【新リース会計基準】リースの借手の法人税の取扱いを税理士が解説
こんにちは!
税理士・行政書士・社会保険労務
の齋藤幸生です!
今回は・・・
新リース会計基準における借手の
処理と法人税法の取扱いについて
解説します。
それでは、スタートです!!
新リース会計基準とは
令和6年9月に企業会計基準委員会
から「新リース会計基準」が公表
されています。
国税庁が公表している
新リース会計基準に対応する改正
を基に確認してみます。
リースの借手の処理
オペレーティングリースとファイナンスリースの区分を廃止し、使用権資産とリース負債を計上する単一の会計モデルを採用する。
新リース会計基準の適用開始
原則:令和9年4月1日以後に開始する事業年度の期首から適用する
早期適用開始:令和7年4月1日以後に開始する事業年度の期首からも認める
中小企業:中小企業の会計に関する指針又は中小企業の会計に関する基本要領でも可能
要するに、監査法人による監査が
必要ではない中小企業などでは
引き続き賃貸借取引をしても
問題ないことになります。
言い換えると、新リース会計基準に
沿った会計処理をする必要はない
ということになります。
結論は上記の通りなのですが
問題はインボイス制度です。
もし賃貸貸借処理を行って
支払った金額をリース料などの
勘定科目で経費処理をする場合
支払の都度、リース会社から
インボイスの提供を受ける
必要があります。
インボイスの記載事項に沿った
書類が準備できれば
仕入税額控除は100%控除可能で
そうでなければ一部制限された
仕入税額控除の計算になります。
新リース会計基準の法人税の取扱い
では、新リース会計基準に対応する
法人税法上の取扱いを確認します。
改正が行われたのは
・借手側の処理でオペレーティング・リース取引の賃貸借取引
・ファイナンス・リース取引のリース期間定額法の処理
についてです。
オペレーティング・リースについて
引き続き、賃貸借取引として支払賃借料の額を損金算入(法53条)
国税庁 新リース会計基準に対応する改正より引用
とされました。
つまり、新リース会計基準の公表前
と一緒ということになります。
適用開始時期
令和7年4月1日以後に開始する事業年度から
とされています。
実務上のポイントとしては
・損金算入では、支払うこととされている金額のうち債務の確定した部分の金額
・支払うこととされている金額の範囲は以下の金額は除かれる
①資産の賃借のために要する費用の額又は事業共用するために直接要する費用の額
②原価や固定資産の取得に直接要した費用の額、繰延資産となる必要の額国税庁 新リース会計基準に対応する改正より引用 一部筆者加筆
債務の確定した部分の金額は
販管費における損金算入の
判断と同一の考え方です。
除かれる金額はいわゆる
付随費用は一時の費用にならない
という考え方になります。
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話は変わりまして
リース期間定額法の改正です。
こちらも借手の処理です。
見直しがあった2点
所有権移転外リース取引が前提になります。
・リース期間定額法ではリース期間定額法に含まれている残価保証額を控除しない
・リース期間経過辞典に1年(備忘価額)まで償却できる
国税庁 新リース会計基準に対応する改正より引用 一部筆者加筆
現行制度の所有権移転外リース取引
のリース期間定額法では
残価保証額
の取扱いがポイントでした。
以下のように計算しています。
現行制度のリース期間定額法
①リース資産の取得価額ー残価保証額
②①×その事業年度のリース期間の月数÷リース資産のリース期間の月数
残価保証額を控除しないで
計算してしまうと
リース期間定額法で計算された
減価償却費が過大計上になって
しまいます。
適用開始時期
令和9年4月1日以後に締結された所有権移転外リース取引
とされています。
事業年度で分けていませんので
取引開始日が令和9年4月1日以後
開始であれば
事業年度に関係がなく適用される
ルールになります。
適用開始日以降に契約された
所有権移転外リース取引では
残価保証額を控除しませんので
現行制度よりも減価償却費は
多く計上可能です。
納税者の法人税を減価償却費で
合法的に減らすことができる
ようになると考えられます。
リース期間定額法の見直しの経過措置
上記のように残価保証額を控除
しない見直しが行われると
令和9年3月31日までに締結された
所有権移転外リース取引と
令和9年4月1日以後に締結された
所有権移転外リース取引とで
法人税の計算で適正な税額計算が
できないことになってしまいます。
例えば、令和9年3月中に
契約をしてしまうと
残価保証額を控除しなければ
ならなくなってしまい
減価償却費の金額は
令和9年4月1日以降に契約した
ものと比べて
残価保証分だけ費用計上が
少なくなってしまいます。
これに対応するため
現行制度のリース期間定額法
に代えて
経過リース期間定額法
という計算方法により
令和9年4月1日以降の
リース期間定額と同じような
処理ができるようになります。
適用開始時期
令和7年4月1日以後に開始する事業年度から
となります。
経過措置は事業年度ごとなので
実務上のポイントになります。
経過リース期間定額法の適用
を受ける場合には
以下の要件があります。
・すべての所有権移転外リース取引について経過リース期間定額法を受ける必要がある
・経過リース期間定額法を採用しようとする事業年度の確定申告書の提出期限までに一定の事項を記載した届出書の提出が必要になる
国税庁 新リース会計基準に対応する改正から引用 一部筆者加筆
編集後記
中小企業が取引したリース
については以下のように
処理が分かれることになります。
オペレーティング・リースは
現状と同じ支払リース料として
経費計上
所有権移転外リース取引は
リース期間定額法を行い
令和7年4月1日以後開始事業年度
からは経過リース期間定額法を
選択して償却
所有権移転リース取引では
現行制度と同じく
通常の減価償却の計算方法で
処理を行う
実務上のポイントは
所有権移転外リース取引の
償却方法になると考えられます。
では税理士・行政書士・社会保険労務士
の齋藤幸生でした!!
それでは、また!
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この記事は、その時の状況、心情で書いています。
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