金融機関融資をするために会社が意識する財務指標と経営の方針を解説!
こんにちは!
税理士・行政書士の齋藤幸生です!
今回は・・・
金融機関融資をするために会社が意識する財務指標と経営の方針を
税理士が解説していきます。
これまで私が金融機関融資に対してかかわった知見を基に
会社が対応することを解説する記事です。
その中で社長さんに知ってほしい部分を
ピンポイントでお伝えしていきます。
それでは、スタートです!!
会社が意識する財務指標と経営方針
会社が意識する財務指標
会社が意識する財務指標は
自己資本比率と債務償還年数です。
自己資本比率とは次のように計算します。
純資産÷総資産=自己資本比率
つまり会社の総資産に占める会社の財産の比率です。
金融機関は会社を格付けしています。
格付けで重要な位置を占める指標が自己資本比率です。
自己資本比率が重要となる理由なのですが
自己資本比率の自己資本が
会社の資本金+過去の累積の黒字と赤字の純額で
構成されている以上
金融機関から見ると
継続的な黒字になっていなければ
返済ができなくなるでしょうという
理屈から来ています。
自己資本比率がマイナスだと格付けが低くなります。
結論としてマイナスの場合にはプラスにすることが重要です。
そのあとは自己資本比率を10%、15%と高めていくことが
必要になります。
債務償還年数とは次のように計算します。
(有利子負債ー所要運転資金)÷返済原資
この計算が原則的な計算方法です。
つまり、返済原資で金融機関の借入をどれくらいの年数で
返済可能なのかという意味になります。
債務償還年数が格付けの判断になるのかというと
債務償還年数が返済原資で借入を返済できる期間
ということになりますから
あまりにも長いと返済ができなくなるリスクが
高まってしまうからです。
結論として債務償還年数は短ければ短いほど
格付けは高まって行くことになります。
もちろん、上記以外のことも考慮に入りますが
まずは上記の2つの財務指標を何とかすることが
金融機関から好条件で融資を引き出す前提となります。
会社の経営方針
上記2つの財務指標をよくするために
何をすれば良いのかという結論になります。
結論を申し上げると会社の決算が黒字になる
ということになります。
黒字になるということは決算書を操作して
黒字にするという意味合いではなく
本当に事業で黒字にするという意味です。
ですからありもしない売上を計上して
赤字なのに黒字にするといったことは論外です。
結論として会社は黒字になる経営方針が必要です。
中小企業の場合、法人税の納付を少なくしたいという
納税者の考えから節税を行うことがあります。
多くは社長さんやその親族の給料を上げてわざと
赤字にしてしまうこともありますね。
これでは、事業がいくら好調だと言っても
金融機関から評価される会社にはなれません。
従ってどうやって黒字にするのかを
社長さんは考えないといけません。
そのためにはなぜ赤字になっているのかという
理由を分析する必要があります。
分析が完了したらその部分を是正して
黒字になる計画書を作成し実行していきます。
これは事業計画といいますが
売上を何倍にもするような絵にかいた餅の計画書では
意味はありません。
現状でできる計画書に落とし込むべきです。
そして事業計画書は数字で終わらせるものではなく
そのための実効も計画しなければなりません。
そのあとに出てくるのが計画書の通りに
実行することになります。
最後に金額面、実行面の計画を経営方針として
会社さんで対応していくことになります。
金融機関を味方につけるコツ
金融機関を味方につけるには?
会社の成長のために必要なことは3つです。
①会社の実行力と誠実な対応
②金融機関の協力
③顧問税理士さんの協力
この中で金融機関の協力がうまく得ることができない
中小企業が多いと私は感じています。
まず金融機関の協力を得るためには
協力をしてくれそうな融資担当者さんとの出会いです。
担当者さんありきと言っても過言ではありません。
結論として協力者になってくれそうな担当者を探すことから
始めることになります。
探す方法は色々な金融機関に対して融資の相談をする
ということが最も手っ取り早いです。
メガバンク、地銀、信用金庫、信用組合など
色々と相談を行ってみましょう。
その中で親身になって相談をすることができる人を
見つけることから始まります。
上記のようなことをするとメーンバンクから
にらまれるのでは?と心配する社長さんが
いらっしゃるかと思います。
そんなことはありません。
逆によりよい担当者さんがいる金融機関に
メーンバンクを変更するといった時代になっています。
金融機関も選ばれる時代に突入しているのです。
会社は遠慮することなく、協力的な金融機関へ乗り換えることを
検討することが必要です。
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金融機関から信頼される会社になること
金融機関を味方につけるコツの次の部分は
金融機関から信頼されることです。
どうやって信頼されるようにするのかが問題となります。
ここで会社の実行力と誠実な対応と顧問税理士さんの協力
ということが必要となるのです。
経営方針のところでも申し上げましたが
会社の事業計画の作成とその実効性が肝になります。
それと無駄な節税対策を行わないということも
必要となります。
では、会社さんの数字と事業が分かっていて
かつ、節税対策などの指南をできる人は誰なのか?
答えは、顧問税理士さんしかいないわけです。
結果、顧問税理士さんの協力を得て
財務改善を行う必要が出てくることになります。
会社さんは事業計画を計画の通りに行う実行力が
必要となります。
これらを持って金融機関に説明して期中では
その報告がてら打合せをして行くことで
金融機関から信頼される会社になって行きます。
これらの点、追加で発生する費用としては
顧問税理士さんへの追加の協力のためのコストだけです。
オーナー社長さんが運営している中小企業は
ちょっと矛盾したところがあって
自社の節税対策にはお金を使いますが
自社のお金のための対策にはお金を出さない
という傾向があります。
資金繰りが大変にならなくなり、事業が黒字となり
金融機関からは信頼されてという好循環よりも
自社の節税対策のほうが重要になっているのです。
これでは会社さんはいつまでたっても
よりよい状態になる可能性が低くなります。
時勢に流されて、昨今のような感染症や
世界的な不況が来るとそういった想定外のことで
一気に倒産ということになってしまいます。
節税対策に相反することがある
金融機関から融資を受けるためには節税対策に
相反することがあります。
この点、私は全くなんの節税対策もしなくて良い
ということではありません。
節税対策で赤字にすることが問題であるという
認識なのです。
理由は黒字でないと金融機関に評価されないからです。
結論として赤字にする節税対策とは相反します。
ちょっと冒頭に戻ると財務指標のところの債務償還年数で
返済原資という言葉を使いました。
返済原資は次のように計算します。
税引後当期純利益+減価償却費
つまり、法人税を支払った後の利益に減価償却費を加えた金額が
その年の返済原資となるのです。
節税対策は基本的には損益計算書の税引後当期純利益の上にある
営業利益を計算する販売費及び一般管理費で行うことが多いです。
例えば、従業員への決算賞与は販売費及び一般管理費に計上され
営業利益を圧縮しますね。
このように節税対策をすることで法人税の対象となる
税法上の所得金額(会計上の利益)を減らすことで
法人税の納付額が下がるという計算になります。
ですから、お金が社外に流出して利益は下がり、法人税も下がりますが
黒字の金額も同時に下がってしまうことになります。
この様にメリットとデメリットがあるわけですね。
決算賞与を止めよ!という話ではなく
節税対策が利益を減らすので最終的に自己資本が
本来得られたであろう金額よりも下がってしまうという説明です。
こうすると自己資本比率が下がりますので
例えば何もしなければ自己資本比率が15%で良好先という
格付けになったにも関わらず
節税対策をすることで15%に満たないので
一つしたの正常先に区分されるということもあるわけです。
それだけはなく、返済原資の計算にも影響しますので
何もしなければ債務償還年数が9年で正常先あったのに
節税対策をしたら債務償還年数が11年になってしまい
要注意先になってしまうこともあり得ます。
この様に節税対策をすることで天と地ほどの格付けの差が
出てくることがありますので節税対策をする事業年度は
選ぶことが必要なのです。
編集後記
今日は朝に地震速報が流れ電車が止まってしまいました。
駅まで行ったのですが家に戻って仕事をする予定です。
金融機関からの融資は会社さんを取り巻くすべての人たちに
協力をしてもらわないとうまくできませんし、機能しません。
まずは、社長さんの立場としては上記の様な理屈を知ってもらい
どうやったら相手が協力してくれるのかを考えることが必要です。
そのためにはお金も必要であるということになります。
では税理士・行政書士の齋藤幸生でした!!
それでは、また!
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この記事は、その時の状況、心情で書いています。
また、法令に関しては、その後改正された場合には、
異なる取り扱いになる可能性があります。
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