【電子帳簿保存法】検索機能の全てを不要とする措置を解説

検索 電子取引データ




【電子帳簿保存法】検索機能の全てを不要とする措置を解説

こんにちは!

 

税理士・行政書士の齋藤幸生です!

 

今回は・・・

令和5年税制改正で追加された

検索機能の全てを不要とする

措置について解説します。

 

それでは、スタートです!!

 

検索機能の全てが不要とする措置とは?

制度の内容

2024年(令和6年)1月1日以降の電子取引で、電子データの保存要件の日付、取引先、金額で検索できるようにしておくことが不要になります。

 

要件

①税務調査等の際に電子取引データの「ダウンロードの求め(調査担当者にデータのコピーを提供すること)」に応じることができるようにしている場合

②対象者は基準期間の売上高が「5千万円以下」の事業者

③「電子取引データをプリントアウトした書面を、取引年月日その他の日付及び取引先ごとに整理された状態で提示・提出することができるようにしていること

 

①は税務調査等でデータをすべて

調査担当者に差し上げる必要

あることになります。

 

②と③は以下で詳しく解説します。

 

この措置ができたからと言って

電子取引データをデータのまま

保存しなくてもよいわけでは

ない点がポイントです。

 

あくまで保存要件の検索機能が

不要になっているだけであって

 

改ざん防止の措置は要求されて

いることになります。

 

従って、国税庁が公表する

事務処理規定で要件を満たして

おく必要があります。

 

 

基準期間の売上高が5千万円以下の判断

①個人の場合
電子取引が行われた日の属する年の前々年の1月1日から12月31日までの期間の売上高

②法人の場合
電子取引が行われた日の属する事業年度の前々事業年度の売上高

が5千万円以下であるかどうかの判定をします。

 

実務上のポイント

個人で新規開業をしている者や新設法人の初年度と第2期は基準期間がないこととなり自動的に検索機能は不要の売上高になります。

 

プロでも間違えそうなところは

売上高という表現です。

 

どうしても「基準期間」とくると

「課税売上高」というイメージに

なってしまうのがプロです。

 

実際には課税売上高ではないため

個人は2年前の売上高だけ

 

法人は前々事業年度の売上高

だけで判断します。

 

 

さらに売上高について深堀すると

個人事業者では 「商品製品等の売上高、役務提供に係る売上高、農産物の売上高(年末において有する農産物の収穫した時の価額を含みます。)、賃貸料又は山林の伐採又は譲渡による売上高」をいい、家事消費高及びその他の収入は含まれません。

国税庁 電子帳簿保存法一問一答 問45から抜粋

 

個人での売上高のイメージは

本業の売上高のみで考える

ということです。

 

家事消費などの自分に売った

自分で食べたような取引は

売上高に含まれないわけです。

 

 

法人 「一般的に売上高、売上収入、営業収入等として計上される営業活動から生ずる収益」をいい、いわゆる営業外収益や特別利益は含まれません。

国税庁 電子帳簿保存法一問一答 問45から抜粋

 

法人も個人と同様のイメージで

損益計算書の売上高として

計上している金額で判断です。

 

経理上で売上高基準を満たす

ために売上高の一部を雑収入に

会計上で振り返ることが想定

される不正になります。

 

これが見つかり検索機能の

要件を満たすことを目的に

やったと認定されると

 

税務当局とトラブルになるため

やめておいたほうがよいと

思います。

 

 

提示・提出の要求に応じることができることの状態とは?

さて、上記の要件の③に該当する

状態について解説します。

 

具体的には次のいずれかの方法

により整理されている必要がある

ことになります。

 

①課税期間ごとに、取引年月日その他の日付の順にまとめた上で、取引先ごとに整理する方法

②課税期間ごとに、取引先ごとにまとめた上で、取引年月日その他の日付の順に整理する方法

③書類の種類ごとに、①又は②と同様の方法により整理する方法

国税庁 電子帳簿保存法一問一答 問46から抜粋 一部筆者加筆

 

要するに事前に電子取引データ

をプリントアウトした書面を

上記のいずれかの方法で保存を

行っている必要があります。

 

現実では、電子取引データを

データで保存しつつ

 

プリントアウトした書面も

保存することになります。

 

国税庁の見解としては

電磁的記録を書面に出力する時期については特段の定めはありませんが、それを整理するためには一定の作業を要すると思われます。遅滞なく提示等ができるように書面出力して整理しておくといった準備を事前にしていなかった場合には、検索機能の確保の要件が不要となるための条件を満たしていないと判断される可能性があることから、日頃から書面出力して整理しておくことが望ましいと考えられます。

 

太文字にした部分が重要なので

こちらのように解釈を行う

というスタンスになります。

 

検索機能を不要とする場合には

書面も整理としておく必要がある

ため事務負担が増加する可能性は

高まるものと考えます。

 

 


編集後記

検索機能を不要にするための

対応をしていると事務負担が

増えると考えています。

 

本来データで保存することで

効率化を図るのが一般的な

考え方になります。

 

私見になりますが

AI-OCR付きで読み取りが

できるソフトを導入して

 

電子取引データの保存を行い

改ざん防止と検索機能の確保

を行ったほうが保存業務の

効率化ができると思います。

 

 

では税理士・行政書士の齋藤幸生でした!!

それでは、また!

 

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この記事は、その時の状況、心情で書いています。
また、法令に関しては、その後改正された場合には、
異なる取り扱いになる可能性があります。

 

 




ABOUT US
齋藤 幸生税理士・行政書士・経営革新等支援機関・ブロガー
都内税理士事務所にて7年間の勤務後独立。 2017年に税理士として独立後は建設業、フォワーディング業、IT業に特化した税務を行っています。また財務支援として資金繰り支援(会社の資金繰りと資金調達支援)を行っています。行政書士としては建設業許可、利用貨物運送事業の許可業務に特化しております。