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第三者が負担した輸入消費税は誰が仕入税額控除を受けるのか?

第三者が負担した輸入消費税は誰が仕入税額控除を受けるのか?

こんにちは!

 

税理士・行政書士の齋藤幸生です!

 

今回は・・・

第三者が負担した輸入消費税は

誰が仕入税額控除を受けるのか?

について解説する記事です。

 

・第三者が負担した輸入消費税の取引概要

・輸入消費税の消費税の確定申告上の取扱い

・証拠資料として必要な資料とは?

についてわかる記事です。

 

フォワーディング業に関与していると

よくご質問を受けることになります。

 

取引が少し複雑になりますので

2つの取引から確認していきます。

 

それでは、スタートです!!

 

第三者が負担した輸入消費税の取引概要

第三者が負担した輸入消費税の取引は

2つ想定されます。

 

①第三者が輸入者(名義人)となって申告するケース

②第三者が手続を委託されるケース

 

第三者が輸入者(名義人)となって申告するケース

国税庁の質疑応答事例にある

事例にあるケースとなります。

 

当社は、米国のA社からB製品を輸入するに当たり、その輸入を国内のC社に委託することにしました。B製品の輸入に際してC社が輸入貨物の引き取り者(輸入者)として輸入申告を行い、C社においてB製品の保税地域からの引取りに係る消費税(以下「輸入消費税」といいます。)を納付していますが、当社はC社の納付した輸入消費税を負担することとしています。

(国税庁質疑応答事例:輸入手続を委託した場合の仕入税額控除の取扱いから引用)

 

この事例のポイントは

C社が輸入者で申告を行い

輸入消費税を負担していることです。

 

そして、C者負担の輸入消費税を

B社が負担しているケースになります。

 

第三者が手続を委託されるケース

こちらが一般的なフォワーディング業で

行われている取引形態になります。

 

上記と同じような流れの取引として

取引の概要とします。

当社は、米国のA社からB製品を輸入するに当たり、その輸入を国内のC社に委託することにしました。B製品の輸入に際してB社が輸入貨物の引き取り者(輸入者)として輸入申告を行い、C社においてB製品の申告の手続き及び保税地域からの引取りに係る消費税(以下「輸入消費税」といいます。)を納付していますが、当社はC社の納付した輸入消費税を負担することとしています。

といったケースになります。

 

違いはB社が輸入消費税の申告者に

なっていることになります。

 

 

 

輸入消費税の消費税の確定申告上の取扱い

第三者が輸入者となって申告するケース

こちらではC社が負担した輸入消費税を

B社が負担することで仕入税額控除の適用が

できないことになります。

 

理由は、申告者と納付者がC社であり

B社が輸入消費税を負担したとしても

申告者でないため控除ができないからです。

 

輸入消費税の納税義務者は

輸入品を引き取る者が消費税の

納税義務を負うことになります。

 

フォワーディング業においては上記のような

取引形態が存在しますね。

 

こうなると取引実態と法律上の取り扱いが

矛盾することになります。

 

解決策としては次のように取引を

変化させる必要があります。

 

変化させる対象はB社とC社です。

 

まず、C社が輸入者になりますので

輸入消費税の納税義務者になります。

 

ここでB製品は消費税法上では

国内貨物に変化することになります。

 

ここでC社はいったんB製品の所有権を持ち

B製品をC社からB社へ売る取引に変化させます。

 

そうすると通常の卸売りになりますので

B社においてもC社から請求のあった

金額について消費税の控除を行える取引に

変化することになります。

 

B社においては輸入消費税分について

仕入税額控除を受けることができれば

 

当初考えていた取引を

充足することになります。

 

C社からB社への請求金額についても

変化させる必要があるので面倒ですが

要するに国内取引にしてしまえば

良いことになりますね。

 

 

 

 

 

第三者が手続を委託されるケース

こちらはB社が輸入者になりますので

輸入消費税の納税義務者となり

輸入消費税の仕入税額控除を受けます。

 

ですから、C社がいったん輸入消費税を

立替て請求された金額が仕入税額控除になり

当初の取引と同じ流れになります。

 

特段、取引を変化させる必要はなく

当初の取引のまま処理を行うことになります。

 

2つの取引での相違点は

輸入者が誰なのかという点です。

 

輸入者が本来の輸入消費税の

納税義務者でない場合には

注意が必要な取引になりますね。

 

 

証拠資料として必要な資料とは?

消費税では仕入税額控除を受けるときに

必要資料があります。

 

①帳簿の記載事項

②請求書等の記載事項

となります。

 

輸入についての部分のみ抜粋して

確認していきます。

 

帳簿の記載事項

①課税貨物を保税地域から引取った年月日
(課税貨物につき特例申告書を提出した場合には、保税地域から引き取った年月日及び特例申告書を提出した日又は特例申告に関する通知を受けた日)

②課税貨物の内容

③課税貨物の引取りに係る消費税額及び地方消費税額(これらの税額に係る付帯税の額に相当する額を除きます。)又はその合計額

こちらは帳簿へ上記の記載をすれば良い

ということになります。

 

現在は会計ソフトへの入力がメインですから

上記について「摘要」に内容を書くだけで

済む問題だと思います。

 

敢えて注意点を申し上げるなら

輸入消費税を会計ソフトへ入力する場合

国税と地方税を分け、かつ、本体金額を

認識する処理を行わないと

 

会計ソフト内での消費税の計算で

おかしくなることだと思います。

 

会計ソフトによって入力方法は異なりますので

入力については会計ソフトの販売会社へ確認を

しておくと不安はなくなると思います。

 

請求書等の記載事項

課税貨物を保税地域から引き取る事業者が税関長から交付を受ける当該課税貨物の輸入の許可((輸出又は輸入の許可)に規定する輸入の許可をいいます。)があったことを証する書類、その他税関長の承認を受けて輸入の許可前に保税地域から課税貨物を引き取った場合における当該承認があったことを証する書類など

①納税地を所轄する税関長

②課税貨物を保税地域から引き取ることができることとなった年月日(課税貨物につき特例申告書を提出した場合には、保税地域から引き取ることができることとなった年月日及び特例申告書を提出した日又は特例申告に関する決定の通知を受けた日)

③課税貨物の内容

④課税貨物に係る消費税の課税標準である金額並びに引取りに係る消費税額及び地方消費税額(これらの税額に係る附帯税の額に相当する額を除きます。)

⑤書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称

こちらは基本的に乙仲又は

フォワーディング会社からの請求書と

輸入申告書が送られてきます。

 

そちらを保存することで実務上では

代用可能だと思われます。

 

一部、乙仲においては輸入申告書が

事業者へ送られないこともありますので

会社としてのスタンスを明確にしておくと

良いかと思いますね。

 

税務調査で輸入申告書がないから

仕入税額控除ができません!

と税務調査で問題となったことは

私の経験上ではありません。

 

しかし、法律に照らし合わせると

輸入申告書が明らかに必要なので

 

取引金額によっては輸入申告書が

論点になる可能性があります。

 

 

 


編集後記

今回の内容は私の関与している

事業者さんのお客様から受けたご質問を

ヒントに作成しました。

 

輸入消費税の取扱いは基本的な事項である

輸入消費税の納税義務者についてが

論点になる場合があります。

 

実際に実務上では、フォワーディング会社が

単なる名義人だけれども輸入者になっている

といった場合があります。

 

なぜか、輸入申告書に名前を出したくない

といった輸入者がいるからです。

 

このときに取引を捻じ曲げるのか

という検討が必要になるわけですが

 

捻じ曲げるはしなくても

基本的に問題になるケースは多くないと

私は感じています。

 

問題になるときは、税務調査官の裁量と

金額が大きな取引になると思われますので

 

基本的には輸入者が名義人であっても

最終負担者が仕入税額控除を受ければ

問題ないと考えています。

 

そもそもフォワーディング会社として

輸入者の名義人で納税義務者であっても

仕入税額控除を受ける意思は通常

ないからです。

 

では税理士・行政書士の齋藤幸生でした!!

それでは、また!

 

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この記事は、その時の状況、心情で書いています。
また、法令に関しては、その後改正された場合には、
異なる取り扱いになる可能性があります。

 

 

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