士業の見積は金額の算定根拠と申し込みの期限を明確にする




士業の見積は金額の算定根拠と申し込みの期限を明確にする

こんにちは!

 

税理士の齋藤幸生です!

 

今回は・・・

士業の見積は金額の算定根拠と申し込みの期限を明確にする

という記事です。

 

士業さんたちが独立する場合には

基本的に経営者としては素人です。

 

この点、見積書ってどうするの?

というところから出発すると思います。

 

見積書の書式は各士業の所属会で用意されて

いますので、大した問題とはなりませんが

 

では、いざ実務になったときに

どうやって見積もりの金額を計算するのか

見積はしてみたけど相談者から連絡が来ない

 

といったことに悩んでしまう人もいると思います。

 

このようなことに時間をかけるのは事業遂行上

無駄であると言えます。

 

今回はそういったことの参考として欲しい

内容の記事となります。

 

また今後事業を始める人にとっても

分かりやすく解説していきます。

 

それでは、スタートです!!

 

自分の見積の算定根拠とは?

見積の金額を考えるときに算定根拠を明確にする

ということがあります。

 

私が独立したときには算定根拠はあいまいで

よくわからなかったので市場の金額を参考に

料金表を作成して見積をしていました。

 

見積を行うときには色々な考えがあります。

 

・関与する規模によって料金を決めておく
・タイムチャージで料金を決める
・かかる工数から料金を決める
・市場の相場観を重視する

上記の中から金額を算定する

ということになると思います。

 

ただ根拠が不明であると思われてしまうのが

関与する規模によって料金を決めることと

市場の相場観を重視する方法です。

 

つまり、なぜその金額なのか?

を説明できないからです。

 

例えば、自分が相談者だとして

あなたのご事業の規模ですと

・顧問料は月額15,000円
・決算報酬は100,000円

です。

 

と言われたらどうでしょうか?

 

これ以上何の質問もしようがありませんね。

 

これだと相手にどういった仕事について

どれくらいの金額がかかるのか分かりません。

 

結論としてはタイムチャージ方式か工数方式

いずれかによることになろうかと思います。

 

ここで見積もりの考え方となります。

以下、税理士業の法人の関与について考えます。

 

税理士業では一般職員さんの時給の平均は

3,500円ということです。

 

こちらを職員さんの取り分として設定して

使用者の取り分を含めて2倍とします。

 

つまり、時給7,000円として計算することとします。

2倍とする理由は、職員さんへの給料と社会保険は

人を雇う場合の最低限かかるコストです。

 

残りは事務所に配分するために必要な

所長の取り分ということで設定しました。

 

まず、法人の関与として訪問があり、往復1時間

面談1時間として設定しますと、

7,000円×2=14,000円

記帳代行とデータチェック、試算表作成で2.5時間とすると

7,000円×2.5=17,500円

 

普段の相談、メールのやり取りに1時間かかるとすると

7,000×1=7,000円

 

以上で顧問料は38,500円(税抜)となります。

 

例えば、このように金額を見積もることができますね。

 

残された問題としては士業先生が一人で運営している

といった場合の時給の算定です。

 

現実としてはここまで聞かれることはまれですが

時給の決め方は売上(年商)から逆算して

算定する方法が目安であると思います。

 

例えば、年商1,000万円稼ぐとすると

月商では約84万円で、月の稼働日数は22日とすると

日商では約4万円です。

 

これを1日の稼働時間8時間とすると

5,000円と計算することができます。

 

私としては妥当な時給計算であると思いますね。

 

因みに、工数で算定する場合には

人工として計算することになります。

 

日給である4万円をもとにどれだけの人工が

かかるのかを算定していきます。

 

人工=日数

と考えて4万円×日数として計算するのです。

 

現実的にはタイムチャージ方式よりも

挑戦的な水準となります。

 

独立して日が浅い士業さんだとちょっと

現実的ではないと思います。

 

 

見積を提示して申し込みの期限を設定する

次に現実の見積についてです。

こちらを間違えてしまうとお仕事の依頼になりません。

 

見積はいつ提示することが良いのでしょうか?

提示する時期は相談者から相談を聞き取った後

すぐにでも出せることが理想です。

 

ただ、現状としては聞き取ってその場ですぐ

ということは見積書の金額をミスする可能性も

あると思います。

 

従って、翌日にメールなどで提示することが

良いのではないかと思います。

 

見積書は相手に仕事の内容といくらかかるのか

ということを提示する機能があります。

 

先ほどの例で申し上げれば

月額の顧問料算定では、

 

・訪問先への移動時間
・訪問後の面談の時間
・記帳代行の時間
・データ確認の時間
・試算表作成の時間
・事務所内での相談時間

こういったことを説明して金額を算定した

ということを明確にすれば良いわけです。

 

 

 

こんな風にしないといけないの?

と思われるかもしれませんが

 

士業業務は一般の人たちに理解される

ということはありません。

 

例えば、住んでいる家の構造や耐用年数

台風などの災害リスクといったことを

全部知っている居住者はいないことと同じです。

 

従って、相談者に対してあなたの依頼したいことは

こういったことで、このように時間や労力が

我々にはかかるのです。

 

ということを説明しないと始まりません。

 

さて、ここまでやってみても相談者からの

お断りの連絡さえないことが一般的です。

 

ですから、見積書の期限を設定します。

 

士業業務は書類の提出期限など

期限に関わるお仕事が多いのが特徴です。

 

期限を必ず切っておくと依頼しないのだな

という判断になります。

 

では、期限をいつに設定するのか

ということですね。

 

期限とご自身が仕事を完了できる期間との

兼ね合いで決めていきましょう。

 

例えば、税理士業で3月決算5月申告法人で

5月上旬に相談に来た場合には

 

私だったら5月10日を期限に切ります。

 

理由は
・記帳入力
・データチェック
・不明点の洗い出し、質問書作成、聞き取り
・残高合わせ
・科目内訳書作成
・決算修正
・決算書作成
・確定申告書作成
・確定申告書チェック
・電子申告の取込とチェック
・電子申告
・資料の返却

全部で12工程はありますので

もたもたしてられません。

 

因みに、期限を過ぎてやっぱり依頼したい

ということも考えることができます。

 

その時の対応のために特急料金を設定して

置くことも効果的です。

 

私は1.25倍~1.75倍で良いと思います。

数字の理由は給与計算の時間外労働などの

計算で使われる倍率だからです。

 

算定根拠がタイムチャージ方式なのですから

特急料金との説明は合理的であると思います。

 

期限がひっ迫するればするほど

特急料金に割り増し分を多くしておくことです。

 

このようにすることで相談者の依頼の判断を

早める効果が期待できます。

 

ただ、見積書を作成していて

ちょっと高いかなあ・・・となる場合もあります。

 

その場合も織り込んで、

実際に関与した場合の時間に変化があったり

特別な事由によって追加で費用がかかる

といったことは前もって説明しておく必要は

あるのだと思います。

 

このときには、減額又は増額となる事由を

具体的に見積書に織り込んでおくと良いと思います。

 

見積で依頼者を選別する

今の相談者はネットで色々と調べることができ

こちらの業界の相場観も知っている場合があります。

 

このような中で依頼者を選別することも

必要ではないかと思います。

 

理由としては、先ほどの様な見積書を作成することで

なぜ相場とは異なるのかを説明できますし

 

見積を出すことでトラブルメーカーとなる

相談者を排除することができます。

 

根拠なく値引きだけを要求する相談者からの依頼は

回避しておいた方が無難です。

 

私が提案したような見積書を提示することで

相場とは違うので値引きしてください。

といった意味不明な値引き交渉にはまずなりません。

 

そういった意味不明なことを言う人は

依頼する人へのリスペクトに欠けますし

品位に欠けます。

 

私の経験上としては

報酬が低い人ほどトラブルメーカーです。

 

初めは関与できてうれしい、やった!

となるでしょうが要求が報酬に釣り合っていないなど

関与していくうちに色々なことが出てきて

 

そもそも法律に合っていないことになり

士業さん自身を追いつめることになる場合があります。

 

要するに、コンプライアンス意識が欠如して

依頼したんだから何でもやってくれると

思われてしまうと大変です。

 

このようなことに巻き込まれないためにも

依頼者の選別は必要です。

 

 


編集後記

今日も訪問はありませんから

確定申告について進めていきます。

 

それからようやっと記帳代行ができる状態、

つまり平常時に戻りつつあります。

良かったです。

 

そういえば、行政書士会から交付式延期、

中止といったお知らせがまだ来ません。

交付式はやるんでしょうかね?

どうなんでしょう?

 

 

では税理士の齋藤幸生でした~
それではまた👍

 

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この記事は、その時の状況、心情で書いています。
また、法令に関しては、その後改正された場合には、
異なる取り扱いになる可能性があります。

 

 




ABOUT US
齋藤 幸生税理士・行政書士・経営革新等支援機関・ブロガー
都内税理士事務所にて7年間の勤務後独立。 2017年に税理士として独立後は建設業、フォワーディング業、IT業に特化した税務を行っています。また財務支援として資金繰り支援(会社の資金繰りと資金調達支援)を行っています。行政書士としては建設業許可、利用貨物運送事業の許可業務に特化しております。