会社の決算
さて、3月決算の数字がそろそろ出てくる
今日この頃となりました。
今回は、会社の決算について、会計基準と税法
この2つのテーマを主に考えたいと思います。
税理士からすると税法基準や税務会計で済んでしまう
中小企業の決算ですが、
本当にそれで良いのか?
そんな観点から記事にしたいと思います。
それでは、スタートです!!
税理士から見た決算
税理士から見た決算について解説します。
一応、一般的な税理士の考えを書いていきますが、
全員が一緒の考えを持ってるわけではないので、
ご容赦ください。
まずは、税理士として関与すると、
クライアントと並走して関与します。
この時に、決算を毎期やっていくわけですが、
基本的には税務会計を主にやっていきます。
税務会計とは、法人税に沿った会計をすることです。
例えば、減価償却費の計上について、
耐用年数省令、法人税法上の償却方法で
償却するといったことです。
また、法人税法上の減価償却は任意償却です。
つまり、減価償却しても、しなくても、
どちらでも良いということになっています。
ですから、税理士が決算書や申告を作成する段階で、
会社の社長から今期は、赤字をこれ以上増やしたくない
という依頼があれば、減価償却をしない。
こういった選択が行われる可能性が高いわけです。
税理士は、税法の専門家でありますが、
会計の専門家としての性質も持っています。
違法な手段でなければ、基本的に依頼者からの
依頼に沿った決算をすることは当然であり、
また、専門家としての対応となると思います。
この時には、税務会計>会計基準
ということになって、
中小企業の会計に関する基本要領が考慮される
ということはありません。
流石に、銀行借入をしている会社だと、
基本的には減価償却、貸倒引当金の計上など、
基本要領に沿った処理をすることになります。
長年、税理士先生は、このようにクライアントの
意思を尊重したうえで、現実的な対応をしてきた
という事実があると思います。
会計基準と税法どのように考えるのか?
それでは、会計基準と税法をどのように考えるか?
ここが本題となります。
税理士の立場から申し上げれば、
中小企業に会計基準を持ち込む意味は
あまりないということになると思います。
なぜなら、クライアントからの依頼が第一であり、
基本的には法人税の申告書作成のために
税理士に依頼しているからです。
しかしながら、会計基準の本質を考えれば、
多種多様な会社の決算を比較できるようにする
ルールが会計基準ということになります。
ですから、税法とは基本概念が異なりますし、
また、区別されるべきという考えが理想だと思います。
ではなぜ、税法が中小企業に浸透して、
益金や損金といった経理処理になってしまうのか?
本質的な問題は、確定決算主義にあると考えます。
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要するに、会社で作成した(税理士が作成するわけですが)
決算書を基に法人税の計算をすることが問題となります。
もっと申し上げれば、会計から算出した利益、損失で
法人税の納付金額が決まってしまうものですから、
税務会計にならざるを得ないとも言えます。
では、確定決算主義ではなくなった世界を
想定すると一体どうなるのか?
こうなると、話はもっと簡単ということになります。
通常の会社決算上では、利益があるように処理して、
見栄えを良くすることになります。
法人税の申告書は、思いっきり赤字となります。
これが、経営者の判断になるのだと思います。
なぜこのようになるのかというと、
中小企業の多くは、家族会社です。
要するに、ワンオーナーですから、
社長=株主ということになります。
決算書を見栄え良くしておけば、
銀行には良い顔をすることができますし、
申告上で赤字としておけば、
無駄な税金(ちょっと語弊がありますが)を
支払う必要性がなくなるからです。
一番、経営者がやりたいことを実現できる世界が、
確定決算主義をなくした世界なのではないかと
考えられますね。
銀行は粉飾を期待しながら、粉飾探しをする
さて、ここからはちょっと銀行への悪口です(笑)
経験がある税理士であれば、ピンときますが、
私は税理士業界に入ったときにはわかりませんでした。
先生!今期は黒字にしてほしんだけど・・・
と社長から依頼されたことがあります。
法人税がかかりますけど、良いですか?
と聞いたところ、
社長曰く、それで構いません。とのこと。
それで、黒字にして、申告書を作成して
といったことをしました。
何をやらされているのかというと、
銀行から社長に黒字を依頼したのだと思います。
もっと、申し上げます、依頼してます!
最近は、あまり聞かなくなりましたが、
私が税理士業界に入ったころには
この手の依頼がたくさんありましたね。
また、銀行は上記のように依頼しておきながら、
税理士が関与している会社であっても、
粉飾を疑ってかかります。
先日、ちょっと腹立たしい出来事がありました。
その会社は、銀行借入をしているので、
売上、仕入、経費関係に至るまで、
中小企業の会計に関する基本要領の要求する通りに
私が責任をもって決算書と申告書を作成したのですが、
銀行から要求された資料が度を越していないか?と
思ったのです!
何を要求されたのかというと、
売上が増えたので、毎月の得意先別の売掛金の
推移表を出してくれないか?という依頼でした。
要するに、売上の架空計上のチェックをしてあげると
私は言われたと同じなのです。
提出する前に、一応、社長に本当に出して
良いのですね?と確認を取ったうえで提出しました。
非常に腹立たしい思いをしましたね(笑)
ここまでするのであれば、
会社へ経営相談するなり、もっと会社へ寄り添う
サービスをやって差し上げれば良いのに・・・
私はそう思います。
ずっと続くよダブルスタンダード
さて、税理士が決算業務に当たっては、
上記のように、ダブルスタンダードのような
状況が長年放置されてきています。
ぶった切ると、矛盾ですね。
会計基準を理解していながら、依頼者の利益を
最大にするために税務会計をしているわけですから。
私もそんな税理士の一人です。
これが良いのか悪いのかは、どちらとも言えません。
少なくとも、税理士の立場から申し上げれば、
現実的な対応をする以外にないじゃん!
ということだと思います。
それと、会計の中でも問題がないわけではありません。
近年、貸しはがしで会社が倒産するケースを
あまり聞かなくなりました。
これは、銀行が中小企業を延命させることで、
貸倒引当金の計上を抑制している可能性があると
思われます。
ただ、貸倒引当金は将来の損失に備えるために
計上する引当金ということが通説です。
それにも関わらず、過去の貸倒実績率などを用いて
計上するという謎の計算を行っています。
将来の見積なのに、過去の数字を使うの?
それってどうなの?
このように矛盾は尽きないわけです。
これについても、将来の金額を見積もるのには、
過去の実績を使う以外の対応ができない
ということが言えるのだと思います。
ですが、計算方法を知っていれば
いくらでも悪用はできることになります。
要するに、銀行からすれば、関与先が倒産したりなど、
引当金が必要でない水準でいるようにすれば良い
という選択をすれば良いだけですから。
今後もダブルスタンダードはずっと続いて
行くのではないかと思います。
編集後記
今日は、事務所の模様替えをして、
使いやすくしたいと思っています。
来週の土曜日から大学院に科目履修生として
通うことになります。
楽しみです!
ではぼっち税理士の齋藤でした~
それではまた👍
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この記事は、その時の状況、心情で書いています。
また、法令に関しては、その後改正された場合には、
異なる取り扱いになる可能性があります。
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