不正はなぜバレる?
最近、ネットニュースを確認していると、
不正経理で、所得税法違反、法人税法違反、
消費税法違反などで法律違反のニュースを見かけます。
こうした、行為自体は法律に則って対処されている
ということなのですが、
さて、なぜ不正がバレるのでしょうか?
ニュースになるような案件は、納税者が意図的に
脱税のために不正をやっていることになります。
会社でバレないようにやっている不正な処理を
なぜ税務調査官は見つけることができるのか?
不思議に思うことも多いはずです。
そのあたりのことを解説しつつ、不正発見の調査手段を
考えてみたいと思います。
税務調査の手法とは?
税務調査官には権限はない?
税務調査の手法としては、基本的には任意調査が主流です。
国税局や税務署の人が来たところで、まずは任意調査です。
しかしながら、不正に脱税をやっている人には、
強制調査にて調査が行われます。
裁判所の令状をもって、会社の様々な場所へ令状をもって
家宅捜索に行くことになります。
では、なぜそういったことが可能なのでしょうか?
基本的には、強制調査に行くまでは、国税局の職員でも
全く権限がない状態で捜査を始めます。
というのは、国税通則法に捜査権という権限が
税務調査官にはないからですね。
因みに、逮捕権もないです。
多くは、検察との合同にて行われて、
逮捕は法務省権限で行うことになります。
さて、では、なぜ不正をしている会社が分かるのか?
こういった疑問があると思います。
なぜ不正がバレる?
これは、単純で、その会社で働いていた従業員からの
告げ口、取引先からの告げ口などで知ることになります。
要するに、不正なことをやっている会社は、
周りから恨みを買いやすいということなのです。
自己中心的で、自分の利益しか求めずに、
従業員は小間使いして、疲弊させてといった
超ブラック企業となります。
国税局へ情報を垂れ込む多くの人は、
恨みが大半のようで、正確なものから、間違った情報まで
様々ではあります。
OB税理士といって、元調査官で税理士をやっている
先生の話を聞くと、合っているのは30%くらいとのこと。
つまり、寄せられた情報の3割があっている情報
ということになるわけです。
これ以外に、公営ギャンブルをやっている公共法人などから
高額配当を支払った人の情報が流れているようですし、
国税局は、様々な媒体から情報を常に収集して、
税務調査の手法としています。
不正発見の手段を考える
それでは、実際に不正発見の手段を考えてみましょう!
強制調査での探し物
基本的に、犯則事件となる脱税捜査で最も重要な
調査官の探し物は、次のものとなります。
・たまり(現金)
・通帳
・ハンコ
優先順位で最も高いのは、現金です!
これがどこに隠されているのかは、
実際に家宅捜索しないと分かりませんね。
まあ、令状をもって入るわけなので、その時点で
一切の行動はできないようにその場で通告されると思います。
ここからは、時間との勝負ということになりますね。
いち早く現金を探して発見したら税務調査官の勝ちです。
どうして、そんなに現金を見つけたがるのかというと、
帳簿にのっていない現金を見つけて、自白を取れば、
証拠と自白でほぼ裁判で国が負けることはない
判決が出るからだと思われます。
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なぜ現金を探すのか?
つまり、現金はその時点の状況でしか持っていない
という訳なのですが、
実際には会社や事業をやっていると、
事業年度はずっと続きますので、
会社を立ち上げた時から、現金はたまっていくものです。
ですから、決算をして、申告書を作成すると、
決算日における現金勘定に金額があれば、
年間の移動推計を加味した以上の大きな現金は
通常生み出されることはありません。
過去の売上推移からある程度の現金の移動状況が
分かるということになるわけです。
それが、不正して得た利益を隠すということは、
現金に化けているという理屈です。
帳簿に乗っけられない不正に得た現金をどうやって
処理をするのかということですね。
方法としては、現金で持ち続ける、隠し通帳へ入金
といったことをすることになりますので、
調査の現場では、現金の早期発見と通帳とハンコを
収集するということに躍起になるのだと思います。
不正をする会社は税理士から見放されるが
さて、不正をする会社は税理士から見放される
ということは知っていおいた方が良いかと思います。
これは、至極当たり前なので、これ以上は
話すことはないのです。
しかし、私の考えとしては、多くの税理士は不正=全部脱税
という認識を持っていると思います。
何が言いたいのかというと、脱税をやった会社は
すべての不正を行っていて、かつ、全部脱税をやっている
という風に思ってしまうということです。
実は、脱税を考えるときには、2つの考え方を持っておかないと
国側の言いなりの主張の通りになってしまう可能性が高いです。
まずは、国側が主張している脱税の範囲はどこなのか?
ということを確認すべきです。
もう一つは、どこまで、会社が脱税をしたのかを税理士が
確認すべきということですね。
まあ、強制調査では帳簿などのほとんどの書類は
国税局に収集されてしまっていると思いますが。
なぜこのようなことを確認すべきなのかというと、
不正の範囲を明確にする必要があるからです。
もっと申し上げれば、現金には脱税のお金と書いてある
訳ではありません。
押収された現金であっても、本当の現金回収でおいておいた
現金も混ざっている可能性があります。
また、脱税ではなく、ただの所得隠しなのかもしれません。
その場合には、脱税ではありませんね。
こういった様々な考え方をもって、本当の脱税行為は
一体どこなのかということを明らかにしないと、
税理士としての本懐は成し遂げられません。
だって、税理士の使命に、納税義務の適正な実現を図ること
ということになっていますから。
国側の主張する脱税の範囲が、本当に納税義務の適正な
現実を図ることを目的とした範囲なのかを考えないと
いけないわけなのです。
顧問先の従業員が不正をやっていたら・・・
最後に、顧問先の従業員が不正をやっていたら
という観点から話をいたします。
ある程度、規模が大きくなってくると、
人を雇って、経理や総務をやる人を付けますね。
その人がずっと継続して、何年間もやってしまう
ということも中小企業ではあり得ると思います。
問題は、そのずっとやっている経理総務の人が不正を
やっていたらどうするのかです。
特に、私は勤務時代に、会社の経理の人と接することが
多くて、その人の人柄も知る機会が多くありました。
ですが、もし、目の前にいる人が不正をしている場合には
どうしようかなあと思っていました。
例えば、経理上は、給与処理でされている経理処理でも、
実際には、社会保険料を預かったことにして、
どこか別の通帳へ金額を移して、会社のお金を横領する
といったことも経理を預かっている人であれば、できます。
このような心配事があったことから、またに通帳自体を
確認するということもやっていました。
今は、そういったことを自分から進んでやるような
会社と顧問契約をしていませんから、やっていません。
私が思ったのは、どこまでが税理士や税理士事務所の職員の
責任においてする範囲の仕事なのかです。
これは、非常に難しい問題だと思っています。
言っちゃ悪いですが、中小企業でコンプライアンスが
しっかりしてるところは少ないです。
売上がかなりあるのに、経理規定がないところはザラです。
きっと、会計監査などを導入するようになってから、
規定を策定する会社が多いと思います。
不正から考える、税理士の責任とは一体どこまでなのか?
答えのないことを考えながら、仕事をやっていって、
自分なりの答えを出すしかないと私は思います。
編集後記
今日は、不思議な縁で、最初のホームページを
作ったときに、私の写真を撮ってくれたプロカメラマンの
方から譲渡所得の相談で、面談をしてきます。
電話でちょっとだけしか、話を聞けなかったですが、
うまく行けば、空き家の3,000万円控除を使える
案件かもしれませんね。
すっかり忘れていて、国税庁の確定申告書作成コーナーで
調べていたら、ああ!そういえばそんなのあったなあと思い、
使える可能性を検討してこようかと思います。
ではぼっち税理士の齋藤でした~
それではまた👍
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この記事は、その時の状況、心情で書いています。
また、法令に関しては、その後改正された場合には、
異なる取り扱いになる可能性があります。
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