国税庁のe-Tax接続障害で考える所得税・贈与税の申告期限
こんにちは!
税理士・行政書士の齋藤幸生です!
今回は・・・
国税庁のe-Tax接続障害について
私が考える申告をまとめた記事です。
それでは、スタートです!!
国税庁のe-tax接続障害はなぜ起きたか?
国税庁は2023年3月18日に
e-Tax接続障害が起きた理由を
次のように説明しました。
令和4年3月14日(月)から、e-Taxの接続障害(以下「本障害」といいます。) が断続的に発生し、e-Taxにログインができない、ログインができても送信ができない又は送信に時間を要するなど、利用者の皆さまにご不便をおかけすることとなりました。心よりお詫びを申し上げます。 国税庁と運用事業者において、本障害の対応を進めているところであり、現時点で把握した状況と対応策等についてご報告いたします。
利用者がe-Taxを利用して申告・納税を実施しようとした際に、本障害により、令和4年3月14日(月)から15日(火)にかけて、断続的に主に次のような事象が発生しました。 ・ ログイン困難(一部ログイン不可・混雑通知が表示される) ・ 送信困難(送信不能又は送信所要時間の長期化) ・ 国税庁からの通知確認困難(国税庁からの通知メール遅れ) 本年度の申告では、多くの方にe-Taxを利用していただいたこともあり、申告データを国税庁のデータベースサーバに格納する際の処理や取り出す際の処理に極めて大きな負荷がかかり、処理パフォーマンスの低下が発生したことが上記事象の原因であることが判明しました。
国税庁 3月14日から発生したe-Taxの接続障害への対応等より
データベースを処理しているサーバー上で
処理遅延が発生するほど多くの接続が
行われたということのようです。
こうした事態は国税庁が想定して
いなかったと考えています。
なぜなら、申告の取扱について
何回か変更したからです。
近年の税務行政の方針としては
①電子化を推進している(デジタル庁発足前から)
②電子申告の広報活動に力を入れている
③電子申告が青色申告特別控除の特典になった
④確定申告書等作成コーナーの充実
ということです。
電子化推進は国税庁というよりも
税務署の人員を少なくして対応したい
という思惑があります。
確定申告期間中ではテレビCMや
ネット広告で度々e-Taxで電子申告
という広告を見ることが増えました。
ダメ押しは電子申告による
青色申告特別控除の特典です。
従来、電子申告に関わらず65万円だった
控除金額を電子申告しないと55万円に
減らす変更をしています。
こうなると多く人が確定申告会場で
何時間も待たされるくらいであれば
ネットで申告書を作成したほうが
よいのではないかと考えて
電子申告を行った可能性があります。
電子申告による件数は国税庁の資料で
2018年:11,472,798件
2019年:10,937,729件
2020年:13,381,884件
となっていて
特に2020年は2019年と比べて
300万件増加しています。
ここにきてコロナが発生しているので
2021年や2022年は2020年よりも
増えている可能性があります。
というように電子申告が活用される
前提条件がそろった可能性があるので
今回の接続障害は起こるべくして
起こったトラブルだと考えています。
所得税と贈与税の申告期限を1か月延長しては?
e-Taxの接続障害は今度も起こりえる
と考えています。
以下理由を考えると
①申告期間が決まっているので申告の分散が実現できない
②還付申告で1月から申告できることの周知が実現できていない
③年明けの1月から還付申告をする特典をつけていない
④約1か月の申告期間がそもそも短すぎる可能性がある
⑤電子申告する納税者の増加傾向
サーバー負荷が起こる原因は
国税庁以外の事例を見ても
大量のアクセスが短期間に集中する
ことが理由で起こっています。
ですから申告の分散をしたいところ
ではありますが申告期間が決まっていて
しかもほぼ1か月以内に行う必要がある
ということから
なかなか分散して申告をしてもらう
ということはできないと考えます。
還付申告は1月から可能なのですが
周知はほぼされていませんし
早めに申告をしたところで
青色申告特別控除のような特典が
存在していません。
唯一、還付金の振込が早くなると
国税庁は説明していますが
それでも申告後3週間はかかります。
これを早いと考えるかどうか
ということになりますね。
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私見になりますが申告期間が
1か月ということが短すぎるのではないか?
と私は考えています。
したがって申告期限の原則を
4月15日にしてみてはどうかということです。
これに反対の立場が住民税の担当である
総務省になります。
4月15日申告だと住民税の計算が
間に合わないと主張していました。
現実に計算が間に合わず
納付に支障をきたしたということは
少なくとも私の関与先の間ではないです。
それに住民税の計算が間に合わず
結果、納税の収納に時間がかかる
ということであれば
住民税の源泉徴収制度を少しいじって
源泉所得税の年末調整と同じ制度に
変更すればよいのではないかと思います。
青色申告特別控除の取扱変更に違和感を感じてしまう
e-Taxの接続障害で青色申告特別控除の
取扱がコロコロ変わりました。
一つ目は「接続障害で申告期限の延長を
記載して電子申告してください。」
という対応です。
二つ目は、接続障害で申告期限までに
提出できなかったことにつき
泣く泣く書面で提出した人がいたようで
この納税者については
接続障害の申告期限の延長を記載して
電子申告していただければ
電子申告したほうを期限内申告として
処理します。
という方針でした。
三つ目として、やっぱり申告書を
後だししなくてもよいです。
と方針転換しました。
これが2023年3月22日に更新されて
現在の公表資料になっています。
以上の取扱の変更があったので
接続障害について国税庁は予見できて
いなかったと考えています。
対応がコロコロ変わった原因として
恐らく、税理士会側からのクレームが
あったのではないかと想像します。
というのは、接続障害で期限内申告を
できないと判断して書面で申告書を
提出しようと判断できるのは税理士くらいです。
したがって、期限内申告をしないとまずいと
判断した税理士が書面の申告書を提出後
国税庁の資料を確認したところ
申告書を再提出させる必要はあるのか?
と疑問に思ったとしても不思議ではないです。
誰の申告書を書面で提出したのかは
提出した税理士側では把握可能なので
だったら55万円と記載した部分を
65万円に職権で直してくれ!!
といったクレームがあったのではないか?
という私の想像ですが
考えるところです。
こうした想像ができる理由は
税理士だと所属している税理士会から
国税庁の対応がメールで情報共有されます。
情報共有されるタイミングが一緒で
3月18日に接続障害の対応を公表して
たった4日後に対応を真逆に変えるのは
違和感を覚えます。
申告書の再提出を公表していながら
やっぱり再提出しなくてよくなりました。
どう考えてもおかしいです。
こういう対応は何かしらの力が
働かないとできないと思います。
編集後記
私が勝手に色々と思うところを
書いてきました。
私が最終的に考えるところは
接続障害は今後も起こる可能性がある
ということです。
その度に国税庁は対応せざるを得なくなり
対応がコロコロ変わる可能性があるわけです。
であれば、申告期間をそもそも
さらに1か月後の4月15日して
相応の対応をすればよいのではないか?
ということなのです。
では税理士・行政書士の齋藤幸生でした!!
それでは、また!
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この記事は、その時の状況、心情で書いています。
また、法令に関しては、その後改正された場合には、
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