経理マニュアル作成のススメ!属人化してしまった仕事を平準化する!
こんにちは!
税理士・行政書士の齋藤幸生です!
今回は・・・
経理マニュアルの有効性について解説します。
中小企業で経理マニュアルがあるところは
非常にまれです。
経理規定さえないのが普通ですね。
いきなり規定の作成だとちょっと会社の負担になるので
まずはマニュアルを作成してやっていることを
明確にすることで属人化したものを平準化することができます。
今回は、私がマニュアル作成を行った経緯から
それを備忘録として残した記事です。
それでは、スタートです!!
経理マニュアルが必要な理由
経理マニュアルが必要な理由からご説明していきます。
私が税理士として関与していてよく見る光景は
一人経理担当者という状況です。
そして、その一人経理担当者が長年やっている
というケースがあります。
この点、社長さんの奥様といったように
オーナー社長さんのご親族がやっている場合には
お金をどこかに移動して私腹を肥やそうといった
不正はオーナ―社長さんが率先しない限り起こりません。
通常は、オーナー社長さんが何かをやろうとしたら
経理をやっている奥様が止めてくれます。
結果として不正は防がれることが多いように
私は感じています。
しかし、一人経理担当者が長年やっていると
会社のチェックが甘くなりがちです。
社長さんはその経理担当者さんを信頼していますし
通帳の残高やその中身まで確認しません。
こうしたことが長年続くと不正の温床になります。
要するにチェックされないので何をやっても大丈夫
ということになりかねないわけです。
テレビや新聞等の報道を見る限り
キーワードとしては
・長年
・一人で
・すべてやっている
この3拍子が揃っているようです。
不正は行った人が最も悪いのですが
根底には会社がその人物(一人経理担当者)を
けん制し、チェックがないことで不正に
走らせてしまっていることがあると思います。
この点、マニュアルの作成を通じて
一人という属人化したものが誰でもできる
というような状況を作りだすことで
そのマニュアルの通りにやっているかどうかを
いつでも確認することができます。
要するに、会社内部でチェックが可能となるのです。
こうすることで、作業としてのマニュアルの側面を
けん制機能を持った内部統制機能にすることが可能です。
属人化⇒平準化するためのマニュアルとは?
マニュアルの誤解と顧問税理士への過大な期待
中小企業では経理、総務、人事など属人化しています。
理由は全部を一人で担当せざるを得ないからです。
この点、経理だけでもマニュアルにすることで
属人化してしまった、又は、属人化してしまう業務を
平準化することが可能となります。
マニュアルと聞くとマニュアル人間が出来上がってしまって
社員がまとも動かなくなるといった反論を聞くことがあります。
確かにその側面は分かるのですが
では経理担当者が行ったことを誰がいつチェックするのか
という問題が出てきます。
この点、顧問税理士さんが毎月来て監査をしているから
問題ないとお考えになる社長がいると思いますが
それは完全な間違いです。
顧問税理士さんは、会社から提示されたデータ、資料が
真正のものという前提で監査を行います。
社内不正を見つけるけん制機能は持ち合わせていない
というのが常識です。
ですからマニュアルの作成が欠かせません。
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マニュアルの作成は?
具体的なマニュアルの作成です。
次のような前提で作成していくことになります。
①簿記の知識がなくても入力できる
②何をどうするのか分かるようにする
③大きな流れを俯瞰することができる
④経理担当者が行っている仕事内容が分かる
⑤チェックに使うことができる
以上をマニュアルに入れることになります。
①簿記の知識がなくても入力できる
とは、
専門用語を使わないでこの場合はこのようにする
ということが分かるように書いて行きます。
例えば、社長が現金でコーヒーを購入した
という取引があったとしたら次のように書きます。
・現金出納帳をクリック
・日にちを入力
・相手勘定科目に福利厚生費又は会議費を入力
⇒科目はその経費が何のためのであるかにより福利厚生費
会議費を使い分ける
・摘要には購入したお店を入力
・貸方金額に購入金額(税込)を入力
といったように書いて行きます。
②何をどうするのか分かるようにする
とは、
具体的な処理に必要な資料、そのための処理はどうやるのか
ということが明確になっていることになります。
先ほどの例で社長がコーヒーを購入したのであれば
必ず購入したときのレシートがあるはずです。
また購入したコーヒーは、現金で支払ったとしても
経費精算のときにまとめて精算するときの一つの取引なのか
現金でその都度精算なのかによっても処理が異なります。
経費精算であれば、締め日はいつなのか、計上は締め日で
一括で行い、給料の支給日に精算金も一緒に振り込むのか
など記載する内容は会社によって異なります。
③大きな流れを俯瞰することができる
とは、
経理業務はどんな流れで行っているのかを
明確にすることです。
例えば、処理していく順番を明確にするといったことが
主な内容であると思います。
次のようなことですね。
①銀行口座の入力
②現金の入力
③売上の入力
④仕入原価の入力
⑤経費精算の入力
といった具合に処理を行っている流れを大まかに
まとめておけば、最初は銀行から処理するのだな
ということが明確になりますね。
④経理担当者が行っている仕事内容が分かる
とは、
社長さんであっても経理担当者がどんな仕事を
毎日やっているのか分かっていないことが普通です。
従って、経理担当者が普段やっていることを
分かりやすく書いてもらうことに尽きます。
経理といっても、総務も兼任している場合が
ほとんどだと思いますから、
売上の請求書の作成、仕入先・外注先からの請求書チェック
銀行の振込、給与計算、社会保険の基礎算定届、源泉所得税の納付
規定の作成、経理業務など色々と仕事をやっている可能性があります。
⑤チェックに使うことができる
とは、
経理では月次の試算表を作成することが一応のゴールです。
この点、その試算表を通してチェックするやり方を知らないと
けん制機能をマニュアルに持たせることはできません。
例えば、仮払金・立替金・前渡金といった仮勘定はないか
給料手当の計上額は今月分の給与明細の総支給合計と
合っているかといったことを確認していくことです。
事件や報道になる社内不正を見ていると
概ね銀行口座を使ったレベルの低い不正が多いです。
例えば、外注の請求書を架空で作成して
その外注先に振り込んだとか
給料の支給金額を水増しして振込んだとか
要するにお金にまつわる不正となります。
こちらの不正を防ぐマニュアルにすることが
社内けん制機能となります。
内部統制として難しく考えない
内部統制という難しい言葉ができましたが
難しく考えなくても大丈夫です。
要するに処理とチェックが別々になっていて
それが機能している状態であれば良いわけです。
税理士として事業主の皆さんと接するうちに
税理士は処理のところに偏重しているのではないか?
と考えるに至りました。
もちろん、処理は最終的な税金計算に必要なので
会社としてみた場合に重要です。
しかし、処理のチェックを考えた場合に
チェック機能が全くない会社が多いのかな?
と気が付くに至りました。
今回、私はマニュアル作成を通じてどうやったら
社内不正を起こさないようにできるかを考えるに
処理の平準化ももちろんですが
それだけはマニュアルの意味はないと考えました。
というのはマニュアルはそのマニュアルの通りに
やってくれることが前提の話なので
会社から見た時にはマニュアルの通りにできなくても
チェックできる機能を付ければ会社としては
問題を解決することができるのではないか?と
思うに至ったわけです。
マニュアルの作成は属人化してしまった
または今後属人化してしまうお仕事を平準化させて
社内不正を防止することができるように作成を
行うことが会社にとって良いことなのではないかと
思っているわけです。
編集後記
昨日、某銀行の行員さんと関与先と合同で打合せを
行いました。
5年くらい担当していたようですが
今まで何の提案もなく、ようやくした提案が
コロナ支援の特別貸付だけです。
私が思うことは銀行さんに関与先を任せると
銀行さんばかり得をして会社は倒産するのだろうと
感じましたね。
銀行の行員さんは何年かで次々に移動します。
会社の頼りになる行員さんはまれな存在なのでしょう。
では税理士・行政書士の齋藤幸生でした!!
それでは、また!
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この記事は、その時の状況、心情で書いています。
また、法令に関しては、その後改正された場合には、
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