確定申告で還付になる理由
確定申告をする方の多くは、所得税が還付となることを
期待して、確定申告をすると思います。
それでは、なぜ、確定申告をすると所得税が還付されるのか?
という問いを投げかけると、答えられません。
なぜでしょうか?
要するに、なんかわからないけど、税金は払っている
様なので戻ってくるのではないかと思っているだけの
人たちが多いと思うわけです。
今回は、どうして還付となるのかを考えて見ようと思い、
記事を書くこととしました。
それでは、還付となる原因を見ていきましょう!!
還付となる仕組みを理解する
まず、還付となる仕組みを理解していないと
還付となるかどうかの原因が分かりません。
この記事での還付とは、所得税がお金で戻ってくる
ということを前提としています。
給料で仕組みを理解する
還付となる仕組みで、最も重要なことが
すでに所得税がもらった収入から天引きされている
ということが重要です。
例えば、給料を想像してみてください。
給料は総支給額から次のものが控除されます。
・健康保険、厚生年金
・雇用保険
・源泉所得税
・住民税
以上の4つが控除項目です。
従って、年末調整で戻ってくる還付とは、
源泉所得税のことで、毎月、所得税として天引き
されているからこそ、還付となるわけです。
ただ、年末調整では適用できない項目があります。
ふるさとの納税による寄附金控除、医療費控除です。
こちらを適用しようと思うと、確定申告書の提出が
必要となって来てしまいます。
確定申告と年末調整の差額が還付される
寄附金控除や医療費控除は、所得控除と言って、
所得税の対象となる金額から控除する項目です。
例えば、年末調整で所得税の対象となる金額が、
400万円だったとしたら、
確定申告で、寄附金控除、医療費控除で
所得税の対象となる金額が350万円となった場合、
負担する所得税は当然異なります。
これを確定申告に落とし込んで、実際に金額を見てみましょう!
①年末調整の金額
所得税の対象金額:400万円
所得税:372,500円
②確定申告ベース
所得税の対象金額:350万円
所得税:272,500円
③①と②の所得税の差額100,000円となり、
この差額自体が還付となるわけです。
これはあくまで、すでに所得税として徴収された金額
372,500円という金額があったから還付されています。
もし、年末調整での所得税がゼロの場合には、
戻ってくる税金は存在しません。
従って、確定申告を行っても還付される所得税はなく、
確定申告に意味がなくなります。
何回も申し上げて、恐縮ではありますが、
天引きされた所得税があるから、還付になる仕組みとなっている
ということをご理解して頂きたいと思います。
その収入は源泉徴収されていますか?
源泉徴収を理解する
さて、それでは、世の中には源泉徴収される収入と
源泉徴収されない収入が存在ます。
こちらを理解していない場合にも、
なぜ還付となるのかが分からない場合がありますね。
まずは、源泉徴収とは一体何なのかを理解しましょう!
源泉徴収とは、個人に報酬を支払うときに、
一定の所得税を天引きするシステムを言います。
一般の個人でイメージしやすいのが、勤め人の給料です。
月給から所得税が天引きされることですね。
原則的には、ほとんどの個人へ支払う報酬は
源泉徴収が必要となります。
例えば、士業、作家、特許料、作曲家など
おおよそ先生商売をやっている人であれば、
源泉徴収をされることを多いです。
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源泉徴収されない収入を理解する
では、源泉徴収がされない収入とは一体何なのかというと、
事業所得や不動産所得は原則的に源泉徴収されない収入です。
ここで、事業所得や不動産所得とは、
個人の収入は10種類に分ける必要があって、
その10種類のうちの2つに事業所得と不動産所得という
所得があることになります。
事業所得でイメージしやすいのが、商品販売などの
流通するものの販売です。
不動産所得は、字の通り、アパート、貸家、事務所
といった物件の貸付が対象となります。
これらのものは、売上という収入を総支給額でもらって、
経費を引いて所得(利益)を計算することになります。
ですから、源泉徴収された所得税はありませんので、
還付申告になることはありません。
原則、所得税を納付するということになりますね。
このように、源泉徴収というシステムで納付なのか
還付なのかを簡単に判断することができます。
節税で税金が戻ることは幻想
巷では、節税で税金が戻るといった表現で
記事が書かれることがありますね。
では、本当にそんなことがあり得るのか?
ということになります。
節税で税金が戻ることは幻想です!
例えば、勤め人の場合を考えてみましょう。
先ほどの例で申し上げれば、
①年末調整の金額
所得税の対象金額:400万円
所得税:372,500円
②確定申告ベース
所得税の対象金額:350万円
所得税:272,500円
③①と②の所得税の差額100,000円となり、
この差額自体が還付となるわけです。
このように、10万円も戻るのか!と思うと思います。
②の400万円⇒350万円となるためには、
実際には50万円分に相当する、ふるさとの納税や医療費を
支払っていることが条件となります。
ふるさと納税の計算は、足きりが2,000円と決まっていますので、
ふるさと納税だけで考えると、52万円のお金を支払っている
ことが必要となります。
医療費控除だけで考えると、足切りは10万円となりますので、
60万円のお金を医療費として支払っていることになります。
実際に、こんなにお金を支払うことができる家庭は
限られてくると思います。
現実的には、ふるさと納税は1万円~2万円くらいで、
医療費は20万円くらいが関の山です。
現実に落とし込むと、年末調整で400万円の人は、
確定申告をしても380万円くらいの金額になると思います。
そう考えると、ふるさと納税と医療費控除という節税を
行ったとしても、確定申告での所得税は332,500円となり、
差額は、372,500円ー332,500円=40,000円となって、
所得税は還付となります。
ですから、やっぱり節税になってるじゃん!
と思われると思いますが!
よく考えてほしいのは、40,000円の還付を受けるために、
ふるさと納税で20,000円、医療費控除では200,000円を
お金としては使っている事実があります。
そうすると、40,000円の還付を受けるために、
220,000円を使ったとも考えることができるのです。
私が思うことは、最終的にお金は減ったままでは
ありませんか?ということです。
節税は確かに、税金の還付を増やしてくれます。
しかし、そのために実際に使ったお金が戻ってくる
という訳ではありません。
適用しないよりはマシというだけのものです。
還付と節税について
上記を見てきて、感の良い方は気が付くと思いますが、
還付は、すでに支払った所得税が返ってくるだけ、
節税の効果は、所得税の対象となる金額が存在することが
前提ということです。
この辺りが、多くの納税者が理解していないのではないかと
思うところですね。
ネットで、いろいろな情報が飛び交っている中で、
本質的なことが置き去りにされていると思います。
多くの場合、おいしい話には、裏があり、
その裏こそが本質にたどり着く最短の道なのです。
しかし、それだけ多くの人が税金についての考える機会を
もたらしことも事実ではあります。
何が本当で、何が嘘なのかを見極めるフェーズに
移行しつつあるのではないかと思うのです。
編集後記
昨日で、ようやく1月までにやる法定資料の提出は
完了となりました。
税理士には業務処理簿と言って、申告をしたものを
帳簿に残しておかなといけない制度があります。
一見面倒な制度のように思えますが、
やり残した申告がないかどうかの確認に使えて
便利であると思っています。
では国際税務の税理士齋藤でした~
それではまた👍
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この記事は、その時の状況、心情で書いています。
また、法令に関しては、その後改正された場合には、
異なる取り扱いになる可能性があります。
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