消費税の免税事業者は消費税を請求してよいか?




iphone8にて撮影!

消費税の立法趣旨の観点

消費税は当時の個別間接税制度が直面

していた問題点を根本的に解決し、

税体系全体を通じる税負担の公平を図る

とともに、国民福祉の充実などのために

必要な歳入構造の安定化に資するため、

消費一般に広く公平に負担を求める税

として創設されました。

(内閣府税制調査会より抜粋)

 

要するに、消費税を導入して、

税負担の公平、国民福祉の充実

歳入構造の安定化という3つの

考えから立法されたわけです。

 

この様な立法趣旨によると

免税事業者である

事業者(個人・法人)は

消費税を請求してはならない

ということになります。

 

つまり、免税事業者ですから、

消費税は納付しませんので、

歳入構造の安定化に寄与しない

ということになります。

 

 

商慣行の観点と消費税の転嫁の流れ

それでは、商慣行と消費税の転嫁

の観点から免税事業者が消費税を

請求してよいのか?

ということを見たいと思います。

 

生産者→卸業者→小売業者→消費者

という流れになっています。

この様な流れの中で、それぞれが

適正に利益をとっていると仮定すると

生産者から小売業者までが消費税を

納めるというシステムになっています。

 

そして、最終的に消費者に消費税が

転嫁されるということになります。

 

上記の流れは、サービス業であっても

基本的には同じです。

飲食店であれば、材料の卸業者に

なってみたり、IT会社であれば、

サーバー製品製造卸業者などから

仕入れるということになります。

 

ここで免税事業者をかましてみます。

生産者→卸業者→小売業者(免税事業者)

→消費者

このサイクルだと、小売業者だけ

消費税を納めないということに

なるわけです。

 

ですが、卸業者が課税事業者だとすると

小売業者は消費税を負担していること

になるわけです。

しかし、免税事業者である小売業者は

消費者に消費税を転嫁しない

選択をするでしょうか?

 

数字で示してみたいと思います。

前提:売価216円(消費税16円)

仕入162円(消費税12円)

 

①小売業者が課税事業者の場合

216-162=54円(消費税4円)

②免税事業者の場合

200-162=38円(消費税納付なし)

③50円(税抜部分)-38円=12円

 

こうした場合には、小売業者が

卸業者に支払った金額をそのまま

小売業者が負担していることに

なります。

 

しかも、なぜか課税事業者の方が、

利益率が高くなります。

①課税事業者 54円/216円=25%

ちなみに・・・税抜金額にしても

課税事業者の利益率は変わりません。

 

②免税事業者 38円/200円=19%

これは公平な経済環境を提供している

と言えるのか?ということになります。

 

つまり、立法趣旨そのままに

経済活動を行ったとするならば、

利益率が低下するということ

になります。

 

利益を38円から50円にするという

選択を通常の経済観念を持っている

人であれば行うということになります。

 

つまり、免税事業者の適正売価は、

216円を税抜とした200円ではなく

216円にしないと課税事業者と

同様の利益率にならないという

ことになります。

 

 

消費税の納税義務者となったら消費税がとれない?

商慣行と価格転嫁までを見てきた

ところで、免税事業者はいつか

課税事業者となるときが来ます。

 

では、その時まで消費税部分を

転嫁せずにある種、まっというに

売価200円でやってきたことを

前提に話を進めてみましょう!

 

小売業者は事業の拡大が続き、

あるときついに年商が1,000万円を

超えました。

税理士から2年後は消費税を

納める課税事業者になるからね

とのアドバイスを受けました。

 

2年後消費税の課税事業者になったので

社長はだったら売価に消費税を

転嫁できるとの考えから、

消費税を転嫁しようとします。

 

でも200円を216円にすると値上げと

思われるから、外税方式にしたら?

という税理士のアドバイスもあり

店頭価格は200円にして、レジで

216円で販売を行いました。

 

ところが、そのころから客数が

減り始めて売上が減少したのです。

 

この様になるかどうかは正直

分かりませんが、例えば、

皆さんが、相手先から、

すみません、消費税の課税事業者と

なったので、今までの金額を税抜で

消費税を上乗せさせてもらえませんか?

 

と言われたとしたら応じますか?

ほとんどの方は、それは貴社の

問題で実質的な値上げに相当する

貴社が負担するのが普通ではないのか?

となると思います。

 

これがいわゆる価格転嫁ができない

と言われる状況です。

現在では、公正取引委員会が

消費税価格転嫁対策特別措置法にて

対応を行っていますが・・・

 

効果があるのかはちょっとわかりません。

この様な消費税の価格転嫁に関しては、

受けられない場合が多いからこそ、

価格転嫁の特別立法をして

対策しようとしているわけです。

 

つまり、立法趣旨通りのまっとうな

ことをやるとなぜか市場に受け入れて

もらえない可能性があるという

ことになります。

 

 

 

まとめ

私は、免税事業者の時から消費税は

転嫁して販売するべきだと思っています。

なぜかと言うと、課税事業者となった後で

価格転嫁できないからです。

 

そうすると消費税を納付しないこと

による益税が出てくるじゃないか?

といわれると思いますが、

法人税で課税されるからいいと

私は思っています。

 

消費税は、8%で、法人税は国税だけで

最低15%からです。(中小企業の場合)

国側としては消費税分をとって

余りある税負担を会社にさせています。

 

こちらを放置しておいて、

益税が云々と言われる筋合いは

ないと私は思っています。

 

 


編集後記

昨日は、終日、代々木周辺で活動して

夜には仲間内の懇親会に参加しました。

 

税理士が集まるとなぜか税務の話に

なってしまいます。

これが良いのか悪いのかはわかりませんが

全く話さないというのもちょっと

ないかなと思います。

 

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ABOUT US
齋藤 幸生税理士・行政書士・経営革新等支援機関・ブロガー
都内税理士事務所にて7年間の勤務後独立。 2017年に税理士として独立後は建設業、フォワーディング業、IT業に特化した税務を行っています。また財務支援として資金繰り支援(会社の資金繰りと資金調達支援)を行っています。行政書士としては建設業許可、利用貨物運送事業の許可業務に特化しております。