に当てはめて計算します。
①通常の地震保険
30,000円<50,000円(地震保険の控除限度額)
∴30,000円
②旧長期損害保険
19,600円×1/2+5,000円=14,800円
③①+②=44,800円<50,000円(控除限度額)
∴44,800円
配偶者控除の計算
配偶者控除は
基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼
所得金額調整控除申告の表において計算します。
1⃣山田さんの給料で区分Ⅰを計算します。
今回は給与所得のみなので6,973,000円となります。
区分ⅠはA(4⃣に対応する。)となります。
2⃣奥様の給与所得で区分Ⅱを計算します。
奥様の給与所得は40万円なので
区分Ⅱは②(3⃣に対応する。)となります。
5⃣Aと②が交わるところになるので
結果、配偶者控除38万円となります。
扶養控除
扶養親族は16歳のお子様がいますので
実務上は次の表に当てはめて計算します。
結果として、扶養親族1人となりますから
38万円となります。
基礎控除の計算
基礎控除は
基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼
所得金額調整控除申告の表において計算します。
配偶者控除で出した1⃣で(A)の区分だったので
結果、48万円となります。
以上、所得控除を全部足します。
1,356,867円+115,000円+44,800円+380,000円+
380,000円+480,000円=2,756,667円
年税額の計算
年税額は次のように計算します。
(給与所得ー所得金額調整額ー各種所得控除)
×累進課税ー控除額
山田さんの場合は
7,020,000円ー47,000円ー2,756,667円=4,216,333円
税率を乗じる前は千円未満を切り捨てするので
4,216,000円となります。
実務上、年税額は「令和2年分の年末調整のための
算出所得税額の速算表」で求めます。
表に当てはめると
4,216,000円×20%-427,500円=415,700円
住宅借入金等特別控除計算
今回は与えられているため
140,000円となります。
本来は下図のように計算します。
年末調整税額の計算
年税額415,700円から住宅借入金等特別控除140,000円
を控除します。
①415,700円ー140,000円=275,700円
②①×102.1%=281,489円⇒281,400円(百円未満切捨てします。)
2.1%を乗じる理由ですが
2.1%は復興特別所得税の分です。
年調過不足の計算
年末調整税額281,400円と
給与から天引きされた源泉所得税350,818円
を比較します。
281,400円ー350,818=-69,418円
となりますので、69,418円分が超過額となり
年末調整還付額が発生します。
こちらを1月以降の給料の振込のときに
手取り額に上乗せして支給を行います。
年末調整は分けて作業を行うことが必要
以上のように年末調整の計算の解説を
行ってきました。
年末調整をかれこれ10年以上やってきて
私が思うことは
年末調整は分けて作業を行うことが
必要であることです。
①年末調整に必要な資料の収集
②資料が集まったら資料の確認(本当に全部あるか)
③年末調整の計算
④年末調整の計算の確認
⑤年末調整の過不足の精算
最低でも5工程はかかります。
どこに自社がいるのかを判断して
年末調整実務を行うことが大切です。
編集後記
明日から4連休に突入します。
私はようやくバンド活動を再開させて
明日7カ月ぶりにスタジオに入ります。
コロナの不安がありますので
マイクだけは自前のものを持って行って
使用しようかと思っています。
では税理士・行政書士の齋藤幸生でした!!
それでは、また!
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この記事は、その時の状況、心情で書いています。
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