経営者はどこまで会社の数字を知っていれば良いか?【税理士が解説】




経営者はどこまで会社の数字を知っていれば良いか?

今回は、経営者はどこまで会社の数字を

知っていれば良いのかを考えます。

 

税理士として関与していると、

永遠のテーマとなりますね。

 

試算表という訳が分からない表を

毎月、税理士から説明を受けても

よくわからないと思っていませんか?

 

そんな人でもこれだけ知っていれば良い

数字を解説していきます。

 

それと、その数字を会社に生かす方法論も

お伝えしていきます。

 

それでは、スタートです!!

 

経営者は数字を苦手としている?

初めに経営者は数字を苦手としている?

という話をします。

 

試算表って何?

初めに、試算表についての解説です。

試算表の構成を知らないと、

数字を知ることができません。

 

こちらは最低限の知識になります。

 

この点、試算表がなんであるかを

説明していない税理士先生もいますので、

この記事で理解を深めてください。

 

と言ってもそんなに難しくないです。

 

試算表は、次の書類から構成されています。

・貸借対照表

・損益計算書

 

貸借対照表

貸借対照表は、次のようになっています。

資産の部 負債の部
純資産の部

実際には、下記のように表示されているはずです。

資産の部
負債の部
純資産の部

 

資産の部は、会社の資産になるものを

項目ごとに配置しています。

 

例えば、現金、普通預金、売掛金、車両運搬具など

資産になるものをそれぞれ表示します。

 

負債の部は、会社がお金を支払うものを

中心に項目ごとに配置しています。

 

例えば、買掛金、未払金、短期借入金、

長期借入金といったものをそれぞれ表示します。

 

純資産の部は、資本金と

過去から現在までの累積の赤字と黒字の

純額を表示していきます。

 

通常は、資本金、利益剰余金から構成されます。

 

計算式は、

資産の部の合計ー負債の部の合計=純資産の部の合計

ということになります。

 

ですから、資産の部が増えたからと言って、

安心はできません。

 

なぜなら、例えば借入をした場合には、

普通預金に現金が入ってきますが、

負債の部で短期借入金や長期借入金が

増えます。

 

ですから、資産の部と負債の部をそれぞれ

増やしただけとなりますね。

 

損益計算書

損益計算書は、次のようになっています。

売上高
売上原価
売上総利益(粗利)
販売費及び一般管理費(販管費)
営業利益
営業外収益
営業外費用
経常利益
特別利益
特別損失
税引前当期純損益
法人税等
税引後当期純損益(当期純利益)

という風になっています。

 

計算方式は、次のようになります。

①売上高ー売上原価=粗利
②①-販管費=営業利益
③②+営業外収益ー営業外費用=経常利益
④③+特別利益ー特別損失=税引前当期純損益
⑤④-法人税等=当期純利益

 

ここで、赤字とはどのような状態を示すのか?

というと・・・

以下のどれかがマイナスの状態です。

 

①の粗利がマイナス
②の営業利益がマイナス
③の経常利益がマイナス
④の税引前当期純損益がマイナス
⑤の当期純利益がマイナス

ということになります。

 

一般的な中小企業では、粗利よりも下位の部分は、

ほとんど動かないことも珍しくないので、

粗利で販管費と法人税等を賄うような損益計算書に

なってくると思います。

 

数字が難しく感じる理由

さて、経営者が数字を難しく感じる理由は、

簿記の処理と結果を混同してるからです。

 

要するに簿記の処理方法が分からないと

数字が分からないと思っている点です。

 

上記の試算表は、簿記の処理が終わった後の

結果としての表となります。

 

ですから、試算表の作り方(簿記の処理)を

知らなくても数字の追い方を知っていれば

問題ないことになります。

 

まずは、貸借対照表と損益計算書の

計算方法を知っておくと良いです。

 

そのあとに、個別の取引が上記のボックスの

どこに入ってくるのかを知ることで、

処理と試算表のつながりが見えてきます。

 

例えば、100円の商品を売って、その場で現金で

回収してきたということだと、

 

貸借対照表の資産の部の現金が100円増えますので、

資産の部の合計額が増えることになります。

売上は、損益計算書の売上高を増やします。

 

そうなると、

貸借対照表は、資産の部のみが増えるので、

 

便宜的に、上記の取引以外ないと仮定して計算すると、

資産の部の合計ー負債の部の合計=純資産の部の合計

100-0=100

純資産が売った分だけ、増えることになります。

 

損益計算書も、売った取引以外ないとすると、

売上高100円がそのまま、当期純利益になります。

 

 

知っておいて欲しい会社の数字

経営者に知ってほしい数字

経営者に知ってほしい数字は、

損益計算書の数字の追い方を知って

欲しいと考えています。

 

つまり、上記の損益計算書のボックスの

売上高から当期純利益までです。

 

毎月の試算表での追い方は、次のように追いかけます。

 

売上高の月商、粗利をまずは押さえます。

次に、粗利率も見ておきます。

 

通常、会計ソフトで試算表を出力すると、

右端に%が書かれています。

 

粗利の部分の%を見ることで、粗利率が

わかることになります。

 

これで、想定していた利益となっているのか

ということを確認します。

 

そのあとに、営業利益ですね。

こちらが、赤字だと、粗利で会社の固定費を

賄うことができない状態です。

 

資金繰りが悪化して、借入を検討することに

なりますので、要チェックな数字です。

 

通常の創業では、営業利益が3年は赤字に

なることも珍しくありません。

 

大まかに、上記の数字は確認しておくことで

ご自身の経営力を検討することができます。

 

 

 

 

数字は誰のものか?

会社の数字は誰のものかが分かっていない

経営者はかなり多くいます。

 

近年、自社の損益計算書を従業員へ

公開する中小企業が増えてきています。

 

私も関与税理士としては、

従業員への説明として開示することを

アドバイスしています。

 

全部を公開する必要はないですが、

大まかに、どこまで公開するべきなのか?

ということは知っておく必要があります。

 

基本的には、損益計算書が開示対象です。

それ以外は、従業員に知るメリットが

無いからです。

 

損益計算書の営業利益までを公開します。

俺の給料も従業員にバレるじゃないか!と

お叱りを受けそうですが・・・

 

従業員が嫌な思いをする役員報酬を

経営者がもらって・・・と、

経営者本人が意図せずに感じるから

上記のように思うだけだと思います。

 

ですから、それも含めて、従業員へ

説明すれば良いだけです。

 

それに、経営者ともなれば、

会社を興して、人一倍頑張ったんですから、

一番給料が高くて問題ないと思いますが。

 

では、どのように従業員へ説明していくのかを

次で見ていきます。

 

 

実績会議は翌月すぐに行う

毎月、従業員とともに、実績会議を翌月

すぐに行います。

 

これを実現させるためには、

原則的には、月次決算が必須です。

 

このブログを書いているのが2019年7月10日です。

ですから、6月の試算表はすでに出来上がっていて、

全部を締め終わっている状態でないといけません。

 

それで、実績会議は、会議の目的、効果を

従業員に分かってもらう必要があります。

 

例えば、実績会議では、次のように進めると

良いのではないでしょうか?

 

まずは、前月の月商報告、粗利と粗利率、

それと営業利益の金額を報告します。

 

従業員には、営業利益までの報告で

大丈夫です。

 

というのは、それ以降の当期純利益に

至るところまでの過程は、従業員の活動には

基本的に関係が薄いからです。

 

さて、実績会議で考えて欲しいことが、

実績の月商と目標との乖離があるのか?

ということです。

 

これは、目標を下回る、上回るに関係なく、

検討を行います。

 

また、粗利と粗利率を向上させることが

できないのかを話し合います。

 

上記をもって、実績会議で、その月の方針を

出して、経営者を含めた従業員全員で、

その月の方針に沿って活動していきます。

 

ボトルネックを解決する

最後に、実績会議後の検討ですね。

こちらは、その月の方針を決めて、

実際に活動してみると、うまくいかない

といったことがあります。

 

それについては、都度で、報告してもらう

必要があると思います。

 

それは、ボトルネックと言って、

うまくいかない要素になるからです。

 

それを解決する必要が出てきますね。

 

その解決を経営者が行う場合もあれば、

リーダ的な存在の従業員にやってもらう

といったことをも検討の余地があります。

 

基本的には、従業員で話し合ってもらって、

うまく解決できるように導くことが

経営者の仕事だと私は考えています。

 

なぜなら、経営者にしかできない仕事に

経営者は集中すべきだからです。

 

こうしたように、月次決算⇒実績会議

ボトルネックの解決という流れを通して、

改善を回してくことが大切です。

 

 


編集後記

今日は、新宿支部の集まりがありますので、

そちらに行ってきます。

私は初参加なので、どういったところなのかを

見てきたいと思います。

 

そういえば、動画での連続企画を思いついたので、

ちょっとやってみようかと思います。

 

 

ではぼっち税理士の齋藤でした~
それではまた👍

 

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この記事は、その時の状況、心情で書いています。
また、法令に関しては、その後改正された場合には、
異なる取り扱いになる可能性があります。

 

 




ABOUT US
齋藤 幸生税理士・行政書士・経営革新等支援機関・ブロガー
都内税理士事務所にて7年間の勤務後独立。 2017年に税理士として独立後は建設業、フォワーディング業、IT業に特化した税務を行っています。また財務支援として資金繰り支援(会社の資金繰りと資金調達支援)を行っています。行政書士としては建設業許可、利用貨物運送事業の許可業務に特化しております。