確定申告を自分でやる
税理士として無料相談に関わっていると、
こんなにも多くの人が自分で申告をするのかと
思うくらい相談事例がたくさんです。
今回は、申告の中身は解説せずに、
手続きの面での話をします。
税理士は税法の中身は詳しい人がたくさんいますが、
手続き関係になるとちょっと疎くなりがちです。
私もご多分にもれず、得意ということではありませんが、
まあ、税務署や国税局の無料相談で培った経験と知識で
解説していけたらなあと思っています。
それでは、一緒に見ていきましょう!!
自分でやる手順
まず、自分で申告を行う手順を確認します。
・申告書の入手
・申告書作成
・申告書を提出
・納付又は還付
以上の流れとなりますね。
例えば、税理士に依頼するとどうなるのかというと、
申告書の作成の基となる資料をご自身で用意して、
後は、納付又は還付ということになります。
要するに、面倒だと感じることは、税理士に依頼できる
ということを覚えておいてください。
申告書の入手
さて、まずは、申告書の入手です。
これは、最寄りの税務署へ行く必要があります。
3年くらい前までは、各人ごとに、前年の申告に合わせて
税務署から申告書が送付されてきました。
現在では、行政コスト削減の政府方針から、
そういったことは行われていません。
自分で取りに行くことが必要ということになります。
上記以外の入手方法としては、国税庁のサイトで、
入手することができますね。
加えて、会計ソフトを導入しているのであれば、
会計ソフトで出力することができるようになっています。
ただ、これも事業や不動産の収入がある人に
限られると思います。
一般的な、給料と医療費控除+ふるさと納税
といったことでは、税務署へ取りに行く、
又は国税庁のサイトで入手になります。
また、後程申し上げる無料電話相談センターにて
郵送依頼をすることができます。
2、3週間かかる場合もありますので、
早めに動くことが必要です。
申告書の作成
申告書の作成に関しては、事業や不動産を
やっている人であれば、会計ソフトの手順に沿って
入力などをしていけば作成完了できますね。
上記以外の人たちはどうするのかというと、
国税庁の確定申告作成コーナーにて作成するか、
入手した申告書に自分で書いていく
ということになりますね。
国税庁の確定申告作成コーナーでは、
原始資料を基に数字を入力するだけになります。
そのあとに、資料を印刷することで、
申告書の作成が完了となりますね。
手書きでやる方は、マニュアルがないと大変です。
ですから、申告書を入手するときには、
申告の手引きも一緒に入手することをオススメします。
こちらは、青と赤の2種類がありまして、
申告書A⇒青
申告書B⇒赤
ということ区分けになっています。
まあ、間違えて赤を取ってきても、
書いてある内容が青よりも多いだけなので
大丈夫ではあります。
その申告書の手引きをもとに、申告書を完成させて
税務署へ持ち込むことになります。
申告書の提出と納付&還付
申告書の提出先は、管轄の税務署です。
もし、納付であれば申告書の提出と一緒に
納付もすることができます。
税務署の係の人に伝えて、納付まで案内してもらう
ということが良いと思います。
還付の場合には、申告書の右下に還付口座を書く
蘭があるので、書いておきましょう。
ここで、ポイントなのです!
還付の口座は、必ず本人名義の口座だけです。
たまに、事業所得がある人で屋号が入っている
通帳を指定してしまう人がいますが、
それだと、還付されません。
申告書の提出の時にもっていくものは、
次のものとなります。
・押印済み申告書(控えも含む)
・添付資料
・ハンコ(認印でかまわない)
・納付金額(納付の場合)
・マイナンバーカード(通知カードもOK)
・身分証明書(健康保険証でもOK)
郵送で済ましたいということであれば、
・押印済みの申告書(控え含む)
・添付資料
・マイナンバーカード又は通知カードのコピー
・身分証明書のコピー
・82円切手を貼った返信用封筒(定型にすること)
郵送で済まして、納付となると、納付書が別途必要なので、
銀行や郵便局で入手することになります。
在庫があれば、問題なのですが、在庫がないと
税務署まで行かないとないので、注意ですね。
あと、提出先についても1点注意点があります。
事業と住んでいる場所が異なる場合
こちらは、住んでいる場所の管轄の税務署へ
申告書を提出することになります。
例えば、住んでいる家が板橋区で、
事業をやっている事務所が新宿区であれば、
板橋区の管轄の税務署へ提出します。
新宿区へ提出したいという場合には、
納税地の住所変更をする必要があります。
確定申告書の提出までに引っ越した場合
こちらは、納税地の異動届出書を書いて、
引っ越した後の住所を管轄する税務署へ提出してください。
ここで、ちょっと面倒なことが出てきます。
申告書の左上のその年1月1日の住所です。
これは、2018年の申告であれば、2019年1月1日の住所を
書く場所なのですが住民税の課税場所の特定になります。
ですから、1月2日以降に引っ越したということであれば、
1月1日は旧住所を書くことになります。
以上、この辺りを参考に申告書の作成をして
やって頂ければと思います。
申告の相談はどうしたら・・・
申告書を自分で作成となるとかなり心配・・・
ということも考えられます。
その場合には、税務署の色々な相談窓口を
頼ることになると思います。
現状では、税務署の確定申告無料相談センター、
税務署の確定申告期間にやっている特設会場
といったところで相談をすることができますね。
確定申告無料相談センター
こちらは、最寄りの税務署へ電話をすると、
確定申告に関する相談は・・・ということで
プッシュホンの番号を案内されます。
その番号を押すと、自動的につながることになります。
ここでは、現役の税理士たちが電話応対してくれます。
税務署の人ではないので、反感を示したようなことを
言ってしまうと、自分にとって良い情報を
教えてくれない場合もあります。
まあ、普通に接してくれれば、基本的には
親切な人たちが多いと思いますので、
頼ってみてください。
ただ、私も従事したことがあるのでわかりますが、
基本的には、所得税と贈与税についての対応です。
相続が絡むなどの事案であれば、
別途税務署へ行くか、税理士に依頼した方が
良いことが多いです。
それで、このセンターの難点は、時間がかかる
ということです。
このセンターを運用しているのは、各局単位です。
東京であれば、東京国税局であり、その管轄のすべての
税務署からの電話が集中する仕様になっています。
非常に込み合います。
常駐している税理士は、約60名くらいなので、
その人たちですべてを引き受けています。
相談内容によっては、一人当たり30分以上は
かかる場合もありますね。
当局の職員からのお願いとして、一人10分を目安に
ということを聞くことがありますが、
そうも言っていられない場面もあります。
また、確定申告作成コーナーの操作についても
相談することができると思います。
私は2018年に従事した時には、
操作対応までやってほしいという依頼がありました。
今年も変わりがなければ、応じてくれると
思いますので、電話してみる価値はありますね。
あと、こちらは営業時間があります。
9:00~17:15までとなっています。
24時間にはなっていませんので、注意です。
単発でのご依頼はこちら!
1 個別相談スポット業務
2 税務調査立会支援
3 DM特別支援業務
4 経営革新等支援業務
5 税務顧問などの顧問業務
税務署の特設会場
こちらは、各税務署単位でやっている会場です。
管轄のすべての人たちが税務署へ来ます。
忙しい時には2~3時間待ちとなる場合もあるようで
大変な混雑を要することになりますね。
また、対応が雑になる場合もあります。
昨年、私が従事していた電話相談では、
特設会場へ行ったのは良いものの、
生命保険料控除の適用を忘れた申告書を
作成されて困っているとの相談がありました。
確定申告期間中だったので、作り直して
もう一度、出しなおすように伝えましたが。
まあ、まれな例だと思います。
12日従事して、2件くらいだったと記憶しています。
恐らく、その場にパソコンを置いて一緒に申告書を
作成するということになりますから、
入力している資料については、一緒に確認しながら
やっていくことで、適用が漏れることがなくなると思います。
税務署としては、数をこなさないといけない
プレッシャーもありますから、急がせないことも
やり方の一つであると思います。
こちらにも営業時間が存在しますね。
受付が8:30~4:00までとなっています。
確定申告期間が終わった後に気が付いた!
それでは、確定申告が終わった後に、
色々気が付くということもありますね。
この辺りの手続きを考えてみましょう!
入れ忘れた収入があった!
この場合には、前提が期限内での申告書を
提出している手続きをすでに取っているので、
修正申告になります。
実際の手続きは、申告書Bと第五表の修正申告書(別表)
というものを書いて、提出することになります。
かかるかどうかは、増える税金によるのですが、
延滞税、過少申告加算税の2つの罰金がかかります。
また、修正申告書の厄介な側面として、
修正申告書を提出した日=増えた税金の納付日
ということに法律上なっています。
ですから、増えた分だけの納税するお金を持っていく
ということも必要となりますね。
入れ忘れた経費や控除があった!
この場合にも、前提として期限内に確定申告書を
提出していることになります。
ですから、更正の請求という手続きとなります。
要するに、税金がさらに返金されるからです。
こちらを適用する場合には、更正の請求書という書類を
提出することになりますね。
ただ、期限があって、法定申告期限から5年以内に
提出しないと、手続きできなくなります。
2019年から5年さかのぼると2014年ということに
なりますので、2013年の確定申告までは、
このブログ作成時点でできることになります。
(2019年2月15日時点)
申告すること自体を忘れていた!!
この場合には、期限内に確定申告書を提出していない
ということになりますね。
ですから、期限後申告という手続きとなります。
申告書自体は、期限内の確定申告書と同じです。
ただ、無申告加算税という罰金がかかります。
現在、税理士が自身の申告を何年間かにわたり
期限後申告をすると、自己脱税で懲戒処分を受けますね。
また、法定申告期限から1ヵ月以内に、自主的に
申告書を提出すれば、無申告加算税はかからないことに
なっています。
余計な金銭的負担がかかる場合がありますので、
期限内で申告をしたいものです。
期限内にきちんと申告した方が良い
ただ、上記の3つには、ちょっと特典があって、
税務調査の対象となる可能性があるのです。
もちろん、金額が多くなれば、税務調査の対象と
なりやすいということです。
期限内に申告すると、申告書すべてをじっくり
検算して確認することまでは税務署もしません。
しかし、期限後に提出した申告書に関して、
もし調査官が疑問を持った場合には、
当然、申告内容について確認することになります。
これが、発端で、税務調査へ発展することが
ありますので、期限内でやっておきたいものです。
どこまでが自分でできる限界なのか?
これは、非常に難しい問題なのですが、
給料+控除という申告であれば、自分でできると
思われます。
ただ、確定申告期間前に、会計検査院は国税庁へ
指摘をしている申告があります。
何かというと、住宅ローンと住宅資金の贈与税の非課税
を適用した申告書について間違いがあり、
税金を取りパクれているという指摘です。
現在も、過去にこうした申告をした人たちに向けて
行政上の紙が送られていると思います。
そして、修正申告を促されていると思われます。
何が言いたいのかというと、今年は、住宅ローン、
住宅資金の贈与税の非課税の適用を受ける人の申告書を
じっくり確認することになると思います。
適当でいいやという申告があり、それを見過ごしてきた
国税庁という2つの側面があったから、現状があります。
ご自身でキチンとした申告書を作成して、
提出できれば、自分の範囲でできる申告だと思います。
しかし、ちょっとでも不安があるということであれば
それは自分の手に余っていることになりますので、
税理士に相談して、自分の手からは放すという
判断をした方が良いと思います。
編集後記
今日は午後から決算のための訪問です。
業界に特化した会計システムなので、
一工夫必要なのです。
昨日、法人2つの申告書作成が完了しました。
個人の1件も作成完了で、申告のみです。
今日行って、申告が必要な2件をどうにかしてきます。
では国際税務の税理士齋藤でした~
それではまた👍
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この記事は、その時の状況、心情で書いています。
また、法令に関しては、その後改正された場合には、
異なる取り扱いになる可能性があります。
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