サイトアイコン 問題解決を後押しする都庁前のLiens税理士事務所 齋藤幸生

令和3年度税制改正大綱を税理士が解説!

令和3年度税制改正大綱を税理士が解説!

こんにちは!

 

税理士・行政書士の齋藤幸生です!

 

今回は・・・

令和3年度税制改正大綱を税理士が解説する記事です。

 

・令和3年税制改正大綱の基本的考え方

・各税法の改正のポイント

・令和3年税制改正の所感

についてわかる記事です。

 

それでは、スタートです!!

 

令和3年税制改正大綱の基本的考え方

ウィズコロナ・ポストコロナの経済再生

企業のDXを促進する措置等の創設

ウィズコロナ・ポストコロナの新たな日常に

対応した事業再構築を早急に進めていくためには

デジタル技術を活用した企業変革(DX)が重要。

 

具体的には

新商品開発や新生産方式・販売方式の導入により新需要開拓や生産性向上に全社を挙げて取り組む企業が提出する「事業適応計画」(仮称)を認定する仕組みが産業競争力強化法で創設されることを受け本計画により取得されるクラウド型システムを対象とする税制措置を創設する。

活発な研究開発を維持するための研究開発税制の見直し

コロナ禍において様々な変化が生じる中で

国際競争力を失わないためには

企業の研究開発投資を持続・拡大させることが

ますます求められる。

 

コロナ禍により売上が一定程度減少したにも

かかわらず、研究開発投資を増加させた企業には

控除上限を法人税額の25%から30%に引き上げる。

 

コロナ禍を踏まえた賃上げ及び投資の促進に係る税制の見直し

企業の採用状況が悪化する中で

第二の就職氷河期を作らないことが重要。

 

大企業向けの賃上げ及び投資の促進に係る

税制の要件を見直し、新規雇用者の給与等

支給額及び教育訓練費の増加に着目した

税制とする。

 

固定資産税

感染症により社会経済活動や国民生活全般を

取り巻く状況が大きく変化したことを踏まえ

納税者の負担感に配慮する観点から

令和3年度に限り、負担調整措置等により

税額が増加する土地について前年度の税額

据え置く特別な措置を講ずる。

 

自動車税及び軽自動車税の環境性能割の臨時的軽減

環境性能割の臨時的軽減は消費税率10%への

引き上げに合わせた需要変動の平準化に向けた

取組みとして令和元年10月1日から令和2年

9月30日までの間位に自家用乗用車を取得した場合

税率を1%分軽減する措置として創設されたものである。

 

その後、新型コロナウィルス感染症緊急経済対策

における税制上の措置として令和3年3月31日まで

半年間延長されている。

 

この特例措置について、適用期限を9月延長し、

令和3年12月31日までに取得したものを対象とする。

 

住宅ローン控除

消費税率10%への引き上げに伴う反動減対策

の上乗せとして措置した控除期間13年間の特例

について延長し、一定の期間に契約した場合

令和4年末までの入居者を対象とする。

 

経済対策として、この延長した部分に限り

合計所得金額1,000万円以下の者については

床面積40㎡から50㎡までの住宅も対象とする

特例措置を講ずる。

 

デジタル社会の実現

企業のDXを促進する措置の創設

新規ビジネスの構築等に関する計画に基づく

接続性・クラウドの利用・レガシーシステム

からの脱却・サイバーセキュリティといった

点が確保された事業遠隔デジタル投資を促進する

税制を創設する。

 

研究開発税制の見直し

クラウド環境で提供するソフトウエアなどの

自社利用ソフトウエアの普及が拡大している

ことも踏まえ、自社利用ソフトウエアの取得

価額を構成する試験研究に要した費用について

本税制の対象に追加する。

 

納税環境のデジタル化

税務関係書類における押印義務は

現行において実印による押印や

印鑑証明書の添付を求めているものを除き

押印義務を廃止する。

 

電子帳簿等保存制度は事前承認制度を廃止し

現行の厳格な要件を充足する事後検証可能性の

高い電子帳簿については、信頼性確保の観点から

優良な電子帳簿としてその普及を促進するための

措置を講ずるとともに、その他の電子的な帳簿

についても、正規の簿記の原則に従うなど

一定の要件を満たす場合には電子帳簿として

電子データのまま保存することを当面可能とする。

 

スキャナ保存制度については、ペーパレス化を

一層促進する観点から、手続・要件を大幅に

緩和するとともに、電子データ改ざん等の不正

行為を抑制するための担保措置を講ずる。

 

各税法の改正のポイント

ここからは、各税法の改正のポイントとして

絞った形で解説を行っていきます。

 

所得税

住宅ローン控除

①住宅の取得等で特別特例取得に該当するものををした個人が、その特別特例取得をした家屋を令和3年1月1日から令和4年12月31日までの間位にその者の居住の用のに供した場合には、住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除及び当該控除の控除期間の3年間の特例を適用できることとする。

特別特例取得をした場合には本来10年間の

住宅ローン控除が13年間できる規定です。

②上記①の住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の特例は、個人が取得等をした床面積が40㎡以上50㎡未満である住宅のように供する家屋についても適用できることとする。ただし、床面積が40㎡以上50㎡未満である住宅の用に供する家屋に係る上記①の住宅借入金等を有する場合の所得税の特別控除の特例は、その者の13年間の控除期間のうち、其年分の所得税に係る合計所得金額が1,000万円を超える年については、適用しない。

面積要件が40㎡から適用できることになります。

ただ、13年間のうちでは所得制限により

住宅ローン控除ができない規定になっています。

 

退職所得の計算の見直し

退職手当等の支払者の下での勤続年数が5年以下である者が当該退職手当等の支払者から当該勤続年数に対応するものとして支払いを受ける者であって、特定役員退職手当等に該当しないもの(以下、「短期退職手当等」という。)に係る退職所得の金額の計算につき、短期退職手当等の収入金額から退職所得控除を控除した残額のうち300万円を超える部分については、退職所得の金額の計算上2分1とする措置を適用しないこととする。

勤続年数5年以下の従業員が退職金の

支給を受けた場合には退職所得の計算上で

退職所得控除を控除した後の金額が300万円を

超えた部分について1/2を乗じないことになります。

 

300万円以下の部分については従前と

同様の取扱いになります。

 

 

 

法人課税

デジタルトランスフォーメーション投資促進税制の創設

産業競争力強化帆の改正を前提に、青色申告書を提出する法人で同法の事業適応計画(仮称)について同法の認定を受けたものが、同法の改正法の施行の日から令和5年3月31日までの間に、その事業適応計画に従って実施される産業競争力強化法の事業適応(仮称)のように供するためにソフトウエアの新設若しくは増設をし、又はその事業適応を実施するために必要なソフトウエアの利用に係る費用(繰延資産となるものに限る。)の支出をした場合には、次の措置を講ずる。(所得税についても同様とする。)

①取得等をして国内にある事業のように供した事業適応設備の取得価額の30%の特別償却と取得価額の3%の税額控除との瀬卓適用ができることとする。

②上記の繰延資産の額の30%の特別償却とその繰延資産の額の3%の税額控除との選択適用ができることとする。

DX投資をして認定を受けその認定の事業に使う

ソフトウエアへ支出した場合には特別償却又は

税額控除ができることになります。

給与等の引き上げ及び設備等を行った場合の見直し

青色申告書を提出する法人が、令和3年4月1日から令和5年3月31日までの間に開始する各事業年度において国内新規雇用者に対して給与等を支給する場合において、新規雇用者給与等支給額の新規雇用者比較給与等支給額に対する増加割合が2%以上であるときは、控除対象新規雇用者等支給額の15%の税額控除ができる制度とする。この場合において、教育訓練費の額の比較教育訓練費の額に対する増加割合が20%以上であるときは、控除対象新規雇用者給与等支給額の20%の税額控除ができることとする、ただし、控除税額は、当期の法人税額の20%を上限とする(所得税についても同様とする。)。

新規で雇用者を雇用して、当期と前期での

新規雇用者に支給した給与の増加が2%以上である場合に

税額控除ができる制度です。

 

 

令和3年度税制改正大綱の所感

令和3年度税制改正大綱を概ね読んで感じた

私の感想を申し上げます。

 

改正は小ぶりで、一応時代に合わせてますよ

という感じです。

 

DX投資については恐らく中小企業では

投資できる体力がないので使えない

可能性があります。

 

新規雇用者への給与が増加した場合の

税額控除は要するに雇用者対策なのですが

現場での確認が非常に煩雑になると思います。

 

これであれば、消費税を一時的にゼロとします!!

といった方がセンセーショナルです。

 

良い点を探してみると、上記には記載しませんが

納税環境整備です。

 

ようやく押印義務がなくなり

電子帳簿保存法がちょっとだけ使いやすく

なる可能性がありますね。

 

電子帳簿保存法は今後の税実務において

喫緊の課題です。

 

今後検討して、私の関与先でできるところはないかを

確認してみようかと思います。

 

 


編集後記

毎年度行われる税制改正大綱を解説しました。

考えてみると税法のように毎年変わる法律は

珍しいです。

 

民法や刑法が毎年抜本的に変化したりはせず

社会情勢に合わせた判例での積み重ねが

法律を作っているような状況です。

 

令和4年度税制改正大綱はもうちょっと

面白い改正を期待したと思います。

 

 

では税理士・行政書士の齋藤幸生でした!!

それでは、また!

 

youtube始めました!
税理士さいとうゆきおチャンネル

 

税務顧問や執筆などのご依頼はこちら↓

Liens税理士事務所 齋藤 幸生ホームページ

 

この記事は、その時の状況、心情で書いています。
また、法令に関しては、その後改正された場合には、
異なる取り扱いになる可能性があります。

 

 

モバイルバージョンを終了