【法人税等の調査事績の概要】令和5年事務年度の公表資料を税理士が解説
こんにちは!
税理士・行政書士・社会保険労務
の齋藤幸生です!
今回は・・・
国税庁が公表した法人税等の
調査事績の概要をかいつまんで
解説します。
それでは、スタートです!!
法人税等の調査事績の概要
調査件数は5万9千件あり
令和4年の6万2千件と比べると
減ったようです。
しかし、追徴税額は直近10年で
2番目の高水準になっているようです。
実地調査と言って法人の事務所等
に行った場合の結果が以下です。
・申告漏れとなった所得:9,741億円
・追徴税額:3,197億円
・調査1件当たりの追徴税額:5,497千円
次に簡易な接触の件数は7万件になり
令和4年度が6万6千件だったのに比し
増えているようです。
簡易な接触での結果は次の
通りです。
・申告漏れ所得:92億円
・追徴税額:92億円
申告漏れ所得とは法人税の
課税対象になる利益になり
追徴税額は申告漏れになった
利益に対して追加で納付が
必要になった法人税になります。
法人への調査は法人税だけでは
なくて源泉所得税もあります。
実地調査では6万9千件行っており
次のような状況です。
・非違があった件数:2万2千件
・追徴税額:375億円
・調査1件当たりの追徴税額:547千円
簡易な接触では
・接触件数:13万5千件
・追徴税額:88億円
不正がバレるのはなぜ?
今回の概要では不正が2件紹介
されています。
1件目は消費税の不正還付事例です。
事例は次の通りです。
実際の輸出物よりも高額な商品を記載した輸出申告書を使って、還付申告を水増し、輸出があったように見せかけた事例
これがバレたのは関税から
税務署に情報提供があったからです。
輸出時に輸出物が通関書類の
内容と異なっていたため
税関は怪しいと思い税務署へ
情報提供をしました。
この情報を基に関税書類に書かれた
ものを売った会社へ事実確認をして
関税書類に書かれた物品が
販売されていないことを特定
また、ほかの業者への聞き取りでは
不正をした会社名義の輸出申告書を
作成するように指示された事実を特定
最終的に不正輸出を行った
法人に調査を行って
消費税の不正還付をしていたこと
を社長が認めたといった経緯です。
今回の事例は水増しと架空輸出の
合わせ技だったわけです。
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海外取引を使ったよくある
不正事例が2件目です。
事例は次の通りです。
・調査対象法人が海外の業者から水増しで請求をさせた
・水増し金額を調査対象法人の社長の知人の口座へキックバック
・そのキックバック分を知人が現金で社長へ渡す
この事例は通常調査だとわからない
可能性があるのですが
税務署が不正をつかんだ可能性は
3つほどあります。
①内部から通報があった
②銀行から支払調書が税務署へ提出された
③税務署が銀行調査をしていて気が付いた
今回の事例での申告漏れを
指摘された金額は1億4千万円
だったので
可能性として最も高いのは
銀行から支払調書が提出された
になると想像します。
銀行は銀行口座から支払
又は口座へ送金された金額
について
税務署へ報告する書類が
支払調書になります。
特に海外が絡むお金のやり取りは
注しされていると考えられます。
このように不正をしても
法人税以外のところから
情報が税務署に上がってしまい
不正を発見されて最終的に
追徴や重い罰金を支払う羽目に
なる可能性が高いのです。
不正が多い業種はこの業種だ!!
不正が多い業種が公表されており
以下のようになっています。
バー・クラブ、その他の飲食、外国料理、土木工事、美容、一般土木建築工事、職別土木建築工事、廃棄物処理、船舶、その他の道路貨物運送
特にバー・クラブの不正発見割合が
59%になっているそうです。
おそらく、現金売上が多いので
売上ごと隠すといったことが
可能だからだと考えます。
不正が多い業種では現金取引が
多い業種が上位に来ており
飲食店でもキャッシュレスが
普及しているところでしょうが
いまだに現金取引が多いのだと
思われます。
上記とは異なり不正な利得が
多くなってしまった業種もあります。
その他の化学工業製造、化粧品小売、物品賃貸、精密機械器具卸売、映画サービス、砕石、砂・砂利採取、広告、その他の卸売、外国料理、金属打抜き・プレス加工
栄えある最も不正な利得が大きい
金額となったその他の化学工業製造
では109,919千円でした。
千円だとわかりずらいですが
約1億円が不正とされている
状況です。
編集後記
調査概況を毎年確認して思うことは
税務署の言うなりの処理にしなければ
ならないというのではなくて
あったままを事実の通りに
帳簿で処理すればよいのだと
感じます。
利益が増えたので売上を隠すとか
仕入金額を水増ししてキックバックとか
架空輸出をして消費税を還付するとか
手口は様々ですが
税務署は税理士よりも不正を対応する
件数が圧倒的に多いと考えらえます。
情報提供や不正の情報をつかむ
情報網もいろいろあります。
無駄な税金を支払う必要は
ないと思いますが
不正だけはダメ絶対!
なのです。
では税理士・行政書士・社会保険労務士
の齋藤幸生でした!!
それでは、また!
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