【初めての簡易課税】事業区分、計算方法、届出などを丸っと解説
こんにちは!
税理士・行政書士の齋藤幸生です!
今回は・・・
初めて簡易課税を適用する方向け
の記事になります。
それでは、スタートです!!
簡易課税の事業区分と経費の消費税区分
簡易課税では事業区分が消費税の
計算に影響を与えるため最も重要な
事柄になります。
事業区分を設定する前に
あなたの事業が簡易課税の事業区分
のどれに当たるのかを確認します。
形式的には国税庁の以下のサイトで
業種を確認することが可能です。
しかし、形式的には判断できない
部分があります。
例えば、建設業です。
第3種に該当する建設業とは
自己が請け負った建設工事(第三種事業に該当する者に限る。)の全部を下請に施工させる元請けとしての事業
消費税基本通達13-2-5より抜粋
ということになります。
上記のような建設業ではなく
加工賃などの役務提供をしている
場合には第四種事業になります。
国税庁は、次のように定めています。
令第57条第5項第3号《事業の種類》に規定する「加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供」とは、「第三種事業、第五種事業及び第六種事業の範囲」の規定により判定した結果、製造業等に該当することとなる事業に係るもののうち、対価たる料金の名称のいかんを問わず、他の者の原料若しくは材料又は製品等に加工等を施して、当該加工等の対価を受領する役務の提供又はこれに類する役務の提供をいう。 なお、当該役務の提供を行う事業は第四種事業に該当することとなる。
消費税基本通達13-2-7より抜粋
上記の通達があるがゆえに
いわゆる大工が建設現場にて
労務を提供するといった
人工代については
簡易課税の事業区分が
第三種事業ではなく第四種事業
に該当することになります。
これ以外にも事業区分の
通達がありますので確認したほうが
無難だと言えるでしょう。
たまに車を買替で購入するといった
ように固定資産の売却をすることが
あると思います。
固定資産の売却収入は
第四種事業に該当するため
本業とは異なる事業区分に
なります。
話は変わって経費の消費税区分は
必要になるのかです。
簡易課税の計算上では売上や
収入について事業区分を設定
すれば消費税の計算はできます。
会計ソフトでは簡易課税の設定を
したとしても経費関係の消費税
区分を設定することができる仕様に
なっていることが多いです。
結論から申し上げると
簡易課税から本則課税にする
可能性があるのであれば
経費の消費税の区分を設定して
おくとよい思います。
というのは、簡易課税は大きな
固定資産の購入で支払った
消費税については控除できません。
しかし、本則課税では経費や
固定資産の消費税は控除可能です。
この場合、何事もなければ簡易課税
の方が本則課税よりも消費税の納付額
は少なくなったとしても
大きな設備投資がある場合には
本則課税の方が消費税の納付額
を引き下げることがあるためです。
経費の会計処理や固定資産の
購入ときに消費税の区分を設定
しておくことで消費税の納付額の
有利不利判定が可能になります。
簡易課税の計算方法と届出
簡易課税の計算方法は
売上の消費税-(売上の消費税×みなし仕入率)
という計算になります。
数字をいれて具体的に計算を
確認してみますと
2022年の年間の売上880万円(税込)で、第三種事業だったとします。
80万円(売上の消費税)-(80万円×70%)=24万円(納付額)
という計算になります。
このように簡単に消費税の計算を
行うことができるため簡易課税
というわけですね。
以上のことから事業区分によって
消費税の計算がされるため
事業区分が最も
重要と言えるわけです。
ご依頼はこちら!
1 個別相談スポット業務
2 税務調査立会支援
3 経営革新等支援業務
4 税務顧問などの顧問業務
簡易課税を選択するためには
提出期限までに届出書を
税務署に提出することになります。
言い換えると
自動的に簡易課税にはならない
ということです。
簡易課税を選択する届出書は
消費税簡易課税選択届出書
になります。
提出期限は
簡易課税で計算する事業年度又は年の前事業年度の末日又は前年の末日まで
になります。
例えば
①3月決算法人で2023年4月から簡易課税を選択する場合の提出期限
2023年3月31日まで
②個人事業主で2023年から簡易課税を選択する場合の提出期限
2022年12月31日まで
よくある実務上の間違いは
提出期限が土日や祝日の場合には
翌日に提出期限があると思いこむ
ということです。
消費税の提出期限が休日で
あったとしても翌日になることは
ありませんので注意が必要です。
提出する税務署
確定申告書を提出する税務署に上記の届出書を提出します。
簡易課税の税抜処理や2年縛りについて
簡易課税の消費税の会計処理は
基本的に税込処理を行います。
しかし、税抜処理で会計処理を
行うことも可能です。
税抜処理を行うと消費税差額が
収入になるため消費税の課税対象
金額が一気に増えるので注意が
必要になると考えます。
この理屈は次のような会計処理を
行うため発生するものです。
先ほどの例で
2022年の年間の売上880万円(税込)で、第三種事業だったとします。
80万円(売上の消費税)-(80万円×70%)=24万円(納付額)
仮払消費税は20万円だったとします。
このときに消費税の会計処理は
次のようになります。
決算時の消費税の精算仕訳
借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方科目 |
仮受消費税 | 80万円 | 仮払消費税 | 20万円 |
未払消費税等 | 24万円 | ||
雑収入 | 36万円 |
簡易課税で税抜処理をすると
仮払消費税と仮受消費税の
精算仕訳をしますが
簡易課税で計算した場合には
本則課税のように仮払消費税と
仮受消費税の差額が消費税の
納付額とならない以上
貸借一致の簿記の原則から
差額は収入として認識をする
という結論になります。
話は変わりまして
簡易課税を1度選択することで
選択した事業年度又は年と
翌事業年度又は翌年の2年間
簡易課税を継続することになります。
実務上の注意点になるところです。
事業計画として簡易課税を選択した
翌年に設備投資などの大きな
国内での支払いがある場合には
当期はわざと本則課税で計算して
翌年に備えるといったことをする
場合があります。
簡易課税を選択する場合には
当期だけの計画ではなく
翌年の計画も視野に入れて
選択することをお勧めします。
編集後記
簡易課税は簡単なように思うと
思いますが実は奥が深い計算が
存在します。
例えば、事業区分が異なる2つ以上
の売上がある場合には
1つの売上の全体の売上に締める
割合が75%以上のときに
75%以上の1つの事業のみなし仕入率
を使って計算する特例計算などがあります。
結論として2つ以上の事業区分が
異なる事業をやっている場合には
特例計算があり、通常の簡易課税の
計算よりも消費税の納付額を下げる
可能性があるわけです。
では税理士・行政書士の齋藤幸生でした!!
それでは、また!
youtube始めました!
税理士さいとうゆきおチャンネル
現在活動中止しています。
税務顧問や執筆などのご依頼はこちら↓
この記事は、その時の状況、心情で書いています。
また、法令に関しては、その後改正された場合には、
異なる取り扱いになる可能性があります。
ご依頼はこちら!
1 個別相談スポット業務
2 税務調査立会支援
3 経営革新等支援業務
4 税務顧問などの顧問業務