【フォワーディング業の会計と税務を解説】フォワーディング特有の処理はどうする?




国際物流はかなり複雑です。

その中から、処理に必要なことをまとめてみました。

それでは、一緒に見ていきましょう!!

フォワーディング業とは?

フォワーディングとは、日本語でいうと

国際輸送代理業です。

 

仕事の内容としては、

各国間の物流の代理をする仕事です。

 

物流での運送、通関、保管、船積みを

一貫した業務として代行する業務です。

 

主にこうしたことを代理する業務を

行っている会社をフォワーダーといいます。

 

輸送といっても、国内ではドレージという

トラックでコンテナの輸送から始まり、

 

保税地域(港や空港)での通関や保管、

その後、船積み等を経てから、海外へ輸送、

 

海外での通関と現地での配送となります。

また、荷為替(船荷証券)も取り扱います。

 

近年は物流の高速化がありますので、

サレンダードB/Lという手法にて、

 

荷為替からの引き取りをなくして、

荷物を受け取る手法があります。

 

つまり、フォワーディング業とは、

国家間の物流の代行を全般的に行う業種です。

 

フォワーディング特有のものは?

フォワーディング特有のものとしては、

まずは、売上と仕入が同時に起こることです。

 

どういったことかというと・・・

 

得意先からモノを運びたいと依頼が来ます。

期日までに運ぶ必要があるので、

 

国内での運搬、通関、積載する船や飛行機を

手配して完了となります。

 

ですから運搬、通関、船の輸送代といった

外注費と得意先への請求が同時になされます。

 

売上の基準は船積み基準が通常ですので、

その売上と外注費(仕入)とを対応させる

会計処理が必要となります。

 

 

また、日本への輸入業務では通関で、

国内消費税や関税を立替える場合があります。

 

その場合には、モノの輸送を依頼した

得意先へもフォワダーが立替えた消費税を

請求することとなります。

 

日本国内での処理で一般的なのは、

売上と仕入にそれぞれ立替えた税金も

含めて計上する方法です。

 

因みに、IFRS(国際会計基準)では、

代理人として行う取引は純額表示です。

 

従って、IFRSを導入する場合には、

現在日本国内で行っている処理はできません。

 

今後、中小企業へIFRSの導入がされた場合、

立替えた税金は、いったん預り金等で処理し、

 

得意先から税金も含めて回収した時に、

預り金等を消滅させる処理が必要となります。

 

また、フォワーディグ業だけではないですが、

上記のような代理で税金を立て替えている業界は

 

税金分だけ過大に売上と仕入が表示される

という残念な損益計算となります。

 

例えば、タバコ、酒、ガソリンなどは、

消費課税の税金を立て替えています。

 

売上の割には粗利が低いかなあと

思った場合には、売上と仕入に税金が

含まれていることが想定できます。

 

また、船荷証券の取引も通常行われています。

 

したがって、こちらは消費税の問題が

出てくるものと思われます。

 

船荷証券の譲渡は、国内取引の判定が

難しいことになります。

 

消費税基本通達では、

 

船荷証券の譲渡の国内判定は、

その船荷証券で引き渡される貨物が

存在する場所で判断を行うこととなります。

 

また、国内取引となった場合には、

船荷証券は消費税の非課税となる有価証券には

該当しませんので、課税取引となります。

 

こういった消費税の判定も確認する

必要性があると思います。

 

加えて、得意先への請求では、

資料代を請求している場合があります。

 

この場合には、その資料を作成した場所が

国内だと消費税の課税取引となり、

 

消費税を請求する取引となりますので、

注意が必要だと思います。

 

税務調査では一工夫必要

さて、肝心の税務調査での対応です。

 

国際間ということは英語の資料が

基本となります。

 

実は、使っている会計システムによりますが、

英語の会計システムでやっているところも

外資系では多いのが一般的です。

 

私の顧問先でも英語の会計システムで

行っているところがあります。

 

その場合には、調査官からの科目の確認が

行われますので、説明が必要です。

 

また、請求書も英語が多いです。

 

日本国内ですと日本語が多いですが、

海外の業者だと基本的に英語です。

 

こちらが請求の内容を分かっていないと

面倒なことになります。

 

また、消費税の確認も行われます。

基本的には還付申告となることが多い業態です。

 

税務調査に耐えられる理論武装と

取引の説明、証明書は絶対に必要です。

 

そして、業界のことを知らないで来る

調査官が多いのが最大の特徴です。

 

調査の最後まで業界を理解できず帰る

調査官が多いと感じます。

 

どうやって取引を理解してもらうのか?

ここも説明の方法に工夫が必要です。

 

業界特有のこととしては、

販売費及び一般管理費項目が

調査の最大の焦点だと思います。

 

この部分の感覚さえ分かっていれば、

調査が来たところで全部是認となる可能性が

高まることになります。

 

税理士から見たフォワーダー

税理士は税務の専門家ですが、

それでもかなり特殊な業界です。

 

特に、消費税の感覚を研ぎまして

アンテナを張っていないと間違えます。

 

私の知る限り、取引を理解することなく、

全ての取引の消費税を修正して、

全部課税にもっていってしまった税理士がいます。

それは当然間違えです。

 

業界と取引内容を知っている税理士へ

依頼した方が無難です。

 

相当おかしな処理にならない限り、

原則、還付申告となる業界だからです。

たまに納付となることもありますが。

 

しかし、それはごくまれな時です。

 

先ほどの資料代の請求の消費税を

不課税として処理したものを

課税に改めた時くらいでした。

 

消費税の還付申告は慣れていないと

必要のない資料まで提出してしまったり、

取引の説明がうまくいかない場合もあります。

 

まずは、税理士に取引を分かってもらう

ということから始めましょう!

 


編集後記

今日は父親の携帯の買い替えに付き添ってきます。

今まで壊れていた携帯をつかっていたので。

 

昨日で無事、自分の月次決算完了です。

やはり、毎日経理は必要です。

 

 

では国際税務の税理士齋藤でした~
それではまた👍

 

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この記事は、その時の状況、心情で書いています。
また、法令に関しては、その後改正された場合には、
異なる取り扱いになる可能性があります。

 

 




ABOUT US
齋藤 幸生税理士・行政書士・経営革新等支援機関・ブロガー
都内税理士事務所にて7年間の勤務後独立。 2017年に税理士として独立後は建設業、フォワーディング業、IT業に特化した税務を行っています。また財務支援として資金繰り支援(会社の資金繰りと資金調達支援)を行っています。行政書士としては建設業許可、利用貨物運送事業の許可業務に特化しております。