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決算での仕掛品とは何か?事業を理解することから始める【税理士が解説】

決算での仕掛品とは何か?

今回は、仕掛品という決算実務での解説を

行っていきたいと思います。

 

仕掛品は、職業会計人(税理士や公認会計士)

といった人たちでも気が付かない、

評価することが難しい項目となります。

 

しかし、そこは、餅は餅屋です。

税理士事務所の評価方法も大公開します!

 

それでは、スタートです!!

 

決算での仕掛品とは何か?

それでは、仕掛品の内容について解説します。

 

仕掛品とは何ぞや?

仕掛品を端的に申し上げると、在庫です!

 

サービスや会社で構築したものを

まだ納品していないために生じた、

売る前に使ったお金を合計したもの

ということができます。

 

卸売業を例にとって、イメージを解説します。

卸売業は、商品仕入⇒商品売却という

連続を事業者から事業者へ行うスタイルです。

 

ですから、商品が在庫になる場合もありますね。

例えば、7月に仕入れた商品を8月に売った

ということであれば、7月の仕入にするのか、

それとも8月の仕入にするのか

という問題が会計上で生じます。

 

正解は、8月の仕入に計上することです。

理由は、売上と仕入を対応させないと、

粗利が計算できないからです。

 

粗利とは、売上ー仕入=粗利

つまり、その取引だけの利益を計算する

ということになります。

 

それでは、物品の仕入だと、売上と対応させるように

仕入の計上時期をいじるのに、

 

物品以外の事業だと物品を仕入れていないから、

在庫を抱えていないのか?

という疑問が生じます。

 

ですから、仕掛品という在庫を計上することで、

仕掛品という在庫を仕入に計上する時期を

売上と同時にするという会計手法があるわけです。

 

例えば、WEB制作会社だと仕掛品のイメージが

つきやすいかもしれません。

 

決算が3月決算だとして、ホームページ制作を請け負い、

3月までには納品できなかったとすると、

3月末では、作りかけのホームページが存在します。

 

この作りかけのホームページの金額を

計算して、仕掛品という在庫に計上するわけです。

 

こうすることで、決算後の翌期において、

ホームページを納品した時に、ホームページ制作に

かかった仕入を計上することになります。

 

 

仕掛品を計上する会計ロジックとは?

さて、頭の回転の速い人だと、

なぜ、仕掛品に計上するの?と

疑問が出てきます。

 

仕掛品を構成する費用科目を考えると

なぜ仕掛品に計上するのかが分かります。

 

まず、会社(個人事業主含む)では、

決算までに使った金額を経費に計上する

経理方法となります。

 

なぜなら、費用を項目別に計上することで、

何にいくら使ったのかが分かるからです。

 

この費用項目をそのまま経費計上したままにすると、

実際には、売上とは連動しない事業年度(年)に

経費を計上することになって、先ほどの粗利の

計算が狂ってしまいます。

 

そこで、経費計上した費用科目のうち、

まだ納品していない作りかけの部分を

洗い出して、それを集計することで、

疑似的に在庫を作り出すことになります。

 

これを仕掛品に計上することになるわけです。

 

これは、卸売業や小売業でも同様で、

決算までは、商品を仕入れた場合には、

仕入高という経費に計上したままにして置き、

 

決算の時に、仕入高という勘定科目に計上した

金額のうち、在庫になっている個数を調べて、

仕入単価にかけると在庫の金額が分かります。

 

これを、期末商品棚卸高に計上することで、

仕入高という経費から在庫に計上することができます。

 

ただ、仕掛品の金額は、ホームページ制作で

考えたように簡単にわかるものではありません。

 

なんせ、何個もある作りかけのもので、

それぞれの作りかけの段階が異なりますし、

金額を計算することになるわけですから。

 

 

事業を理解することから始める

さて、仕掛品の計上については、

事業を理解しないとできません。

 

なぜなら、事業ややっている人によっては、

仕掛品の評価が不要になるケースがあるからです。

 

仕掛品を計上する判断をするために

仕掛品を計上する判断をするためには、

やっている事業を理解せねばなりません。

 

判断基準としては、次のフローに基づいて

判断することになります。

 

①物品を仕入れて、売る事業ではない

↓YES

②依頼を受けて納品するものを制作している

↓YES

③制作している従業員の給料や外注経費などがある

↓YES

仕掛品の計上が必要となる!

 

大まかな判断では、上記のようになります。

 

つまり、物品を仕入れていない事業が対象で、

依頼を受けて、制作し、それにかかった給料や

経費があると、仕掛品の計上をすることになります。

 

ですから、現在の経済を考えると、

ほとんどの会社や事業が仕掛品を計上する

ことになると思います。

 

 

 

 

 

仕掛品の計上を漏らすとどうなるのか?

ですが、税理士事務所で、経理代行をやっている場合、

仕掛品の計上がおろそかになることもあります。

 

なぜなら、担当者が担当先の事業を理解して、

どのような事業なのかを知っていないと、

仕掛品の計上も漏らすことがあります。

 

法人税、所得税の計算では、基本的に、

通常の経理を基に最終的な税金の対象となる

所得を計算します。

 

当然、仕掛品を漏らしたまま計算すると、

翌期、翌年に計上すべき経費が当期、今年に

入ってしまうので、過少申告になります。

 

この点、仕掛品を計上することに抵抗する

納税者もおられますが、後で過少申告加算税など

 

後になって、罰金を支払うことを考えれば、

仕掛品の計上するほうが精神的に安心だと

考えています。

 

税理士事務所の評価計算を大公開!

それでは、税理士事務所の評価計算を大公開します!

これから紹介する方法は、どの税理士事務所でも

やっている昔ながらの手法となります。

平均原価率法

名前を付けておいた方が、解説しやすいですし、

イメージが付きやすいので、命名しておきます。

 

平均原価率法!!です!

 

やり方は簡単です。

 

決算末日を迎えた時に、納品したプロジェクトの

売上と原価をそれぞれプロジェクトごとに集計します。

 

例えば、

プロジェクト①:売上高1億円、原価8,500万円、原価率85%

 

原価はどうやって算出するのかは、

後述します。

 

まずは、上記のようにその事業年度や年で

納品したすべてのプロジェクトをexcelなどで

並べていきます。

 

そのあとに、すべてのプロジェクトの原価率を

すべて足して、プロジェクトの数で割ります。

 

そうすると、平均原価率を計算することができます。

 

例えば、2つのプロジェクトのみの場合は、

プロジェクト①:売上高1億円、原価8,500万円、原価率85%

プロジェクト②:売上高5,000万円、原価3,000万円、原価率60%

1.①の原価率+②の原価率=145%

2.145%÷2=72.5%

 

そして、計算した平均原価率を決算末日では

納品していないプロジェクトの売上に乗じて、

仕掛品の金額を計算していきます。

プロジェクトの進捗率を把握すべし

この点、原価の把握にもつながりますが、

例えば、売上高が1億円のプロジェクトの場合、

7,250万円という仕掛品の金額を計算しますが、

 

これだと、仕掛品が過大となることが

想定されます。

 

したがって、プロジェクトの進行状況を

管理しておくことが必要です。

 

つまり、完成納品までの工程を段階に分けて、

進行率(進捗率)を計算しておきます。

 

例えば、ホームページ制作で、デザイン段階が

決まっている状態では、30%などといったようにです。

 

IT系だとガンドチャートでプロジェクト管理を

していると思いますので、

そのガンドチャートに進捗率を付けていくことでも

良いかと思います。

 

そうすると、次のような仕掛品の金額を計算する

ということになります。

①納品前の各プロジェクトの売上高
②納品前の各プロジェクトの進捗率
③平均原価率
④①×②×③=仕掛品の金額

原価を集計する方法

それで、原価の集計ということになりますが、

こちらは、プロジェクトの管理をやっていれば、

簡単に集計することができます。

 

つまり、そのプロジェクトの関わっている

人件費や外注費、材料費を集計します。

 

そのあとに、制作などの共通的にかかっている

経費項目を判断、集計します。

 

通常ですと、製造原価報告書(コストレポート)で

現場の経費を計上していると思いますので、

 

材料、人件費、外注費以外の経費項目については、

実務上、共通経費とみなして、

各プロジェクトに配分していきます。

 

この時に、最も客観性があるのは、

各プロジェクトの売上高です。

 

上記のプロジェクト2つで申し上げると、

年商が1億5,000万円で、

プロジェクトの①:1億円÷1億5,000万円=66%

プロジェクトの②:5,000万円÷1億5,000万円=44%

 

この割合を持って、製造原価報告書の共通経費に

それぞれ乗じて、計算した金額を原価に集計します。

 

ですから、原価を構成している金額は、

人件費、外注費、材料費といった

プロジェクトに直接かかった経費と、

 

どのプロジェクトの経費かは定かではないが、

それぞれのプロジェクトに使っている共通経費

という両方で集計することになります。

 

 

 


編集後記

今日も特に訪問はありませんが、

自分の月次決算の準備をしないといけません。

 

それと、動画の編集が終わっていませんので、

それもやりたいと思います。

 

いっぱいやりたいことがあるわけですが、

ちょっとずつ色々なことをこなしていければと

思っています。

 

 

ではぼっち税理士の齋藤でした~
それではまた👍

 

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この記事は、その時の状況、心情で書いています。
また、法令に関しては、その後改正された場合には、
異なる取り扱いになる可能性があります。

 

 

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