自由民主党の令和4年税制改正大綱をまとめてみた
こんにちは!
税理士・行政書士の齋藤幸生です!
今回は・・・
自民党の令和4年税制改正大綱を
まとめた記事になります。
私の一存でのかいつまんだまとめ
となりますがちょっと気になる
改正があるのでそちらも交えつつ
解説します。
それでは、スタートです!!
令和4年税制改正大綱の基本的考え方
岸田内閣のスローガンである
「成長と分配の好循環」と
「コロナ後の新しい社会の開拓」を
コンセプトに新しい資本主義の
実現に取り組むこととしています。
企業が研究開発や人的資本などへの
投資を強化し、中長期的に稼ぐ力を
高めるとともに、その収益を更なる
未来への投資や
株主だけでなく従業員や下請け企業を含む
多様なステークホルダーへの還元へと
循環させていくことを通じ
企業として持続的な成長を達成する
という本来の使命をより一層
果たしていくことが必要とのことです。
以上から
成長と分配の好循環の実現として
賃上げに係る税制措置を強化しています。
報道されていますが住宅ローン控除の
見直しも導入されます。
中小・小規模事業者の支援として
賃上げに係る税制措置と並び
交際費課税の特例も2年間延長です。
先日、行政機関から提出された
税制改正要望書について
完全子会社株式等及び関連法人株式の
配当への源泉徴収の見直しも
盛り込まれています。
個人所得税について記帳水準の向上等
ということで記帳の能力を控除させる
観点から推計課税以外の課税処分が
できるようになります。
この推計課税以外の措置として
記帳義務の不履行及び特に悪質な
納税者への対応が行われます。
今後の検討ベースですが
相続税と贈与税について資産移転時期の
選択に中立的な税制の構築をするようです。
インボイス制度への対応としては
電子インボイスの社会実装に向けた
取り組みを推進するようです。
令和4年税制改正大綱の具体的内容
個人所得課税
住宅ローン控除は適用期限を
令和7年12月まで4年間延長し
令和4年から令和7年までについて
控除率0.7%にします。
ちなみに認定住宅以外の控除期間は
令和4年と5年は13年間
令和6年と7年は10年間
になります。
ただし、新築物件などの要件が
必要となります。
中古住宅の借入限度額は
一律2,000万円となってしまい
控除期間は一律10年になります。
要するに新築物件のほうが
税金が減る仕組みになります。
上場株式の配当については3%以上の
保有割合がある株主への配当は
総合課税の対象となります。
令和5年10月からは注意しないと
確定申告での計算を間違える
ということになりそうですね。
加えて1%以上保有している
上場株式の株主については
税務署への報告義務も追加されます。
逃げられないようにするための
措置というわけですね。
最後に簿外費用の否認になる措置が
新設されています。
対象の所得は不動産所得、事業所得
山林所得と一定の年度の雑所得で
収入金額が300万円を超えるものです。
きっかけになる行為とは
隠ぺい仮装に基づき確定申告を提出する
確定申告書を提出していないことです。
上記に該当する場合には
帳簿に記載された経費や
経費の根拠がわかる資料が
ない場合には
すべて経費にならないことになります。
言い換えると帳簿を作成していない
経費の領収書などの根拠資料もない
こういった場合の経費は認めない
ということです。
事実上、年間の売上が300万円を
超える事業者の帳簿義務化になります。
上記は令和5年分以降の確定申告
について適用されます。
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法人課税
賃上げ税制が拡充されます。
期間は令和4年4月から令和6年3月
までの間に開始する各事業年度です。
一定の賃上げ率に応じて
10%加算されることになります。
さらに教育訓練費も一定率増加
させた場合には、5%加算されます。
ただ、控除限度は法人税の20%までは
いじられることがないです。
つまり、最大で納付する法人税の
20%までしか税額控除されない
という設計になっています。
さらに個人所得税でもあった
記帳の義務化について法人税でも
同じような結論になります。
売上要件はなくすべての法人で
隠ぺい仮装行為に基づき
確定申告書を提出した場合又は
確定申告書を提出していないこと
帳簿の作成がないこと
経費関係の資料がないこと
といった場合には
簿外経費がすべて経費にならず
法人税法上の経費に相当する
損金に算入されなくなります。
上記は令和5年1月1日以後に開始する
事業年度から適用されます。
そもそも隠ぺい仮装をしないで
普通に経理処理をやればよい
ということになります。
実務上ないとは思いますが
10万円未満の少額資産や
一括償却資産については
貸付を行う資産について適用を
行わないようにします。
ただし、主な事業として貸付を
行っている事業は今後とも適用を
行うことが可能です。
インボイス制度導入後の措置
インボイス制度導入後の適用として
事業者免税点制度が適用できなくなる
措置も盛り込まれています。
基本的にはインボイス制度の登録事業者に
なった登録日から2年を経過する日が
到来する事業年度までは課税事業者になる
必要が出てきます。
ただし、登録日が令和5年10月1日が属する
課税期間中は除かれています。
つまり、インボイス制度導入の翌年に
登録日がある事業者は最低でも2年間は
課税事業者として拘束されます。
罰金の加重措置
過少申告加算税と無申告加算税が
原則10%加重されることになります。
要件は一定の帳簿に記載すべき
事項に関して
所得税、法人税・消費税の修正申告等
があった時前に税務署の職員から
帳簿の提出又は提示を求められ、かつ
帳簿の提示又は提供をしなかった場合
となっています。
つまり税務調査において帳簿等を
見せなかった場合に追徴があれば
罰金が加重される仕組みです。
電子データの保存の猶予について
年末に混乱を巻き起こした
電子データの保存についてですが
猶予の概要が判明しました。
期間は令和4年~令和5年まで
対象税目は所得税と法人税
対象事業者は保存義務者(事業主)
電子取引について税務署長が
電子取引の保存要件に従って
保存をすることができなかったこと
についてやむを得ない事情があると
認め、かつ
保存義務者が税務調査のときに
出力書面(紙)の提示又は提出の
求めに応じることができるように
している場合には
保存要件に関わらず、電子データの
保存をすることができることとする
経過措置になります。
ちなみに紙保存するための猶予について
別段の手続きは不要になります。
今までと同様に紙で保存をして
税務調査のときに見せることが
できる状態にしておくことが
必要になる点のみ注意です。
令和4年税制改正大綱から見えてくること
以上、かいつまんで
令和4年税制改正大綱を確認しました。
基本的には普通に事業活動を
やっていれば問題がないと
考えています。
ただ、実務的には電子データの保存や
インボイス制度への対応は今後必須
ということになります。
それと小規模事業者への影響ですね。
隠ぺい仮装した場合の経費の否認は
建設業の個人事業主にとっては
頭の痛い改正になると思います。
過去から今まで申告をせずに
逃げ回っている人は大勢いて
大変なことになる可能性が
高いと思いますね。
しかも事実上、帳簿作成を義務化
されるということですから
対応しておかないと無駄な税金を
納付することになります。
賃上げ税制については
事業計画をきちんと作成して
計画の通りに事業活動を運営する
ということができれば対象になる
企業はあると思います。
建設業で申し上げると
国土交通省の方針で建設業の
賃上げを業界全体でやっています。
減税効果は相当程度あると
私は思っていますね。
ただ、現行の経営力向上計画の措置も
同様に継続してもらえると
一層賃上げ税制が使いやすくなる
ということになると思います。
編集後記
さて、一般納税者には何の関係も
なかったので記載しませんでしたが
令和4年税制改正大綱には税理士法の
改正も上がっています。
基本的にはICT化する宣言や会務での
電子化といったしょうもない改正だけで
センセーショナルな内容がないのが
非常に残念です。
もう、一人税理士法人を設立できても
問題はないのではないかと思いますが
一向に改正に盛り込まれないですね。
ただ一点だけよくわかない改正があり
税務代理権限証書に税務代理に該当しない
代理を記載することができるようにする
というものがありました。
これは何に使うことを前提にしているのか
ちょっと聞いてみたいですね。
では税理士・行政書士の齋藤幸生でした!!
それでは、また!
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この記事は、その時の状況、心情で書いています。
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