サイトアイコン 問題解決を後押しする都庁前のLiens税理士事務所 齋藤幸生

【税務調査は法的三段論法の時代へ】法的三段論法を駆使して、税務調査の防御術を考える!

法的三段論法は士業の先生であれば

無意識にやっていると思われます。

 

しかし、それを意識的にやれるようになって

自分で利用することができれば、

 

税務調査へも異なる対応方法をとることが

できることになります。

 

それでは、法的三段論法の世界へ

行ってみたいと思います!

 

税務調査は法的三段論法の時代!

平成23年の国税通則法改正からすでに

7年が経過しています。

 

この国税通則法の改正に合わせて、

税務調査手続きについてという

調査通達が国税庁から公表されました。

 

調査通達から見る調査の再確認

具体的には国税通則法第7章の2(国税の調査)関係

という調査通達です。

 

こちらの通達は平成28年12月12日の改正を

最後に改正はされていません。

(2018年11月21日現在ですが)

 

この調査通達の中で、調査の意義があります。

もちろん、通達は国民や裁判所を拘束しません。

 

しかし、通達は行政庁の考えが分かる

最良の資料であるため見ておく価値はあります。

 

この中で、1-1において定義されています。

調査とは、国税に関する法律の規定に基づき、
特定の納税義務者の課税標準等又は税額等を
認定する目的その他国税に関する法律に基づき
処分を行う目的で当該職員が行う一連の行為
(証拠資料の収集、要件事実の認定、法令の解釈適用
など)をいう。

 

それでなぜ、この部分をわざわざ取り出して

書き出したのかというと・・・

 

上記の()書きの部分の意味するところが

税務調査においても法的三段論法が

適用されることを意味しているからです。

 

税務調査は法的三段論法の時代へ

なぜ意味するのかを解説する前に、

法的三段論法とはなにかを知っておく

ことが必要となります。

 

法的三段論法とは、

①法律の規定を解釈して規範を定位します
⇒要するに法解釈をすることです(大前提)

②証拠により事実を確定させます
⇒事実認定をすることです(小前提)

③最後に大前提に小前提を当てはめて結論付けます。
⇒結論を導くこと

 

これを上記の調査通達の()書きに

置き換えてみます。

 

①証拠資料の収集⇒事実認定

②要件事実の認定⇒事実認定

③法定解釈適用など⇒法解釈と結論

 

これをするんだよということを

調査通達は示していることになります。

 

ですから、税務調査は法的三段論法の

時代に突入したといえるわけです。

 

法的三段論法を知る、使う、利用する

それでは、調査官が法的三段論法を

使ってくる前提で考えると、

 

税務調査に携わる税理士はどうすれば

良いのかというと・・・

 

こちらも法的三段論法を知って、使って、

利用するということになるのだと思います。

 

税理士も法的三段論法を活用したい

そうでないと、なぜ税務調査官が

資料の収集を事細かに行うのかという

理由が分からないからです。

 

それに後述しますが、税務調査への反証を

することができません。

 

それでは、法的三段論法を知り、使い、

利用してみようと思います。

 

 

法的三段論法をするためには法解釈をして

資料を収集・作成して、結論を出します。

 

法的三段論法の具体的な使い方

例えば、給料か外注か?という判断です。

この場合の判断は、法律を確認して、

 

良く分からないものは判例(最高裁判例)を

調べて、より納税者が得する方になるように

資料を作成して、結論が変わらないようにします。

 

ですから、所得税の給与所得の規定を確認、

最高裁判例を確認することになります。

 

そのうえで、外注費とする場合には、

例えば業務委託契約を結んで、事実認定をして、

結論を給与所得とならないようにします。

 

実際に、税務コンサルをしている税理士は

このような形で関与をしていると思われます。

 

事実、私は上記のようにしていて、

税務調査でも何ごともなかったように

問題とされませんでした。

 

これは比較的簡単な法的三段論法を

活用したやり方です。

 

なぜなら、給与の判断を示した最高裁判例が

ありますし、左官とび職の個別的な取り扱いが

国税庁のサイトにあるからです。

 

法解釈をどうしようか悩むときがある

問題となってしまうのが、最高裁判例がない、

最高裁判例の射程外となる場合です。

 

この場合には法律解釈を行って、

それになるように事実認定をしていって

結論がぶれないようにしないといけません。

 

税法では税理士の法解釈は原則的に

文理解釈をすることが多いと思います。

 

しかしながら、解釈という概念であれば、

次のように多くの解釈があります。

 

・文理解釈
・反対解釈
・目的論的解釈、趣旨解釈
・拡張解釈
・縮小解釈、限定解釈
・類推解釈

 

この中で、どのように解釈をするのか?

ということが税理士の腕の見せ所だと

私は考えています。

 

因みに、租税法では拡張解釈と類推解釈は

使えないとされてはいます。

 

ですが、裁判を見ているとナニコレ?

という判断をしていることもありますので、

全般的にそうでないとは言い切れません。

 

従って、読んで字のごとしで読むこと、

借用概念で読むことが自然だと思います。

 

要するに日本語のそのままの意味で考える、

一般法である民法や会社法などの概念を

借りることで考えてみるということです。

 

また、法の趣旨を考えてみることも

良いことだと思います。

 

つまり、法の立法趣旨で考えること

で法律の予定した使い方をすることです。

 

私が独立する前に対応した調査では、

立法趣旨で対応し、実務書を提示、

問題ないものとして処理されたこともあります。

 

このように、法解釈は非常に重要で、

それを事実認定する資料も重要です。

 

ここまでくれば、後は結論だけとなりますので、

法的三段論法をすることができれば、

 

税務調査をそれほど怖がることは

ないと思います。

 

税務調査の防御術(反証)を考える

続いては税務調査の防御術を考えて

見たいと思います。

 

税務調査の防御術(反証)が必要な時は?

防御術とは一体どんな時に使うのか?

ということです。

 

一般的に税務調査で問題となるときには、

・税理士や担当者がミスった

・新たな課税事実が発見された

 

大まかに分けるとこの2点だと

思われます。

 

ここで税理士や担当者がミスした時には、

どうやって挽回するのかということなので、

 

挽回の方法は別の機会で解説や

説明をすることとします。

 

今回は新たな課税事実が見つかった

ということでその防御方法です。

 

私の実例をもとに考えてみたいと思います。

 

会社の社長へ賞与を支給するので、

事前確定届出給与の届出書を会社が提出して

2期連続で提出したところで調査が来ました。

 

この届出書には問題があって支給額の場所に

総支給額を書くべきところ、手取り額を書いて

会社が提出していました。

 

それに気が付いた調査官は賞与の否認と

修正申告の勧奨を行ってきたという事例です。

 

ではこれでどのように防御策を練るのか?

ということになります。

 

どのような防御策を講じるのか?

基本的には主張を文書で提出する

ということが重要です。

 

この文章については、先ほどの法的三段論法を

使うことが重要となります。

 

まず、税務署指定の書式でないといけないか?

ということが問題となりますし、

 

支給額=総支給額でないといけないのか?

ということも問題です。

それに今回の場合には判例はありません。

 

まずはわかりやすい点が総支給額でないと

ダメなのかという点です。

 

これは総支給額でないといけないことは

法律で規定されていません。

 

つまり、支給額に手取り額を書いたとしても

その支給がされていればいいわけです。

 

まあ、実務書を見ると総支給額と書いて

ありますけどね・・・

 

ただ、ここで事前確定届出給与の規定を

立法当初の考えと趣旨を確認すると、

 

要するに役員賞与を支給して利益調整の上、

法人税の対策に充てるのはダメ!

ということでなので、そういったことは

事実としてはしていません。

 

株主総会議事録もすでに作成済みですし、

法的三段論法を利用すると、

 

・法解釈は趣旨解釈で行った

・事実認定は株主総会議事録で行った

・結論は以下の通り

 

書式の不備はあるが、趣旨を逸脱していない、

事実認定としても役員賞与を支給することは

予定されていた。

 

また、税務署所定の書式に関しても調べてみると

法律の運用当初は書式さえなかったのです。

 

つまり、法律に規定されている内容が

書いてありさえすれば、問題ないわけです。

 

以上のような稚拙な文章を判りやすく、

明確に主張する文面にして提出する

ということが防御策となります。

 

まあ、税務署はかなり嫌がりますが、

これが最大の防御策となりますので、

やってみると良いと思います。

 

ただ、判例を使う場合には射程内、射程外の

確認は慎重にされた方が良いと思います。

 

税理士は法律家という認識が必要な時代

法律家でなくとも対応できていた

20年くらい前までは、税理士=計理士

という状態でもよかったですし、

 

交渉で何とかなる税務調査が主流で、

国税通則法改正の平成23年までは

確かに続いていました。

 

私も国税通則法改正前までの税務調査に

立ち会ったことがありますが、

 

税務調査の質問検査権は何でもしてよい

という考えの調査官が多かったように思います。

 

時代は変わった

しかし、時代は変わりました!

 

国税通則法に税務調査が法定化されて、

予測可能性が高まりました。

 

加えて、最初に触れた税務調査における

調査の意義の変化です。

 

今の調査官は資料を必ず収集するように

教育を受けています。

 

そんな調査官に対して、まったく法律的でない

税理士が対応していてはうまく対応できません。

 

なぜ、資料の収集が必要なのか?

提出では所有権が調査官に移転するので、

書き写すことだけを許可するようにするなど

 

法律的な運用を調査官に任せることは

納税者を不利な状況にさせてしまうことに

なる可能性があります。

 

法律家としての資質が重要

また、何かの取引についてどのように

法律を運用していくのかということは

 

税務調査を念頭に考えますが、

法的三段論法が必要となってしまいます。

 

なぜなら、調査官が法的三段論法を

駆使して調査をしてくるからです。

 

法的三段論法は裁判所の専売特許だと

思っていてはだめです。

 

行政側が課税する場合には立証責任は

課税庁側にありますが、それに対する反証は

納税者が行うことになります。

 

その反証について資料を前もって用意できる

税理士かどうかは非常に重要なことです。

 

弁護士だから、裁判官だからといった

認識は捨てて税法の専門家として

法律家として活動してほしいと思います。

 

 


編集後記

今日は午前中は顧問先へ訪問でした。

午後はブログの更新でした。

 

明日で今週も終わりなので、

今週できることは今週中にやって

おきたいと思います。

 

 

では国際税務の税理士齋藤でした~
それではまた👍

 

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この記事は、その時の状況、心情で書いています。
また、法令に関しては、その後改正された場合には、
異なる取り扱いになる可能性があります。

 

 

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