信託は相続税対策となるのか?




昨日の研修で商事信託をやっている会社の
パンフレット

信託は相続税対策となるのか?

信託は相続税対策となるのか?というと
絶対的ではないにしろ、相続税対策に
なると思います。

ただ、一般的な税金対策としての相続税
対策という意味ではないです。

なぜかというと、信託設定=節税という
規定が存在しないからです。
通常の相続であれば、小規模宅地等の
減額が適用できるようにしておく方が
節税になります。

ではなぜ信託が脚光を浴びているかと
いうと・・・、
いわゆる賃貸不動産を持っている富裕層
向けで効果を発揮できるからです。

信託を設定することで、受託者という
物件を管理する管理人を新たに設けて
その人に管理を委託して業務をやるという
ことが可能だからです。

ただ、信託は最近進化してきました。
通常の相続であっても信託を設定すること
が意味のある行為になってきたようです。

例えば、認知症やお子様がいない老夫婦
が信託を設定するケースもあったりする
様です。
こういったことから、だんだんと一般に
普及してくるのではないかと思います。

商事信託と民事信託の違い

信託には、商事信託と民事信託の2つが
あります。

商事信託とは・・・
いわゆる信託銀行や信託会社が、受託者
となって賃貸物件を管理運営して報酬を
得るような形態です。

民事信託とは・・・
家族信託に代表されるように、親族間で
物件を信託する方法です。
家の管理を任せたいので、家を相続する
長男が受託者となって親から家の管理を
任されるといったことです。

ですから、民事信託の場合には、営利物件
以外も信託設定の可能性があります。

商事信託は、現状1社のみがやっている
事実上の独占業務になっているようです。
どうしてそのように言えるのか?というと
昨日言ってきた研修で、商事信託をやって
いる会社の方が言っておられたからです。

商事信託ができる規模としては・・・
月商50万円以上の賃貸物件からで、
新耐震基準を満たしている物件だそうです。
月商50万円以上というのは、そのような
物件でないと商事信託をするメリットが
ないということでした。

ちなみに、信託報酬は不動産収入の5%で
実例を見せてもらったところ、悪名高き
サブリースでの賃貸収入よりも効率の
良い経営状況になっていました。

信託で解決されるものは?

信託で解決できそうなものとしては、
血縁関係のない方に不動産を相続させる
時に信託の設定を行うということが
良いかなと思います。

例えば、父、後妻、父の子、後妻の子
というような親族関係である場合には、
父→後妻→父の子という様に財産を
移転させることが可能です。

相続税法をやった方であればわかると
思いますが、受益者連続信託という
信託になります。

これの課税上の問題点は、後妻、父の子
と2回に分けて相続税又は贈与税がかかる
ということがデメリットなのですが、
父の意向を反映しやすい財産移転です。

ただ、現実的な問題点として・・・
銀行が、信託を理解していないので、
信託口座(信託のための預金口座)を
作ってくれない。

物件に借入などの債務も一緒に引き継ぐ
様にしないと、後妻の子に物件の債務が
移転して、父の子には物件だけが遺贈
される

といったことが起こります。
この様な点に注意して設定をする必要
があります。

まとめ

信託は、相続税対策になります。
ただし、しっかりとした知識と運営、
スキームを作らないと後で問題に
なるケースがあります。

この様なことが起こらないように
積極財産と消極財産の移転プロセスを
しっかりとしなければなりません。

 


編集後記

昨日は、私と提携する会社の研修に
参加してきました!

信託の活用と一般社団法人の活用は
前々からやりたいと思っていたこと
なので、今後の業務に生かせそうです。

 




ABOUT US
齋藤 幸生税理士・行政書士・経営革新等支援機関・ブロガー
都内税理士事務所にて7年間の勤務後独立。 2017年に税理士として独立後は建設業、フォワーディング業、IT業に特化した税務を行っています。また財務支援として資金繰り支援(会社の資金繰りと資金調達支援)を行っています。行政書士としては建設業許可、利用貨物運送事業の許可業務に特化しております。