【簡易な扶養控除等申告書】実務上の運用を税理士が解説

扶養控除等申告書




【簡易な扶養控除等申告書】実務上の運用を税理士が解説

こんにちは!

 

税理士・行政書士・社会保険労務

の齋藤幸生です!

 

今回は・・・

簡易な扶養控除等申告書の

実務解説になります。

 

それでは、スタートです!!

 

簡易な扶養控除等申告書とは?

令和5年税制改により簡易な申告書の創設がされました。

 

簡易な申告書とは

扶養控除等申告書に一定の異動事由がない場合に「前年から異動がない」旨を記載した申告書

 

一定の異動事由がない場合とは

・給与等の支払者の氏名又は名称

・所得者が特別障害者若しくはその他の障害者又は勤労学生に該当する場合にはその旨及びその該当する事実並びに寡婦又はひとり親に該当する場合にはその旨

・同一生計配偶者又は扶養親族のうちに同居特別障害者若しくはその他の特別障害者又は特別障害者以外の障害者がある場合には、その同一生計配偶者又は扶養親族に関する事項

・源泉控除対象配偶者に関する事項

・控除対象扶養親族に関する事項

・2以上の給与等の支払者から給与等の支払を受ける場合には、源泉控除対象配偶者又は控除対象扶養親族のうち、主たる給与等の支払者から支払を受ける給与等について徴収される所得税の額の計算の基礎としようとするものの氏名

・上記の同居特別障害者若しくはその他の特別障害者若しくは特別障害者以外の障害者又はニの源泉控除対象配偶者(上記への場合に該当するときは、上記への源泉控除対象配偶者に限ります。)が非居住者である場合にはその旨及び控除対象扶養親族に該当する事実

・その他の事項

になります。

 

上記でまとめたものについて

全く異動がなければ

 

扶養控除等申告書に

「前年から異動はない」と

書くことが可能になります。

 

簡易な申告書の提出ができるのは

令和7年1月1日以後に支払いを受ける

べき給与等について提出する

扶養控除等申告書

からになります。

 

つまり、令和7年分の扶養控除等申告書

から簡易な申告書になります。

 

 

簡易な扶養控除等申告書の実務の対応

さて、簡易な申告書での提出について

実務の対応を確認してみます。

 

簡易な申告書ではすべて前年と

同様になってしまいます。

 

現実には、令和6年分の扶養控除等

申告書と同様になります。

 

実務上の問題点は2つあります。

①最後に提出された親族情報について管理をしておくこと

②最後に提出された親族情報以外の内容を確認できるようにしておくこと

 

提出された親族情報については

給与計算ソフトで入力して

年末調整をする手続きがあるため

難しくはないと考えます。

 

しかし、従業員の申告に異動が

あったにもかかわらず

ずっと簡易な申告書で提出してくる

可能性があります。

 

こうしたことを未然に防ぐため

年末調整などでは親族関係の

情報に異動がないかどうかを

 

従業員に最終確認を行い

簡易な申告書での提出になるのか

 

通常の扶養控除等申告書を

提出してもらうのかを判断させる

必要が出てきます。

 

別の観点から申し上げると

追加の親族があり社会保険の

扶養に追加があった場合には

 

追加があった都度

扶養控除等申告書を提出して

もらうといった対応も問題ないです。

 

まとめると

年末調整で都度確認を促すか、社会保険の扶養の追加の時に扶養控除等申告書の提出をしてもらうかになります。

 

 

 

前年から何事も異動がない場合に

簡易な申告書を提出できると

されていますが

 

どの程度までの異動がない場合

をいうのかが実務で混乱します。

 

以下が問題となりえます。

①配偶者の見積もり所得が少額でも増減した場合

②扶養控除の対象者の所得が少額でも増減した場合

③障害等級が4級から3級になったが一般障害者で継続する場合

 

要するに配偶者であれば

配偶者控除から適用関係は変更ないが

 

所得が増減するとかなどの場合に

異動があったものされるのかです。

 

上記のように、配偶者控除で

変更がない場合

 

扶養控除を継続できる所得が

維持される場合

 

障害等級の変更はあったが

通常の障害者控除で維持される

場合といったときの異動は

 

異動がなかったものとして

取り扱って差し付けない

とされています。

 

ただし、次のような場合には

異動があったものとされるので

実務上のポイントです。

①扶養親族が老人扶養親族になった場合

②控除対象扶養親族が特定扶養親族になった場合

③特定扶養親族から控除対象扶養親族になった場合

④年少扶養士族が控除対象扶養親族になった場合

⑤国外居住親族の年齢の変更で扶養控除の年齢等の区分が変わる場合

 

年齢などによって扶養控除の

適用が変わるといった場合には

異動があったものとされます。

 

 

 

国外居住親族で扶養控除を受ける場合の手続き

2024年6月11日現在の法令上

国外居住親族であっても

一定の要件を満たすことで

扶養控除の適用が可能になります。

 

ここで疑問がでてくるのは

簡易な申告書での国外居住親族

の対応方法です。

 

次のように2つの方法が

国税庁から提示されています。

生計を一にする事実の記載の方法

①当初提出した簡易な申告書を給与等の支払者から返却してもらい、国外居住親族の氏名及びその親族に送金等をした金額の合計額を追記(「生計を一にする事実」欄又は余白に記載)して再度提出する方法

②国外居住親族への送金等をした金額の合計額を記載した扶養控除等申告書を別途提出する方法

 

以上の2つの方法とさらに

年齢の区分等に応じた

・送金明細又は38万円以上の送金明細等の提出

・陣族関係証明書の提出

が別途必要になります。

 

年齢の区分等は次のようになります。

海外居住親族 年齢区分

簡易な扶養控除等申告書に関するFAQより

 

年末調整時点での資料の提出

が異なってくる年齢は

①16歳以上30歳未満又は70歳以上

②30歳以上70歳未満

になります。

 

簡易な申告書を提出することが

できなくなる区分では

 

上記の表の①~④の間で異動

した場合になります。

 

明確にしておくと

①の区分から③になったら

健常者が障害者になるため

異動があったものとされますし

 

③の区分から②の区分になったら

異動があったものとされます。

 

 


編集後記

簡易な申告書が創設されたわけは

月の源泉徴収事務の効率化を

しようとしているのかなと感じます。

 

別の効果として年末調整の書類の

記載の量を減らす工夫になるのでは?

という観点です。

 

しかし、簡易な申告書を運用する

にあたっての事務処理を考えると

使うべきかどうかは考えものです。

 

というのは、簡易な申告書を提出

することができる要件が厳しいからです。

 

引っ越ししたら簡易な申告書はダメ

控除区分が変わったらダメ

 

年齢が変わってりなどしてもダメ

となります。

 

異動がなかったとしても現実では

前年と変更は全くないですよね?

と事業者は従業員に確認する

といった必要性もあるかなと考えます。

 

踏み込んで申し上げると

簡易な申告書は提出できても

 

保険料控除申告書や

基礎控除申告は書かねばならず

 

扶養控除等申告書だけ簡易な

記載にして意味があるのかは

ちょっと疑問です。

 

 

では税理士・行政書士・社会保険労務士

の齋藤幸生でした!!

 

それでは、また!

 

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この記事は、その時の状況、心情で書いています。
また、法令に関しては、その後改正された場合には、
異なる取り扱いになる可能性があります。

 

 




ABOUT US
齋藤 幸生税理士・行政書士・経営革新等支援機関・ブロガー
都内税理士事務所にて7年間の勤務後独立。 2017年に税理士として独立後は建設業、フォワーディング業、IT業に特化した税務を行っています。また財務支援として資金繰り支援(会社の資金繰りと資金調達支援)を行っています。行政書士としては建設業許可、利用貨物運送事業の許可業務に特化しております。