空家の3,000万円控除とは?




今回は相続により取得した空家の3,000万円控除の特例について紹介します。

★3,000万円控除の特例とは?

3,000万円控除の特例とは、現在2つに分かれています。

①ご自宅を売却して譲渡益が発生した場合に、その譲渡益から3,000万円を控除できる仕組み

→従前からある取り扱いになります。

②相続等で取得した被相続人(死亡した方)からその被相続人のご自宅を相続で取得し、

一定の要件を満たして、売却した場合に、譲渡益から3,000万円を控除できる仕組み

→平成28年から新しくできた取り扱いになります。

 

★不動産を売却した場合の所得税の計算方法とは?

ここで、不動産(家屋や土地)を売却した時の所得税の計算について確認します。

売却価格-取得費(家屋や土地を購入した時の金額)-譲渡費用(建物の取り壊し費用)

=譲渡所得

ここで譲渡所得が出た場合には、不動産の所有期間に応じた所得税率を乗じて所得税を納付するということになります。

 

★空家の3,000万円控除とは?

空家の3,000万円控除とは、基本的にはご自宅を売却した場合の取り扱いと同様に、譲渡所得から3,000万円を引くことができる仕組みです。

ただ、要件が複雑なので適用がおおむねできるモデルケースを確認したいと思います。

1.売却物件の要件

①相続で被相続人のご自宅を取得して、空き家となっている。

②その空家を耐震リフォームするか、家屋を取り壊している。

③②のリフォームされた家屋と土地又は家屋を取り壊した土地を譲渡すること。

2.売却時期の要件

相続日から3年を経過する日の年の12/31までに売却する必要があります。

例:平成28年1月1日に相続があった場合

3年を経過する日:平成30年1月1日(1/1が相続開始日の場合には経過した日になります)

上記の12/31なので・・・平成30年12月31日までに売却しなければなりません。

3.相続した空家の状況の要件

①相続開始直前に被相続人が住んでいたこと

②相続開始直前に被相続人以外に住んでいた方がいないこと

③昭和56年5月31日以前に建てられた家屋であること(区分所有の建物は除かれます。)であること→要は、旧耐震基準で建築された家屋ということになります。

④相続開始から売却する日までに完全に空家になっていて、何の用途にも使用していないこと

4.売却金額要件等

①売却金額が1億円以下となること

②家屋と土地を譲渡する場合には、家屋を現行の耐震基準にあったリフォームをしていること

以上4つの要件が必要となります。それぞれの要件の名前は、分かりやすくするために私が独自につけた要件ですので、所得税で規定されている適用要件の名前ではございません。

このように、複雑な要件になっていますので最寄りの税務署の資産税課や税理士へ相談に行くことをお勧めいたします。

 

★現実的な問題点がありますよ

この空家の3,000万円控除の特例を適用しようとすると、税理士によって適用できるできないが大幅に変わることがありますのでご注意をお願いします。

例えば、売却金額が1億円以下という要件がありますが、これには固定資産税の清算金も含めて判断します。したがって、その金額を考慮にいれて売却金額の指南をしてくれるかといった柔軟な対応をしてくれるかどうか?ということが重要になってきたりします。

また、この空家の3,000万円控除の特例は、現行法令上、生涯で1回のみの適用になります。

したがって、ご自宅を売却した場合の3,000万円控除との適用関係、ご自宅の買換えの特例、住宅ローン控除といった重複できる規定、できない規定が存在しますのでどういった適用関係を行えば一番納税者の方に有利になるのかといったことも指南してくれる税理士を探す必要があります。




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齋藤 幸生税理士・行政書士・経営革新等支援機関・ブロガー
都内税理士事務所にて7年間の勤務後独立。 2017年に税理士として独立後は建設業、フォワーディング業、IT業に特化した税務を行っています。また財務支援として資金繰り支援(会社の資金繰りと資金調達支援)を行っています。行政書士としては建設業許可、利用貨物運送事業の許可業務に特化しております。