【令和8年税制改正要望】金融庁の要望事項を3つに絞って解説

税制改正 要望 令和8年




【令和8年税制改正要望】金融庁の要望事項を3つに絞って解説

こんにちは!

 

税理士・行政書士・社会保険労務

の齋藤幸生です!

 

今回は・・・

令和8年税制改正要望について

金融庁の要望を3つに絞って

解説します。

 

それでは、スタートです!!

 

上場株式等の相続税に係る見直し

金融庁の要望では具体的な

評価方法について言及は

行われていませんが

 

施策の必要性を確認すると

おぼろげながら評価方法について

見えてきます。

施策の必要性

相続財産となった上場株式等は、原則として、相続時点の時価で評価される。 他方、上場株式等は、相続後納付期限までの間における価格変動リスクが大きいにもかかわらず、不動産等と異なり時価の100%で評価されること等から、相続前に売却され、他の資産への買換え等が行われるケースがみられるなど、国民の資産選択に歪みを与えているといった指摘がある。

 

という主張のようなので

不動産等と同様に時価よりも

一定程度低く評価する方法を

要望していると考えられます。

 

現行の相続税における

上場株式の評価方法は

以下のようになっています。

 

次の3つの価額のうち最も低い価額とします。

・課税時期の属する月の毎日の最終価格の月平均額

・課税時期の属する月の前月の毎日の最終価格の月平均額

・課税時期の属する月の前々月の毎日の最終価格の月平均額

これらが国税庁のサイトにアップ

されていて上場株式の評価として

参照し金額を計算します。

 

こちらの評価方法の問題点は

課税時期という被相続人が

亡くなった日にちに近く

 

相続開始前に売却を行って

他の資産への買換えを行い

 

時価よりも低く評価できる

状態にするといった行動が

あると金融庁は指摘しています。

 

金融庁としては不動産等では

概ね時価の80%とされている

金額に近い評価方法に変更すれば

 

上場株式をそのまま保有して

相続することで

 

納税者の資産選択のゆがみを

一定程度改善できるのでは

ないかと考えているようです。

 

 

死亡保険金の相続税非課税限度額の引上げ

金融庁が要望している計算は

次のようになっています。

現行の限度額に配偶者及び未成年の被扶養法定相続人の数×500を加算すること

 

まず現行の限度額を確認

してみたいと思います。

500万円×法定相続人の数

とされています。

 

金融庁が要望しているのは

上記にさらに加算するという

ことになりますので

具体例を考えてみます。

 

世帯構成:夫、妻、子(未成年)

被相続人:夫

この場合の金融庁が要望している非課税限度額では

法定相続人:妻と子の2名

(2×500万円)+(1+1)×500万円=2千万円

このような計算をするのでは

ないかと考えられます。

 

 

 

計算でわかる通り死亡保険金の

非課税限度額が現行制度よりも

増える可能性があります。

 

このような要望をしているのは

・死亡保険金が遺族の生活資金としての目的だから

・相続税の基礎控除の引き下げで相続税の課税対象者が増加し、死亡保険金の重要性が高まっている

としています。

 

もし夫が亡くなったときの

財産が持ち家と死亡保険金だけ

ということであれば

 

相続税の税負担はゼロになる

可能性があります。

 

しかし、いろいろな財産を持ち

相続税を納付することになった

としたら

 

相続税を納付するための

お金には死亡保険金として

受領したお金も流用される

可能性があります。

 

生活費目的なのに納税資金として

使われるとなると

 

当初予定していた使い道とは

異なることはあり得るかも

しれません。

 

 

生命保険料控除制度の恒久化等

令和7年税制改正で見直された子育て世代の生命保険料控除を恒久的措置にすること

を金融庁は要望しています。

 

改正の経緯を確認します。

 

令和7年税制改正では

所得税の生命保険料控除について

 

23歳未満の扶養親族がいる場合の

一般の生命保険料控除の控除額は

2万円上乗せになりました。

 

ただし、適用は令和8年からになり

さらに令和8年だけの限定措置

とされています。

 

金融庁の要望が通れば

23歳未満で一般の生命保険料控除

限定ですが

 

令和8年以降も2万円の上乗せが

継続することになります。

 

今回の要望の背景では要望の

妥当性で次のように説明されて

いるところです。

子を扶養する国民が加入している死亡保険金額は平均で1,348万円だが、遺族が必要と考えている死亡保険金額は2,289万になり、現状では6割にとどまっている。

 

言いたいことは生命保険に加入

受け取ることができる死亡保険金を

増加させるためには

 

生命保険料控除の上乗せ措置は

今後も必要であるという意味だと

解釈します。

 

先ほど申し上げた相続税の

死亡保険金の非課税限度額の

 

上乗せ措置とも整合性が

とれるところです。

 

 


編集後記

各省庁とも税制改要望として

長年行っている施策があります。

 

今回紹介したものでは

上場株式の評価では平成28年から

継続要望していますし

 

死亡保険金の非課税限度額の

上乗せ措置は平成3年から

となっています。

 

基本的に税収を減らす仕組みを

要望するためなかなか

 

税制改正へ反映されない

ことが多い状況です。

 

 

 

では税理士・行政書士・社会保険労務士

の齋藤幸生でした!!

 

それでは、また!

 

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この記事は、その時の状況、心情で書いています。
また、法令に関しては、その後改正された場合には、
異なる取り扱いになる可能性があります。

 

 




ABOUT US
齋藤 幸生税理士・行政書士・経営革新等支援機関・ブロガー
都内税理士事務所にて7年間の勤務後独立。 2017年に税理士として独立後は建設業、フォワーディング業、IT業に特化した税務を行っています。また財務支援として資金繰り支援(会社の資金繰りと資金調達支援)を行っています。行政書士としては建設業許可、利用貨物運送事業の許可業務に特化しております。