かんぽ生命の不正営業から考える企業不正と信用の棄損




かんぽ生命の不正営業から考える企業不正と信用の棄損

かんぽ生命の不正営業が問題となっていますが、

問題の本質は、営業が不正だったことではなく、

 

企業として不正を助長させるような評価体制と

不正を働く従業員を雇用している実態です。

 

近年、企業不正は至るところで散見され、

その原因は、自社本位の考えになっている

ことだと思います。

 

今回は、かんぽ生命の問題点を考えて、

企業不正は、自社のブランドを棄損させ、

信用も失わせることを解説します。

 

それでは、スタートです!!

 

かんぽ生命は何がいけなかったのか?

かんぽ生命は何がいけなかったのでしょうか?

 

会社内の問題点は?

まずは、会社内部の問題点を探っていきます。

 

2019年7月11日の日経電子版を見ると、

どうやら営業ノルマ偏重があったようです。

 

つまり、どんどんの契約を取ってこい!

そうすれば、金をやるぞ!!

ということなのだと思います。

 

確かに、営業ノルマは評価体制に必要で、

非常に分かりやすい評価です。

 

しかしながら、それは顧客の利益に反してまで

やって良いことにはなりません。

 

今回は、表層的には、ノルマに起因した、

保険契約の乗り換え、2重契約という手法が、

営業部員に浸透していた可能性があります。

 

また、このような営業ができたのは、

かんぽ生命が、お年寄りから信頼され、

多くの顧客としてお年寄りを囲うことが

できていたから、通用したのではないかと

思うわけです。

 

さぞかし、保険の契約の時には感謝されたと

思いますね。

 

営業部員も初めは、躊躇があったと思いますが、

やっているうちに、マヒしていったと

想像に難くありません。

 

営業ノルマという表層的な評価体制が、

現代にあっていなかった可能性があります。

 

なぜノルマ評価を維持していたのか?

ここで気になるのは、

ノルマ評価を維持していた理由です。

 

というのは、

2017年には金融庁が次のように

方針を出しています。

 

顧客本位の業務運営に関する原則

 

つまり、顧客の求めに応じた商品を

説明して、理解してもらったうえで、

商品を購入してもらう方針です。

 

考えるに、ノルマ評価が社内で大きな

割合を占めていたと推測されますから、

金融庁の方針と真逆のことをやっています。

 

それに、保険の乗り換えをした後の

支払保険料が値上がりしてしまった

状況を考えるに、

 

営業部員は、自分の評価体制を知ったうえで、

自分の評価を上げることに執着があったと

考えることができます。

 

そして、かんぽ生命という会社から見れば、

不正をしようが、何をしようが、

それで会社の利益が上がるなら・・・

というただ乗りをしていたのではないかと

推測することができます。

 

つまり、会社としての言い訳としては、

ノルマ主義があり、営業部員が勝手に不正営業し、

それで利益が上がっただけなんです。

と説明できるわけですね。

 

ある種、確信犯だったのかなあとも

思えるわけです。

 

ですから、ノルマ評価が維持されて、

現状のまま来てしまったと考えられます。

 

また、顧客本位では、営業がうまくいかない

といった凝り固まった考えがあったのでは

無いかと思います。

 

つまり、顧客に全部説明してしまうと、

新商品は、支払保険料が上がり、

旧契約で範囲になっていた病気は保証されなくなり、

顧客から契約を取ることが難しかった

ということだと思います。

 

従って、会社として、顧客本位になって

いなかったのだと思います。

 

顧客本位の保険商品の開発をしていないし、

そのための組織も作っていないわけです。

 

これだけ、変化のスピードが速い社会なのに、

旧態依然とした体制を敷いていることは、

その体制を維持できる現状があったのだと思います。

 

 

企業不正は信用を棄損させる

さて、かんぽ生命は、企業不正によって、

何を失ったのかを考えてみます。

 

企業不正で失うものは?

結論を申し上げると、信頼とブランド力です。

 

失墜したと思いますね。

 

それと、保険業界に対する不信感を

助長させた可能性があります。

 

保険商品は、基本的には、病気、けが、収入減少

といった不測の事態に対する保障を担保します。

 

しかも、かんぽ生命は、郵便局から分離した

組織であるため、信用、ブランド共に、

一から構築する必要はありませんでした。

 

こうなると、保険商品が売れないわけないです。

 

郵便局だと、お年寄りの顧客が多いイメージですが、

基本的には、日本人であれば信頼を寄せるでしょう。

 

それにもかかわらず、今回のような企業不正で

こういった無条件の信用とブランドを自分で

手放したことになってしまったわけです。

 

 

 

 

 

企業不正からの立ち直りは?

かんぽ生命ですが、不利益を受けた顧客に

色々な補償をするようです。

 

例えば、支払過ぎた保険料を返金する、

新契約を旧契約に戻すといった措置です。

 

報道によれば、少なくても10万件に上る

ということらしいです。

 

ですから、これから、少なくとも10万件には、

対処するのだと思います。

 

では、顧客に返金、契約を戻すだけで

信用とブランドが戻ってくるのでしょうか?

 

まあ、今まで通りに戻る顧客は

離れないと思いますが、

 

新規契約については、

厳しい状況を作り出すと思います。

 

理由は、顧客が求めていない商品を

売ったわけですから、

 

それ相応の営業トークがあったはずです。

つまり、まるで、新しい契約が非常に優れた

商品であるように説明する、

 

内容が変わるのに、変わっていないかのように

説明して、新契約に乗り換えさせる、

 

といったことが現場で行われていたと

推測することができます。

 

ですから、人をだます集団がいて、

無理やり契約を結ばされると考える

ことができますね。

 

ですから、事態の収束が図られたとしても

営業は厳しいものになるのは確実です。

 

企業不正は、風化することがありますが、

それには時間が必要です。

 

それに、現代人は、調べることに慣れていて、

自分の意図した答えなのかどうかはさておいて、

リスクがあると思われる場合には、

そのリスク評価をすることになります。

 

もし、営業部員がリスクについて

何も話していない場合には、それだけで

商品購入が難しくなる場面も出てくると

考えます。

 

一度不正をすると・・・

今度は、従業員目線から不正を考えます。

 

初めの方でもちょっと申し上げましたが、

従業員は、自分の評価を上げるためという

本質から逸れた行動をとっていました。

 

初めは、お年寄りをだますことに

良心も痛んだと思いますが、

 

自分の成績が上がって、給料も増えて

という状態を経験していくと、

これでいいや!と思った従業員は

少なくないと思います。

 

そう思ったが最後、どんどん不利益契約を

結ぶことに必死になったはずです。

 

つまり、不正というのは、海水のようなもので、

一度飲んだら、のどが渇いて、飲まずには

いられなくなります。

 

この点、ある程度の不正は仕方ないと

反論する人がいますが、

 

では、そういった人に聞きたいのは、

ご自身のおじいちゃんやおばあちゃんが

上記のような目にあったらどうするのか?

ということですね。

 

信頼していた郵便局の人から進められて、

契約をしたところ、それが相手の給料のためで、

自分のことを何も考えたものではなかったと

知るとどうのように思うでしょうか?

 

それに、もし今回のことが原因で、認知症になった、

ガンになってしまったという状況になったら、

どのように思いますか?

 

まあ、人によっては、そんなの知らねえよ!と

思うかもしれませんが。

 

それであれば、ご自身の親が上記のような

企業不正に巻き込まれたらどうでしょうか?

それで、認知張、病気がちになったとしたら?

 

私が自分で事業をやっていて、

不正に加担しない理由は、

上記のようなことがあるからです。

 

まあ、税理士免許はく奪が一番ではありますが、

不正に加担しても、良いことはないのです。

 

多少、売上が少なくなっても、

手を出さないことが肝要なのです。

 

 

コンプライアンスをプラスに考える

企業不正でよく出てくる言葉に、

コンプライアンスがあります。

 

こちらは、ネガティブな場面で登場するので、

ネガティブな印象をお持ちの方が多いと思います。

 

ですが、よくよく考えてみると、

非常に前向きな言葉だと思います。

 

つまり、法律というルールを守って、

良いことをやって事業を運営していくことと

とらえることができれば、

自分がハッピー、顧客もハッピーです。

 

よく法律関係は守りの経営戦略と言いますが、

私は守りだとは思っていません。

 

むしろ、コンプライアンスによって、

非常に積極的によい商品、サービスを市場に

供給することができるのではないかと

思うわけです。

 

そうなれば、企業不正をする余地はないし、

むしろ、ルールを守ろうとするインセンティブが

働いて、それを従業員評価に落とし込めれば、

みんなが幸せになると思います。

 

 

 


編集後記

今日は、二日酔いですね(笑)

昨日は飲み過ぎました・・・

 

最近、士業事務所の経営戦略本を

読み漁っています。

 

独立してから、今後はコンサルティングが

次の稼ぐキーワードになってくると思っていましたが、

やはり間違っていなかったようです。

 

コンサルティングの先も見据えて、

事業をやって行きたいと思います。

 

 

ではぼっち税理士の齋藤でした~
それではまた👍

 

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この記事は、その時の状況、心情で書いています。
また、法令に関しては、その後改正された場合には、
異なる取り扱いになる可能性があります。

 

 




ABOUT US
齋藤 幸生税理士・行政書士・経営革新等支援機関・ブロガー
都内税理士事務所にて7年間の勤務後独立。 2017年に税理士として独立後は建設業、フォワーディング業、IT業に特化した税務を行っています。また財務支援として資金繰り支援(会社の資金繰りと資金調達支援)を行っています。行政書士としては建設業許可、利用貨物運送事業の許可業務に特化しております。