【相続とインボイス制度】亡くなった親の事業を引き継いだ場合にどうなるのか?
こんにちは!
税理士・行政書士・社会保険労務
の齋藤幸生です!
今回は・・・
相続があった場合のインボイス
制度などについて解説します。
それでは、スタートです!!
相続があった場合のインボイスの効力①
事業を行っていた個人が
亡くなり相続により親族が
亡くなった個人の事業を引き継ぐ
といったことがあります。
現実には親が事業をやっていて
子供が親の事業を相続で引き継ぐ
といったイメージです。
さて、このときにインボイスの
効力はどうなるのか?
ここでは、事業をやっている親が
令和5年10月1日より前に死亡した
という前提で話を進めます。
親が令和5年10月1日を登録日
としてインボイス発行事業者の
申請をしていたところ
令和5年10月1日より前に
亡くなった場合には
インボイス発行事業者の登録は
されないことになります。
このときに事業を相続した
子供がインボイス発行事業者の
登録をする場合には
改めてインボイス発行事業者の
登録申請を行う必要があります。
ただし、次のような場合は
話が変わってきます。
子供がすでに個人事業をやり
インボイス発行事業者の登録
申請を行って
インボイス発行事業者になっている
という場合には
すでにインボイス発行事業者に
なっているため
親の事業を引き継いだことを
原因とするインボイス発行事業者
の登録申請はしなくても
インボイス発行事業者の効力は
すでにあります。
結果、インボイス発行事業者の
登録申請は不要になります。
では、死亡した人の消費税の
手続きは何も必要ないのか
というとそうではありません。
子供が亡くなった親の事業について
個人事業者の死亡届出書を提出する
ことになります。
相続があった場合のインボイスの効力②
先ほどと同じく亡くなった
親の事業を子供が引き継いだ
場合を考えます。
ここで考えることは
親が亡くなったのが
令和5年10月1日以降に死亡した
という設定にします。
この場合に親の事業を相続した
子供がインボイス発行事業者の
登録を受けたい場合には
改めてインボイス発行事業者の
登録申請をします。
インボイス発行事業者の登録の
効力は事業を相続した子供には
引き継がれないと理解することが
ポイントです。
ただし
子供がすでに個人事業をやり
インボイス発行事業者の登録
申請を行って
インボイス発行事業者になっている
という場合には
すでにインボイス発行事業者に
なっているため
親の事業を引き継いだことを
原因とするインボイス発行事業者
の登録申請はしなくても
インボイス発行事業者の効力は
すでにあるという点は上記と
同様です。
続いて亡くなった親の事業
について事業を相続した子供は
次の届出書をします。
適格請求書発行事業者の死亡届出書(以下、インボイス発行事業者の死亡届という)
になります。
こちらを提出することで
親のインボイス発行事業者の
効力がなくなることになります。
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インボイス発行事業者の
死亡届を提出することにより
少々厄介なルールが存在します。
亡くなった親のインボイス
発行事業者の効力の期限です。
インボイス発行事業者の
死亡届を提出することで
以下のいずれか早い日まで
親のインボイス発行事業者の
効力は継続します。
①親が死亡した日の翌日から子供がインボイス発行事業者の登録を受けた日の前日
②親が亡くなった日の翌日から4か月経過する日
具体的に日にちを絡めて確認を
してみましょう。
親が亡くなった日が令和5年10月5日
子供のインボイス発行事業者の登録日:令和5年12月1日
親が亡くなったの翌日から4か月経過する日:令和6年2月5日
こんな場合には
令和5年12月1日の前日である
11月30日で親の効力は消える
ことになります。
では、令和5年10月1日から
11月30日まではどうなるのか
というと・・・
親のインボイス発行事業者の
効力は継続されて
事業を引き継いだ子供のインボイス
発行事業者の効力とみなされます。
なぜ、効力が最大で死亡日から
4か月継続して子供へ効力が
一時的に移るのかというと
子供がインボイス発行事業者の
登録申請をする時間的猶予を
設ける必要があると考えられます。
先ほどの例示のように
令和5年10月5日に死亡した親の
事業を子供が引き継ぐとしても
いきなり消費税の手続きを
行えないのが一般的です。
49日法要までは相続関係の
手続きさえまともにできない
のが普通ではないかと考えられます。
こういったことから4か月間は
亡くなった親のインボイス発行事業者
の効力は継続することにより
事業を相続しやすいようにしている
と考えられます。
相続があった場合の消費税の落とし穴
親がインボイス発行事業者
であっても事業を引き継いだ
子供が消費税の負担を恐れて
インボイス発行事業者に
なりたくなりといった考え方
をする可能性があります。
このような考え方は理解しますが
本当に問題ないのでしょうか?
個人事業における消費税の
課税事業者の判定の原則は
2年前の課税売上高が1千万円を超えているかどうかです
→1千万円を超えていると課税事業者になり、1千万円以下だと免税事業者になります。
ただし、相続があった場合には
この判定が少しややこしくなります。
相続があった(死亡した)年
相続があった年の2年前の亡くなった親の課税売上高が1千万円超えるときは、相続があった(死亡した)日の翌日から相続があった年の12月31日までは課税事業者になります。
さらに、相続があった年の翌年
と翌々年は次のようになります。
相続があった年の翌年または翌々年の2年前における親の課税売上高と子供の課税売上高との合計額が1,000万円を超える場合は、相続があった年の翌年または翌々年は課税事業者になります。
つまり、相続があった年は
何とか免税事業者になれたとしても
相続があった翌年や翌々年は
親とあなたの売上の合計額で
課税事業者の判定をするため
課税事業者になってしまう
恐れがあります。
こうなるとインボイス発行事業者
になっていようが関係はなく
消費税の申告・納付の義務が
あたなに付きまといます。
インボイス発行事業者ではない
ということで取引先を失って
しまう可能性もあるかもしれません。
実務上のあなたがインボイス
発行事業者になるかどうかの判断
の流れとしては
①2年前の親の課税売上高が1千万円を超えているのかを確認する
②①の確認後、インボイス発行事業者の登録申請をするかどうかを判断する
ことになると考えます。
編集後記
自分で考えておいて思うのは
税理士には厳しい判断をさせる
可能性はあるかなということです。
相続人である子供から相続の
相談があったとして
事業をやっていたことは
すぐにわかるわけです。
相続の依頼は受任している
ところではありますが
消費税の手続きについてまで
アドバイス差し上げる義務が
税理士にはあるのかなと
考えるわけです。
こうなってくると一部報酬は
上げざるを得ないかなとか
相続だけの受忍して相続以外
の税務のへのアドバイスはしない
という書面をとっておく必要が
あるのかなと考えられるのです。
事業と倫理観のはざまに
立たされることになるわけですね。
では税理士・行政書士・社会保険労務士
の齋藤幸生でした!!
それでは、また!
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