【役員社宅】節税可能でも社会保険料の対象になるかも・・・
こんにちは!
税理士・行政書士・社会保険労務
の齋藤幸生です!
今回は・・・
役員社宅の税務上の取扱いと
社会保険上の問題点を解説します。
それでは、スタートです!!
役員社宅の税務上の取扱い
今回は借り上げ社宅について
解説をします。
役員社宅の前提は以下の通りです。
・会社が会社名義で賃貸物件を借りた
・会社名義の賃貸物件を役員へ貸し付けた
前提として役員という地位に
なるため会社になります。
今回の取扱いは
役員に対して社宅を貸与する場合
になるため
会社が賃貸物件を借りて
それを役員へ貸すという取引です。
こういった取引では会社が役員から
一定額の家賃を受け取っていれば
給与課税されないという仕組みです。
反対に給与課税される範囲は
以下のようになります。
①役員に無償で社宅を貸した場合
→会社が支払っている家賃がそのまま給与課税されます。②会社が役員から一定額の家賃よりも低い金額をもらっている場合
→会社が支払っている家賃ともらっている金額との差額が給与課税されます。③会社が現金で支給している住宅手当や役員が個人で直接契約している場合
→社宅にならないので、全額が給与課税されます。
③の役員が個人で直接契約
している場合の取引では
役員が負担している賃料を
そのまま会社に請求して精算し
会社では地代家賃などので経費計上
している取引です。
そもそも会社が役員へ物件を
貸していないので社宅扱いに
ならないという考え方です。
役員社宅が給与で課税されない方法
では、役員社宅が給与で課税されない
方法を解説します。
その前に・・・
給与課税されないためには
会社が一定額の家賃を役員から
もらう必要があります。
これで給与課税を防止できる
わけですが
一定額の家賃の計算上では
社宅の種類は2つに分かれています。
①小規模な住宅
②豪華役員住宅
これらに対応する計算があり
それが一定額の家賃になります。
小規模な住宅とは
・法定耐用年数が30年以下の建物の場合
→床面積が132㎡以下であること・法定耐用年数が30年を超える建物の場合
→床面積が99㎡以下であること
(マンションなどの区分所有では共有部分を按分して、専用部分の床面積に加えて判定します。)
豪華役員住宅とは
床面積が240㎡を超えるもので、家賃、内装、設備などの要素を総合勘案して判断します。
要するに現況で判断になります。
実務上のポイントは
床面積が240㎡以下であっても
一般的に設置されていない設備
例えば、プールなどや
個人のし好を著しく反映した
設備がある場合には
豪華役員住宅になる可能性が
あるとされています。
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小規模な住宅の一定額の家賃
以下の①~③の合計額
①その年度の建物の固定資産税の課税標準額×0.2%
②12円×その建物の総床面積(㎡)/3.3㎡
③その年度の敷地の固定資産税の課税標準額×0.22%
豪華役員住宅の一定額の家賃
以下のいずれか多い金額
①会社が支払う家賃の50%の金額
②以下のイとロの合計額の1/12
イ:その年度の建物の固定資産税の課税標準額×12%
ロ:その年度の敷地の固定資産税の課税標準額×6%
(ただし、建物の法定対象年数が30年を超える場合には、10%を乗じる)
上記の計算の基礎資料として
固定資産税の課税標準額が
必要になります。
固定資産税税の課税標準の確認
方法としては
固定資産税の課税台帳
になります。
東京都では閲覧用と記載された
閲覧帳簿の写しを交付しています。
こちらをもって一定額の家賃の
計算を行います。
社宅は社会保険上だと報酬になるのか
あまり実務上のポイントでは
出てこないのが社宅の社会保険上
での取扱いです。
厚生労働省が公表している
標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱に関する事例集
によれば
問1の「報酬」・「賞与」にはどのようなものが含まれるか
という問いへの答えの具体例に
現実に提供された労働に対する対価に加え、給与規程等に基づいて使用者が経常的(定期的)に被用者に支払うものは、「 報酬等」に該当する。労働の提供と対償の支払が時間的に一致する必要はなく、将来の労働に対するものや、病気欠勤中や休業中に支払われる手当であっても労働の対償となり、「報酬等」に該当する。また、雇用契約を前提として事業主から食事、住宅等の提供を受けている場合(現物給与)も「報酬等」に含まれる。
事例集では基本的に労働者を
対象にしているため
「雇用保険を前提として」と
書かれていますが
日本年金機構のサイトでは
厚生年金保険および健康保険の被保険者が、勤務する事業所より労働の対償として現物で支給されるものがある場合は、その現物を通貨に換算し報酬に合算のうえ、保険料額算定の基礎となる標準報酬月額を求めることになります。現物で支給されるものが、食事や住宅である場合は、「厚生労働大臣が定める現物給与の価額」(厚生労働省告示)に定められた額に基づいて通貨に換算します。また、自社製品等その他のもので支給される場合は、原則として時価に換算します。
日本年金機構 現物給与についてから抜粋
「被保険者が」とされているので
結論は
会社が役員へ社宅を貸与した場合には、社会保険の対象になります。
このときには会社が支払った
家賃全額が対象になるのではなく
毎年4月に改訂される
全国現物給与価額一覧表
を基に計算した金額を報酬に
含めることになります。
東京都における令和7年4月以降の
1人1か月当たりの住宅の利益の額は
畳一畳につき2,830円
になっています。
社宅の面積を一畳に直して
計算することができます。
編集後記
現物給与について調べていたところ
RSUなどで株式をもらった場合には
社会保険上では現物給与になり
報酬又は賞与として手続きをする
ことになりそうです。
RSUなどでの交付が年に
1度などであれば賞与になるので
社会保険料の発生が見込まれる
ことになりますね。
ただ現物給与になるため
どうやって個人負担分を
本人から徴収するのかな?
という疑問は生じますね。
月給で賞与部分の社会保険料
として徴収するんでしょうか。
では税理士・行政書士・社会保険労務士
の齋藤幸生でした!!
それでは、また!
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この記事は、その時の状況、心情で書いています。
また、法令に関しては、その後改正された場合には、
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