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【中小企業へ部門別会計の導入】検討、準備、運用の考え方

中小企業へ部門別会計の導入

中小企業で部門ができてくる場合には、

部門別会計の導入を考えることになります。

 

今回は、部門別会計とは何か?

という基本的なところから検討をします。

 

また、中小企業実務における仕掛品評価についても

最後に考えたいと思います。

 

それでは、スタートです!!

 

部門別会計とは?

最初に、部門別会計ってなに?

という解説を行うことになります。

 

部門別会計とは、部門ごとに売上と原価を

表示させて管理する会計です。

 

例えば、ITをやっている会社で考えてみましょう。

事業としては、以下のことをやっている前提で

進めたいと思います。

 

部門①:人材派遣業

部門②:レンタルサーバー

部門③:WEBデザイン

 

こうした場合の会社では、部門①~③の売上と

原価を分けて表示するように会計を行います。

 

ですから、次のように損益計算書では、

表示されることになります。

部門①として表示した場合

売上高 30,000,000円
製造原価 21,000,000円
売上総利益 9,000,000円

 

このように表示されることで、

部門ごとの売上、原価、粗利を見ることができます。

 

この部門別会計のメリットは、

部門をそれぞれ別会計で考えることで、

 

それそれの部門ごとに採算性を確認できる

ということになります。

 

経営的に考えるのであれば、

会社全体であれば、黒字でも、

部門ごとに見ると赤字ということは

あり得ることです。

 

このように部門別会計を行っていくことで

経営目標、予算編成の資料として活用する

ということが目的の会計です。

 

あと、簿記学習をされた方だとわかりますが、

製造原価勘定を使います。

 

要するに、製造原価報告書を作成することが

大前提の会計ということになります。

 

上記は損益計算書で表示しているので、

表示されていませんが、

 

製造原価の内部を考えると、材料費、労務費、製造経費を

費目別に会計処理していきます。

 

ですから、それぞれの部門ごとの経費を

部門ごとに分けて入力する作業も必要です。

 

検討と準備

さて、それでは、部門別会計の導入について、

検討と準備を考えてみます。

 

部門別会計の導入検討

部門別会計の導入の前に、導入するのかどうかを

判断しないといけません。

 

つまり、導入可否の検討を行います。

 

まず初めに、会社内には、経理部門がある

ということが大前提です。

 

部門別会計は、会計的に会社を縦割りにしますので、

経理パーソンが行う必要があります。

 

会社が行っている事業が2以上あることも

必要となります。

 

先ほどの損益計算書の例で挙げたように、

異なる事業を2つ以上やっていないと

部門別計算を導入しても意味がありません。

 

会社としては、部門別会計を管理する人材が

いるかどうかも考えたいです。

 

よくあるのが、会計の管理の部分を税理士事務所、

会計事務所へやってもらうということですが、

 

私も関与していて思うのは、会社内部でないと

実質的に管理できないです。

 

というのは、企業内部における売上や原価の管理を

外注先である税理士事務所、会計事務所に依頼する

ということになりますので、

 

管理を依頼された方は、その売上の根拠は何ですか?

といった本質的な切り口をしないと管理ができません。

 

このような本質的な確認をするのは、

会計監査としての範疇であって、

部門別会計の管理では意味がありません。

 

管理する人材としては、本来はCFOのような

人材がいることが望ましいのですが、

 

中小企業だと難しいと思いますので、

総務部長兼経理部長のような人をあてがって

管理していくことが現実的だと考えます。

 

 

 

 

 

部門別会計の準備

話は変わって、部門別会計の準備です。

 

部門別会計の準備は導入する前年から

行うことが望ましいと考えます。

 

実際に導入した後で修正する箇所があってよいですが、

現時点で出せる問題、疑問は早ければ早いほど良いです。

 

部門別会計は精度が重要です。

この精度を高める準備をするべきだと思います。

 

ここでは、中小企業が導入する上での

ポイントを絞って考えます。

 

売上について

売上は、部門ごとに分ける必要が出てきます。

この売上の取りまとめ役は、各部門の部門長です。

通常だと課長クラスになると思われます。

 

ですから、部門の課長は売上の締め日、〆後といった

会計の基本的知識が必要となりますね。

 

売上を取りまとめて、経理パーソンへ提出する

ということになります。

 

また、現場管理も重要だと考えます。

IT系、製造系問わず、いつ納品したのか?

ということが売上計上の大切なポイントです。

 

この納品という知識が現場に行き届かないと

売上の計上時期が定まりません。

 

原価について

最も煩雑となる原価についてです。

大雑把に分けると・・・

 

・材料費

・労務費

・製造経費

 

というくくりになりますが、中身が色々ありますね。

 

材料費は、部門で購入した材料についてです。

当然、余った場合には、在庫の計上をすることになります。

在庫の管理も部門で行います。

 

労務費については、給料、社会保険、福利厚生

といったものが該当します。

 

必ず部門ごとに分けて労務費の費目別を処理する

ということになります。

 

総務は経理に給料関係資料を回す場合には、

部門ごとに分かる必要があると思います。

 

製造経費が一番悩ましい問題です。

旅費交通費から接待費まで色々な経費が

含まれます。

 

現実的に、部門別を導入する場合には、

現場経費は材料費、労務費を除いて、

製造経費で問題はありません。

 

製造経費はダストボックス化する思いますので、

細かく分ける意味合いとしてはありません。

割り切りも必要だと思っています。

 

経理上では、当然、科目ごとに分けて

経理を行うことは言うまでもありません。

 

 

運用の考え方

さて、上記で準備までが済んで会計ソフトへ

入力していくことになると思います。

 

そこまで来て、今度は運用を考える

フェーズとなります。

 

先ほども、準備のところで申し上げましたが、

部門別会計を導入するには、

経理だけで完結するということではないです。

 

経理の本質を考えると、原始資料がないと

経理処理はできません。

 

したがって、経理資料を作るのは誰なのか?

ということになると思います。

 

中小企業の現場で考えると、

経理は総務も一体となって運営している

ところも少なくありません。

 

その部分も考えると、現場にもある程度

協力をしてもらう必要があると考えます。

 

まずは、売上の請求書の作成ですね。

売上の請求書の作成に当たっては、

業務フローを一新する可能性があります。

 

①経理ではなく、部門が作成する

②作成に当たって、売上の計上に関する知識の研修

③実際に担当者ごとに作ってもらう

④担当者が部門長へ請求書を提出する

⑤部門長が請求書のチェックを行う

⑥修正箇所があれば、部門長から担当者へフィードバック

⑦すべてが取りそろったところで、経理へ資料を回す

 

ある程度慣れてくると、③~⑦までが一連の

業務フローになると思います。

 

現実的には、当月の売上を翌月にしてくれないか?

と言われることもあると思います。

 

状況に応じて、臨機応変にやっていくことが

必要だと思います。

(決算月であれば、売上の計上漏れとなりますので、

税理士へは報告すべき事案となります。)

 

また、経費関係についても各部門で取りまとめて

月次で提出する業務フローになります。

 

こちらは、最近の中小企業でもできている会社が

多いように感じますので、特に一新するような

ことはないのかなあと思います。

 

最後に、経理周りの管理の話をします。

中小企業は、ここが置いてきぼりです。

 

必ず、会社内部に管理する人を置くことが

大切なことです。

 

できれば、経理は3人はいた方が良いと考えます。

管理する人、お金周りの管理の人、入力する人です。

 

特に、管理する人は重要で、部門別の監督をしながら、

不正もしていないかどうかを管理するわけです。

 

そのために、お金の管理と、経理の入力は分ける

というスタイルを提案しています。

 

会社内不正が起こる背景には、

ワンオペがあるからだと私は思っています。

 

3人でけん制する業務を構築してしまえば、

そう簡単に不正をすることはできません。

 

管理する人に会社の銀行印や実印を持たせておけば、

お金を管理する人は別にいますので、

管理する人だけで不正を行うことはできません。

 

逆にお金周りをやっている人が、

独自にお金を引き出すということもできません。

 

入力する人も別にいますので、

その人の目も気になるのが普通です。

 

こういった管理体制の構築には、

部門別だから必要ということはありません。

 

しかし、中小企業を考えるとワンオペは

現実に起こっているので、部門別を契機に

構築することを提案しています。

 

 

仕掛品の計上について

最後に、仕掛品の計上について解説して

いきたいと思います。

 

仕掛品とは、いわゆる完成していない品物を

金銭的に評価をすることで、在庫として計上する

会計手法のことです。

 

つまり、製造工程で完成が100%だとしたら、

100%以外の未完成品すべてを言います。

 

これを計上するタイミングは、決算末日時点です。

3月決算だとしたら、3月31日における未完成品を

計上することになります。

 

さて、問題です、

未完成品を金銭的にどうやって評価しますか?

これが問題となるわけです。

 

税理士なので、税金だけの話をすると、

未完成を在庫計上しないと、税務調査で100%

在庫計上を求められ、製造原価の一部が否認されます。

 

なぜなら、未完成品は、まだ売れていないので、

売れていない商品という在庫を計上していない

ということになるからです。

ですから、計上もれということになりますね。

 

ではここから、計上金額のヒントを考えたいと

思います。

 

なお、私は製造業に関与したことがないので、

建設業で代用して考えたいと思います。

 

工程①未完成工事を洗い出す

決算末日の未完成工事の現場を取り出します。

これを始めにやらないと仕掛品の計上ができないのです。

 

決算末日までに受注した工事のうち、

まだ終わっていない現場を洗い出しましょう。

 

工程②直接費を洗い出す

未完成工事に使った材料費、外注費、人件費

といった直接的にわかる金額を集計します。

 

未完成工事に関する直接費を集計しないと

工程③に影響するので、必ず集計することになります。

 

工程③共通経費を配分する

最後に、共通経費を未完成工事に配分します。

共通経費とは何かというと、

 

製造原価報告書に計上されている、

福利厚生費+製造経費の合計金額のことです。

 

共通経費×未完成工事の受入金/売上高
=未完成工事の共通経費

ということになります。

 

工程④仕掛品の評価を算出する

工程②と工程③の合計額が仕掛品

ということになります。

 

 

上記は、あくまでも建設業における一般的評価方法で、

多くの税理士事務所や会計事務所でやっていると思います。

 

上記以外に、その年に受注し、完成した案件ごとの原価率を

すべて足して、完成した案件で割って率をだす

平均原価法も頻繁に行うやり方ですね。

 

どれが、正しいということはないので、

あくまで参考程度にはなりますが、

ヒントとして考えてみてください。

 

特に、WEB制作の現場では、案件ごとの

経費管理は行っていない場合が多いです。

 

案件台帳などを使って、

経費管理をしていくことが大切です。

 

 

 


編集後記

今日は、バンドで制作した音源の最後の録音を

しようかと思います。

 

ようやく、バンドへ時間を振る余裕が出ました。

あとは、映画バンブルビーを見たいです・・・

 

 

ではぼっち税理士の齋藤でした~
それではまた👍

 

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この記事は、その時の状況、心情で書いています。
また、法令に関しては、その後改正された場合には、
異なる取り扱いになる可能性があります。

 

 

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