テロ等準備罪は脱税にも適用がありますよ!!




テロ等準備罪とは?

テロ等準備罪とは、「組織的な犯罪の処罰及び収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律」という法律名です。

 

ものすごく長い名前の法律ですが・・・、一般的には共謀罪という名前として知れ渡っています。昨日、法案としては衆院法務委で可決したようなので、5/23に衆院を通過して参院に送付するようになるようです。

 

実はこの法律、脱税事件にも適用があったりします。どこにあるかというと、別表第三(第六条の二関係)と題されたところに・・・

五十二 所得税法第二百三十八条第一項若しくは第三項若しくは第二百三十九条第一項(偽りにより所得税を免れる行為)又は第二百四十条第一項(所得税の不納付)の罪

五十三 法人税法第百五十九条第一項又は第三項(偽りにより法人税を免れる行為等)の罪

この様に、条文を読む限りは税法上の罰則規定に該当する部分を取り出してテロ等準備罪に当てはめるということになるようです。

脱税の定義(脱税行為)とは?

それでは、ここで脱税行為とはいったいどのような行為をいうのかを確認したいと思います!

脱税行為とは、「実際にあった取引や売上をなかったかのように隠したり(隠ぺい行為)、実際には払っていない経費を払ったかのように見せかける(仮想行為)を用いて、すなわち【偽りその他の不正な行為】により、税負担を違法に軽減する行為」ということになります。

 

要するに隠す、装うその他類似する不正な行為で違法に納付額を減らす行為と言えます。こういったことをすると、当然に税法上の処罰と課税の可能性があります。

脱税した人は団体か?

ここでちょっと疑問が出てきます。脱税した人は組織的犯罪集団なのかどうか?という疑問です。それでは、脱税が規定されている共謀罪の条文を確認してみましょう!

第六条の二 次の各号に掲げる罪に当たる行為で、組織的犯罪集団(団体のうち、その結合関係の基礎としての共同の目的が別表第三に掲げる罪を実行することにあるものをいう。次項において同じ。)の団体の活動として、その行為を実行するための組織により行われるものの遂行を二人以上で計画した者は、その計画をした者のいずれかによりその計画に基づき資金又は物品の手配、関係場所の下見その他の計画をした犯罪を実行するための準備行為が行われたときは各号に定める刑に処する。ただし、実行に着手する前に自首した者は、その刑を減軽し、又は免除する。

別表三に掲げる罪

五十二 所得税法第二百三十八条第一項若しくは第三項若しくは第二百三十九条第一項(偽りにより所得税を免れる行為)又は第二百四十条第一項(所得税の不納付)の罪

五十三 法人税法第百五十九条第一項又は第三項(偽りにより法人税を免れる行為等)の罪

条文を脱税のみに限定して読み砕いていきますと・・・

1.団体のうち、結合関係の基礎として共同の目的が偽りにより所得税又は法人税免れる行為等の罪を実行することにあるものをいう。と読み替えることができそうです。

2.団体の活動として、その行為を実行するための組織により行われるものの遂行を二人以上で計画した者は・・・、二人以上であることが必要なようですので、法人の社長と経理担当者、法人の社長と税理士、個人事業主と税理士といった関係でも二人以上にはなります。続けて・・・、その計画をした者のいずれかによりその計画に基づき資金又は物品の手配、関係場所の下見その他の計画をした犯罪を実行するための準備行為が行われときは・・・、とありますので、脱税を実行するための準備行為が行われたとき、と読み替えることができそうです。

以上の様に、団体なので関係ないじゃん!と言っていても法人や個人と税理士といった関係であっても対象となる可能性が出てくるわけです。ですから一般の人にも関係があるのではないかなと私は思っております。

 

私自身よくわからないのが、脱税の準備行為を行ったとしても税法上の脱税に該当すると共謀罪は考えている様な気がするので、例えば、次のような会話の場合には共謀罪に該当するのかどうかという疑問が生じます。

社長:今年は黒字が計画以上だからさ、先生、法人税の納付を減らす方法がないかな?

税理士:いや、社長、もういっぱいいっぱいの節税をやっているんですよ!これ以上は経費水増しとか、売上の繰延とかしないと無理じゃないかな?

社長:おお!それいいね!じゃあ、売上を繰延べよう!

この様な会話の場合、税理士は無理じゃないかな?といさめていますが、社長は当期の売上を翌期の売上の様に偽ってなかったものとして会計データをつくることでしょう!(これを行うと脱税行為に該当するわけです)では、この会話は脱税の準備になるのかどうか?という疑問なんですよね・・・

税理士がこのような発言をするのが良いのか、悪いのかは別の議論ですが、この税理士としてはいっぱいいっぱいの節税をやっていると言っているわけでして・・・うーんという感じです。

 

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昨日は井ノ上洋一さんのブログセミナーに行ってきました!               ようやくスタートラインに立った気持ちなのですが、新しくブログを進めていきます!   デザインや内容はスカスカの状態なのですが、少しずつ作っていけるのでどうなるのか楽しみです!!




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齋藤 幸生税理士・行政書士・経営革新等支援機関・ブロガー
都内税理士事務所にて7年間の勤務後独立。 2017年に税理士として独立後は建設業、フォワーディング業、IT業に特化した税務を行っています。また財務支援として資金繰り支援(会社の資金繰りと資金調達支援)を行っています。行政書士としては建設業許可、利用貨物運送事業の許可業務に特化しております。