建設業の個人事業主の原価管理を税理士が解説!
こんにちは!
税理士・行政書士の齋藤幸生です!
今回は・・・
建設業の個人事業主の原価管理を
税理士が解説する記事です。
・原価管理とは?
・原価管理の基礎知識と方法
・原価管理の事業への活用方法
についてわかる記事です。
それでは、スタートです!!
原価管理とは?
原価管理とはとどのつまり
数字にすることです。
請負った現場の売上高、原価を数字にして
利益又は損失を確認します。
数字にするメリットは
現場ごとに本当に利益になっているのかを
確認できることです。
売上は請け負ったときに決まりますので
その工事の完成やお仕事が完了するまで
原価はかかり続けます。
最後に
売上ー原価=利益
を計算することが可能となります。
現場での立ち回り方などが悪ければ
原価が売上よりもかかってしまうので
その工事では赤字になります。
逆に現場がうまくいけば
利益が出ます。
こういったことを数字にして
どうやったら利益が出るのかを
考えるツールが原価管理です。
原価管理の基礎知識と方法
原価管理の基礎知識
原価管理をする前に基礎知識が必要です。
「原価とは何か?」です。
原価とは2つあります。
①直接原価
②間接原価
です。
直接原価は材料や外注費になります。
人件費はその工事だけやっている従業員は
直接原価になりますが色々な現場で作業をする
といった場合には間接原価とします。
間接原価は直接原価以外の現場でかかった
経費になります。
例えば、現場で使う道具、移動の車両費
車の減価償却費といったものです。
原価は細かく分ければ分けるほど
1つの現場ごとでかかった原価が分かります。
間接原価であってもその現場で使ったことが
明らかにわかるような間接原価は直接原価にしても
問題はありません。
したがって現状でできる範囲内で
直接原価と間接原価を分けることになります。
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原価管理の方法
今回は最も簡便的な原価管理の方法として
直接原価は材料費、外注費のみで解説します。
原価管理の方法は単純です。
①現場ごとに分ける
②売上と直接原価を数字にする
③間接原価の数字を各現場に分ける
具体的にはエクセルで管理した方が
便利だと思います。
シートで各現場の範囲を作って
セルに売上高、材料費、外注費、間接費を
入力していきます。
売上高、材料費、外注費は請求額を
毎月入力していきます。
こんな感じです。
項目/月 | 1月 | 2月 | 3月 |
売上高 | 2,000,000 | 1,000,000 | 4,000,000 |
材料費 | 1,200,000円 | 200,000 | 0 |
外注費 | 500,000円 | 600,000円 | 2,400,000円 |
間接費は毎月の数字を入力できるように
セルを分けて次のような間接費だけの
入力セルを作成します。
項目/月 | 1月 | 2月 | 3月 |
間接費 | 60,000円 | 70,000円 | 40,000円 |
こちらを各現場の売上高を基準として
分けていきます。
例えば、A現場の売上高が200万円
B現場の売上が300万円だとして
A現場に間接原価を分ける場合には
間接原価×200万円÷500万円=A現場間接原価
というようにやっていきます。
上記の表に当てはめると次のようになります。
項目/月 | 1月 | 2月 | 3月 |
売上高 | 2,000,000 | 1,000,000 | 4,000,000 |
材料費 | 1,200,000円 | 200,000 | 0 |
外注費 | 500,000円 | 600,000円 | 2,400,000円 |
間接原価 | 24,000円 | 左と同じように計算 | |
利益 | 276,000円 |
この様に現場での原価管理として
数字が見えるようになりました。
原価管理の事業への活用方法
原価管理の事業への活用方法を解説します。
事業は原価だけの経費で成り立っている
というわけではありません。
具体的には事務所の家賃、水道光熱費など
事業を維持するための固定費がかかってきます。
そして事業を維持する損益計算の理屈は
利益から販売費及び一般管理費を控除して
計算された営業利益が事業の「儲け」になります。
ここから先ほどの原価管理を事業へ活用する
方法が見えてきます。
例えば、原価管理をした結果として
A工事で得た利益(粗利)が300万円
B工事で得た利益が100万円だとします。
このAとBの両方の工事が2020年に行った
すべての工事と仮定した場合に
事業で使ってもよい固定費は最大で400万円です。
400万円以上販売費及び一般管理費を
使ってしまうと事業では赤字になります。
黒字にするためには3つの選択があり
①請負う工事を増やす
②請負った工事の利益を上げる
③販売費及び一般管理費を減らす
です。
現実では販売費及び一般管理費を
減らすといったことはちょっと難しいです。
なぜなら固定費を減らすとなると
家賃や公共料金、飲食代などを減らす
必要性が出てくるからです。
現実的ではない選択です。
したがって、上記①と②の選択になります。
この様に原価管理を行うことで
事業として取るべき方針を確認できます。
もし原価管理をしないと
現場を増やすのか、利益を上げるのか
という選択をなかなか決断することが
難しい状況になります。
今回はAとB両方の工事は黒字前提で
話を進めましたが実際には赤字現場が
存在する可能性があります。
つまり、黒字現場で赤字現場を補う
といった利益構造になっている可能性を
排除することができません。
この様に原価管理をすることで
事業の方向性や現場ごとの利益を確認して
事業へ活用することができます。
編集後記
建設業の個人、法人を問わずですが
なかなか原価管理を行っている
事業主、社長さんに会わないです。
ちょっとエクセルに数字を入力するだけで
現場の利益構造が分かり事業に活かせるのに
やらないわけです。
考えてみると面倒な作業だから
やらないのだと思います。
しかし、原価管理をすることで
事業の不透明な部分を数字で見ることができ
分かりやすくなるので原価管理は必須の
ツールであると考えます。
では税理士・行政書士の齋藤幸生でした!!
それでは、また!
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この記事は、その時の状況、心情で書いています。
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