【個人事業主】事業用車両を買い替えた場合の処理を税理士が解説

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【個人事業主】事業用車両を買い替えた場合の処理を税理士が解説

こんにちは!

 

税理士・行政書士・社会保険労務

の齋藤幸生です!

 

今回は・・・

事業用車両を買い替えた場合

の処理について解説します。

 

消費税や分割払いの金額が

残っていることについても

触れていきます。

 

前提として事業用車両は

100%事業に使っているもの

として解説します。

 

それでは、スタートです!!

 

通常の事業用車両の買い替えの処理

買い替えた場合の処理では

売った取引と買った取引

を分けて処理します。

 

事業所得では事業用車両を

売った場合の処理は

 

売却損又は売却益の発生が

考えられます。

 

いずれも事業所得では認識

しません。

 

例示として次のようなことを

考えてみます。

車両の帳簿価額:100万円

売却金額(車の買取価格):110万円

買い替えた車の価格:500万円

買取価格は買い替えた車に充てて、残りの金額400万円を事業用通帳から支払った

という場合には

 

売却の処理では

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額
事業主貸 110万円 車両運搬具 100万円
事業主借 10万円

といった感じで売った車両の

消込処理をします。

 

売却益が出たとしても

事業所得では利益になりません。

 

購入の処理では

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額
車両運搬具 500万円 事業主貸 100万円
普通預金 400万円

このように買い替えで取得した

車の認識をします。

 

今回の例示ではお金は400万円

の振り込みにのみにしましたが

 

車の購入金額は500万円なので

あくまでも帳簿にのる金額は

 

支払った400万円ではなく

500万円になる点がポイントです。

 

処理は上記の通りになりますが

事業用車両を売った場合には

所得税の譲渡所得になります。

 

譲渡所得は車の所有期間が

5年を超えている場合には

長期譲渡所得になり

 

5年を超えていない場合には

短期譲渡所得になります。

 

計算方法はそれぞれ次のように

なっています。

①長期譲渡所得
{譲渡価額-(取得価額+譲渡費用)-50万円}×1/2

②短期譲渡所得
譲渡価額-(取得価額+譲渡費用)-50万円

 

譲渡価額とは一般的に売った

金額になります。

 

取得価額とは一般的に

帳簿上の車両運搬具の金額です。

 

つまり、減価償却費を控除した

金額になります。

 

分割払いの金額が残っている場合の買い替えの処理

対して、残価保証が設定されて

買替の時に分割払いの金額が

残っている場合を考えます。

 

次のような例示とします。

車の帳簿価額:100万円

分割払いの残金:180万円

売却金額(買取価格):190万円

買い替えた車の価格:600万円

売却金額は分割払いの残金に充てるものとし、差額10万円は買い替えた車の価格に充てる

590万は分割払いとした。

 

売却の処理

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額
事業主貸 190万円 車両運搬具 100万円
長期未払金 180万円 事業主借 270万円

 

このように会計処理では貸借を

合わせるため

 

売却益があったとしても

事業所得では処理しません。

 

先ほどの例示と同じ考え方

になります。

 

 

購入の処理

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額
車両運搬具 600万円 事業主貸 10万円
長期未払金 590万円

 

このように車の認識は

購入金額600万円で認識します。

 

590万円ではない点が

ポイントになります。

 

分割払いの金額は実務上で

長期未払金という科目で

処理します。

 

分割払いの金額を支払う場合は

長期未払金を消し込む処理になり

 

分割払いの金額は事業所得の

経費にはならない点も

ポイントになると考えます。

 

買替の消費税の課税対象金額とは

インボイス発行事業者の場合は

課税事業者になるため

 

上記とは少し異なる処理を行う

必要があります。

 

なぜなら、帳簿上で消費税の

課税対象金額を認識する

処理が必要になるためです。

 

前提として税込経理方式とします。

車の帳簿価額:100万円

分割払いの残金:180万円

売却金額(買取価格):190万円

買い替えた車の価格:600万円

売却金額は分割払いの残金に充てるものとし、差額10万円は買い替えた車の価格に充てる

590万は分割払いとした。

こちらを前提に処理を解説します。

 

売却の処理

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額
事業主貸 190万円 雑収入(課税売上10%) 190万円
長期未払金 180万円 事業主借 270万円
雑収入(対象外) 190万円

といった処理になります。

 

2行目の雑収入は消費税の

課税対象金額である

 

車両売却収入の190万円を

認識する処理をします。

 

これをしませんと消費税の

計算が正しくできません。

 

消費税の税区分では

課税売上10%を設定して

会計ソフトに入力します。

 

ただ、事業所得では売却収入は

収入にならないので

 

3行目で消込を行って認識を

削除する処理が増えます。

 

3行目の雑収入は消込だけ

なので消費税の税区分では

対象外に設定をします。

 

購入の処理

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額
車両運搬具(課税仕入10%) 600万円 事業主貸 10万円
長期未払金 590万円

 

購入の処理は消費税の

税区分のみ課税仕入10%を

追加しています。

 

なお、売却で譲渡益が出る場合は

先ほどの譲渡所得の課税対象に

なりますから

 

計算方法は消費税の課税事業者

であろうがなかろうが

 

計算方法は同じ方法で行い

所得税の課税対象になります。

 

 


編集後記

個人では法人と異なり

全部の収入を一つの計算で

できないことになっています。

 

なぜなら、所得税は収入に応じて

計算方法が異なるからです。

 

車が完全な生活用メインである

場合には日常生活に必要なもの

になるので

 

所得税の課税対象にはなりえません。

非課税です。

 

 

では税理士・行政書士・社会保険労務士

の齋藤幸生でした!!

 

それでは、また!

 

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この記事は、その時の状況、心情で書いています。
また、法令に関しては、その後改正された場合には、
異なる取り扱いになる可能性があります。

 

 




ABOUT US
齋藤 幸生税理士・行政書士・経営革新等支援機関・ブロガー
都内税理士事務所にて7年間の勤務後独立。 2017年に税理士として独立後は建設業、フォワーディング業、IT業に特化した税務を行っています。また財務支援として資金繰り支援(会社の資金繰りと資金調達支援)を行っています。行政書士としては建設業許可、利用貨物運送事業の許可業務に特化しております。