【令和5年税制改正大綱】インボイスと負担軽減策などを解説
こんにちは!
税理士・行政書士の齋藤幸生です!
今回は・・・
令和5年税制改正大綱のインボイス
関連の内容について解説します。
2023年の通常国会に今後提出され
法律になる予定になります。
現状では「案」という状態
になることにご留意ください。
それでは、スタートです!!
令和5年税制改正大綱の負担軽減策
先だってマスメディアから
報道された通り以下の負担
軽減策が盛り込まれました。
①小規模事業者に対する納税額に係る負担軽減措置(納税額の2割負担)
②一定規模以下の事業者に対する事務負担の軽減措置(帳簿方式による仕入税額控除)
→こちらは最後に解説します。
①についての内容
適用対象者:免税事業者がインボイス発行事業者になった者
消費税の納税額:売上の消費税の2割
適用期間:3年間
適用対象者を詳しく解説すると
インボイス制度後も免税事業者である事業者がインボイス制度後適格請求書発行事業者又は課税事業者を選択して免税点制度を受けることができなくなった場合
言い換えると
年間の課税売上高が1,000万円
以下の免税点利用者が
適格請求書を発行できる事業者
等になった場合です。
消費税の納税額の計算方法は
売上の消費税-(売上の消費税×80%)=売上の消費税の2割を納付
になります。
適用期間は
令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する課税期間
となっています。
個人事業主を前提にするなら
①令和5年分の確定申告(こちらは10月~12月について)
②令和6年の確定申告
③令和7年の確定申告
④令和8年の確定申告
消費税の2割負担のメリット・デメリットと落とし穴
消費税の2割負担のメリット
デメリットを解説します。
メリットは
①消費税の納付額が売上の消費税の2割になる
②申告書の作成が簡単になる
③簡易課税の業種区分が不要になる
④経費関係の帳簿やインボイスの保存・管理が不要になる
メリットは全般的に
事業者にとって優しい措置に
なっていることになります。
納税が発生することを
除けばですが。
デメリットは
①適用関係の判断がちょっと難しい
②申告書に書くだけで適用になるのため記入ミスが起こる可能性がある
③消費税のための帳簿やインボイスの保存・管理は必要ないが所得税では必要
④負担軽減措置の期間経過後に簡易課税の適用漏れが発生する可能性がある
デメリットは簡単に適用ができる
が故のあなたのミスが原因になる
可能性があります。
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2割負担の落とし穴は
2割負担の対象者から除かれる
対象者の判断です。
2割負担から除かれる方は
①課税期間の短縮措置を受けている方
②令和5年10月1日前から課税事業者選択届出書を提出している方
つまり、インボイス制度で初めて
課税事業者になる方が対象です。
インボイス制度前に課税事業者に
なっている方は2年前の課税売上高
が1,000万円以下であっても
2割負担の対象者にならない
ということになります。
簡易課税の適用漏れが発生する
事案として想定されることは
個人事業主として
令和8年分まで2割負担を受けて
令和9年から簡易課税の適用を
受ける場合になります。
簡易課税は適用を受ける年の
前年の末日(令和8年12月31日)
までに届出書を提出する必要が
あるわけです。
しかし、あと3年あるから簡易の
届出をしないで放置してしまう
可能性があります。
メリットとして帳簿などの保存や
管理が不要と記載しましたが
所得税法上では売上や経費の
帳簿を作成する必要はありますし
経費の領収書やレシートを
廃棄してしまうとそもそも
本当に取引があったのかが
わからなくなります。
メリットの話はあくまでも
消費税の対応としては必要ない
と理解しておくとよいです。
令和5年税制改正大綱のインボイス制度の柔軟化
インボイス制度下での柔軟化は
3つあります。
①一定規模以下の事業者に対する事務負担の軽減措置
②少額な返還インボイスの交付義務免除
③適格請求書発行事業者の申請期限の見直しと柔軟化
①の要件は次の通りです。
適用対象者:基準期間における課税売上高が1億円以下である事業者
適用期限:インボイス制度の施行から6年間
対象金額:1万円未満の課税仕入れ
内容:インボイスの保存がなくとも帳簿のみで仕入税額控除を可能とする
基準期間の場合には課税売上高は
1億円以下になり
特定期間の場合には課税売上高は
5,000万円以下になります。
適用期限は
令和5年10月1日~令和11年9月30日までの間に国内において行う課税仕入れについて
とありますので
令和11年9月30日までの取引が
対象になる点に注意が必要です。
「○○日の属する課税期間」
という表現になっていないため
令和11年9月30日が入っている
事業年度や年で判断しないわけです。
金額は1万円未満のため金額判断も
行う必要があります。
消費税法基本通達によれば
3万円未満の判断は一回の取引の課税仕入れに係る税込の金額が3万円未満かどうかで判断する
基本通達11-6-2より抜粋
となるため
「一回の取引で税込みで1万円未満」
を判断することになるのではないか
と考えます。
少額取引のインボイス不要は
振込手数料などを差し引いて
振込が行われた場合などに
適用されます。
このような「少額な値引き等」でも
インボイスが必要になるわけですが
インボイスは不要とされます。
少額な値引き等の金額は
1万円未満であるとされる可能性が
あります。
適格請求書発行事業者の申請期限の
見直しは
申請する場合に、課税期間の初日から登録をするときには課税期間の初日から起算して15日前の日まで(現行は1か月前まで)に申請書を提出しなければならない
とされることになります。
申請期限が後ろになることで
申請を早めにする必要が
なくなったとも考えられます。
適格請求書発行事業者の申請期限
の柔軟化とは
令和5年4月以降に登録申請をして令和5年10月1日から登録を受けたい場合の「困難な事情」の記載を求めない
となります。
要するに現行制度では
令和5年3月末までに申請
を行わないといけないわけ
なんですが
令和5年4月以降に申請した場合に
3月までに提出できなかった困難な
事情を書く必要があります。
この「困難な事情」の記載は
どうでもよいので申請してください
というわけです。
編集後記
結構ボリュームがある内容ですが
これでも内容を省いての解説です。
今後、同じ内容をさらに絞って
解説記事にしたいと思います。
上記でも書いたとおり
令和5年税制改正大綱は
まだ法律の段階ではありません。
2023年の通常国会の提出され
成立しないといけないわけです。
では税理士・行政書士の齋藤幸生でした!!
それでは、また!
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