【建設業】売上の処理と売上から控除されている経費の処理を税理士が解説

建設業 工事台帳




【建設業】売上の処理と売上から控除されている経費の処理を税理士が解説

こんにちは!

 

税理士・行政書士・社会保険労務

の齋藤幸生です!

 

今回は・・・

建設業の会計処理方法で

売上と売上から控除されている

経費の処理を解説します。

 

それでは、スタートです!!

 

売上と売上から控除されている経費の処理

建設業特有のこととして

あなたが請求した金額から

 

現場でかかったいろいろな

経費が控除されていること

があります。

 

経費では応援とか道具代とか

宿舎代などがあると思います。

 

さて、こういった場合の

会計処理方法は以下の通りです。

①売上の会計処理
売上は経費が控除される前の金額で処理をします。

②経費の会計処理
経費は内容ごとに科目を分けてそれぞれに対応する金額で処理します。

 

例えば、以下の場合を考えて

見たいと思います。

①売上を請求した金額:110万円

②取引先から控除された経費関係
応援代:33万円
材料代:11万円
道具代:5万円
宿舎代:3万円

 

一般的に起こる会計処理のミスは

110万円という売上から経費関係

を控除した金額で売上として

処理してしまうことです。

 

今回の例示であれば

110-33-11-5-3=58万円

で売上の金額にしてしまう

といったことです。

 

本来は以下のように処理します。

①売上:110万円

②経費関係
応援代:外注加工費33万円
材料代:材料仕入11万円
道具代:消耗品費5万円
宿舎代:地代家賃3万円

 

 

売上は総額にしなければならない理由

売上を総額にしなければ

ならない理由を解説します。

 

法人税、所得税の課税対象は

所得という事業利益が対象です。

 

したがって、法人税や所得税の

計算上では売上は純額で処理しても

 

そこまで大きな問題には

ならないと考えられます。

 

実務上の問題点は

消費税

になります。

 

消費税の課税対象は

課税資産の譲渡等の対価の額

とされています。

 

課税資産の譲渡等の対価の額とは

資産の譲渡、資産の貸付、役務の提供について受け取る金額又は受け取るべき金額

とされています。

 

 

現実に当てはめると

売上としてあなたが請求した金額

が課税資産の譲渡等の対価の額

になります。

 

ではなぜ売上から経費を控除した

金額が

課税資産の譲渡等の対価の額

にならないのかというと

 

国税庁が公表する通達

10-1-1の最終行において

その譲渡等に係る当事者間で授受することとした対価の額をいう

とされているからです。

 

日本語にすると

あなたが請求書を出して

 

取引先と決定した金額が

授受することとした対価の額

になるからです。

 

対価の額から控除される

経費関係は別の取引と考えられ

 

売上から経費関係を控除した

純額で売上を処理することは

認められないことになります。

 

純額で売上を処理していると起こること

実務上のポイントとして

純額で売上を処理しており

 

消費税の免税事業者として

処理をしていることを前提に

しておきます。

 

その後税務調査が入って

起こることを考えます。

 

税務調査では帳簿資料と

請求書の突合せが行われて

 

おそらく売上が純額で処理

されていることを指摘されます。

 

するといつから消費税の

課税事業者になっていたのか

ということが問題です。

 

消費税の課税事業者の判定は

①個人事業主
2年前の課税売上高が1千万円を超えること

②法人
前々事業年度の課税売上高が1千万円を超えること

とされています。

 

一般的には税務調査の対象期間は

3年間になりますので

 

調査対象の最も古い年の2年前の

課税売上高の金額から確認されて

 

調査対象期間中に課税事業者に

なっていないかどうかが確認

されることになります。

 

調査対象期間中のすべてが

免税事業者ではなく

 

課税事業者であると確認された

場合には3年間にわたって

 

消費税が無申告状態に

なっているので

 

消費税の納付と罰金が

3年にわたって課税されてしまう

恐れがあります。

 

 


編集後記

消費税というのは実務上で

最も恐ろしい税金です。

 

というのは会計処理方法で

免税から課税に変わってしまうとか

 

事前に手続きをしておかないと

納付額を減らすことができる

計算方法を選択できないとか

 

といったことが起こる

税金になります。

 

今回の例では免税から課税に

なる恐れがありますが

 

この場合の計算方法では

事前に手続きをしていないので

実額計算になり

 

法人はともかく個人では

ほとんど経費がないため

 

売上に対応する消費税の

多くを納付するような計算

になる可能性がありますね。

 

それが最低でも3年分に

わたっていきなり納付を

要求されるのですから

 

事業者としてはかなり困った

状態になるのではないかと

考えられます。

 

 

では税理士・行政書士・社会保険労務士

の齋藤幸生でした!!

 

それでは、また!

 

youtube始めました!
税理士さいとうゆきおチャンネル
現在活動中止しています。

 

税務顧問や執筆などのご依頼はこちら↓

Liens税理士事務所 齋藤 幸生ホームページ

 

この記事は、その時の状況、心情で書いています。
また、法令に関しては、その後改正された場合には、
異なる取り扱いになる可能性があります。

 

 




ABOUT US
齋藤 幸生税理士・行政書士・経営革新等支援機関・ブロガー
都内税理士事務所にて7年間の勤務後独立。 2017年に税理士として独立後は建設業、フォワーディング業、IT業に特化した税務を行っています。また財務支援として資金繰り支援(会社の資金繰りと資金調達支援)を行っています。行政書士としては建設業許可、利用貨物運送事業の許可業務に特化しております。