元ZOZOTOWN社長から見る会社資産の個人使用に関する税制の考え方
こんにちは!
税理士・行政書士の齋藤幸生です!
今回は・・・
元ZOZOTOWN社長の前澤さんが5億円の申告漏れによる
個人負担の税制上の考え方を解説します。
今回の件は会社の資産を個人で勝手に使った
ということで課税を受けていると想定できます。
ご本人はツイッターで色々と意見表明をしていますが
個人で勝手に使うとどうるのか?
今回の件を通して振り返る良い機会だと思います。
それでは、スタートです!!
元ZOZOTOWN社長はどうやって課税を受けたのか?
元ZOZOTOWN社長の前澤さんが5億円の申告漏れを
指摘されたという報道がありました。
今回は申告漏れということで
脱税とは異なります。
報道によれば修正申告をして納税もすでに
済んでいるということのようです。
今回の国税庁からの指摘は資産管理会社の名義の
プライベートジェット機を頻繁に私的利用していて
私的利用分として利用料の負担が必要という判断にて
課税をしたという報道でした。
つまり、プライベートジェット機の所有権は資産管理会社で
それを前澤さんは頻繁に私的利用をしていたという訳ですね。
頻繁にという文面からフライトレコードなど
客観的なフライトの利用状況を把握して
そのうち私的利用はどれくらいしたのかを認定した
ということなのだと思います。
資産管理会社という私的な会社なので
あまり問題はないのですが
一般論からすれば次のような問題が横たわります。
①会社所有の資産をプライベートで頻繁に利用していた
これは会社では使わない資産を会社で購入して
個人的に使っていたと言われても仕方ないでしょうね。
結論として内部統制が全く効いていない
会社であることが露呈しています。
②会社から個人への賃借となる
こちらは税制上の問題です。
プライベートジェット機の所有権は資産管理会社です。
こちらを頻繁に個人的に使用していたということであれば
通常は営利目的の会社は利用料を請求することが当たり前です。
今回はどのように5億円という金額を見積もったのかは
わかりません。
ですからプライベートジェット機に関する維持費用を
積算していってその一部を個人が負担するといった
方法で計算することも一応の合理性はあるかと思います。
会社の資産を社長が個人的に使うとどうなるか?
上記のように会社の資産を社長さんが個人的に使うと
基本的には利用料を求められることになります。
前澤さんの税理士さんは恐らく他の課税について
国税庁と協議したのではないかと思います。
例えば、資産の減価償却、利用に当たっての費用は
本来は個人が負担すべき部分があるから役員報酬になる
といったことを国税局から言われていた可能性があります。
これはある意味、王道的な指摘です。
理由は会社を隠れ蓑にして事業に関係ない資産を購入し
私的利用のみをしているので、基本的には本人に
給料を支払っていることと同じなのではないかということです。
購入して私的利用しかしないのであれば
個人で購入すればよいのではないか?
ということですね。
結論として次の2つの課税方法が考えられます。
①個人から利用料を徴収する方法
②役員報酬とする方法
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個人から利用料を徴収する方法では
法人が個人から利用料を徴収することになるので
法人税の負担のみで済みます。
なぜなら、法人の売上計上漏れだからですね。
従って今回の前澤さんのように申告漏れという
表現になります。
逆に資産の費用が役員報酬とされた場合には
役員報酬の規定により定期同額給与以外の部分は
全額損金不算入となります。
こちらは法人税の計算上経費計上をなかったものして
計算することになりますので法人税の追徴となります。
売上と同様に計上漏れということになります。
役員報酬の場合にはこれで終わりません。
個人の収入が増えるということになりますから
源泉所得税の追徴が行われます。
それに住民税にも影響しますので
住民税ものちに追徴される可能性がありますね。
この様に役員報酬だと法人税+源泉所得税
両方の負担となりますから税理士さんとしては
何とか利用料の徴収で終わらせるように交渉する
ということが求められるわけです。
資産管理会社でなくても起こりえる
会社資産を社長さんが頻繁に私的に利用する
ということは資産管理会社でなくても起きます。
社長さんが事業に全く関係なくフェラーリを購入して
乗り回したりすることがあります。
自分のプライベートカンパニーだから
何をやっても良いのだ!
と思っているのだと思います。
そんなことはないわけです。
元ZOZOTOWN社長の前澤さんのように
頻繁に個人利用するとなると課税を受けます。
そもそももっと課税をしようとすれば
プライベートジェット機を購入する意味は何なのか
フェラーリを購入した理由は何なのか
ということを聞かれることもあるわけですね。
それで会社の定款にある事業と全く関係がない資産を
購入しているということであれば購入した資産の
費用計上を認めないという考え方もあり得るわけです。
何でも自分の思い通りになるということではないのです。
編集後記
そういえば、ツイッターで前澤さんが公務員の
守秘義務違反に言及されています。
つまり、報道へのリークですね。
こちらは国家公務員法の守秘義務違反になりません。
関係者ということで誰がリークしたのかということを
特定できないからです。
ただリークされるような案件は主に国民への周知という
意味合いがあるのだと思いますね。
要するに、こんなことすると国税局はこう考えて
課税するから気を付けてね!ということです。
では税理士・行政書士の齋藤幸生でした!!
それでは、また!
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この記事は、その時の状況、心情で書いています。
また、法令に関しては、その後改正された場合には、
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