今回は簡易課税の事業区分について紹介します。
★簡易課税とは?
簡易課税とはその課税期間の2年前又は前々事業年度(基準期間といいます。)の課税売上高が5,000万円以下で、かつ、簡易課税選択届出書を事前に提出している事業者が受けられる制度です。
計算構造の特徴として、必ず納付になるので、売上に対する人件費の割合が多い会社様ほど効果がある仕組みになります。
★簡易課税の事業区分とは?
簡易課税は、第一種事業~第六種事業まであり、預かった消費税から引ける控除(仕入税額控除)は90%から40%までとなっています。事業区分によって仕入税額控除が異なりますので、事業を2種類以上行っている場合には、事業区分を明確に行っていないと一番仕入れ率の低い事業区分で計算を行わなければならなくなります。
★事業区分のすすめ!!
事業区分は、どのように行っていくか?ということなのですが、帳簿に記載する方法のほか原始帳票、事業場ごとに区分する方法が認められています!
帳簿に記載する方法は、帳簿の売上帳に第一種事業、第二種事業といった形で記載を行っていけばよいことになります。現在では、会計ソフトで業種区分ができますので該当する事業を選択することになります。ただ・・現実問題として、どうやってその業種を分けたのですか?という根拠が必要となってきます。ですから、原始帳票(納品書、請求書、売上伝票、レジペーパーなど)に事業区分を記載することが必要となってきます。税務調査で確認される可能性があるからです。
税理士に記帳代行(帳簿の作成業務)を依頼する場合には、原始帳票に売上の事業区分を記載することは必須になります。そうでないと事業区分の経理ができないからです。
もし税理士にそのような指摘や依頼を受けていないという会社様はどのように事業区分を行っているのかを確認してみる必要があります。第三種事業なのに第五種事業として経理されているかもしれません。
原始資料に売上の区分を記載する方法として考えられるのは、事業区分に売上ナンバーを振ってしまうことです。例えば、第一種事業は01、第二種事業は02といった具合です。このように行うことで、事業区分ができていることになりますので、経理上では、01や02の合計額を売上として計上して事業区分経理を行うことで簡易課税に即した帳簿が作成できます!
★事業区分が重要な理由とは?
簡易課税の納付額の計算では、業種によって仕入税額控除の割合が決まっていることは上記で確認しました。ですが、それがどのように納付額へ影響しているのかというイメージがなかなかできないのではないでしょうか?具体例を提示してみます。
第三種事業なのに第五種事業として計算した場合(売上1,000万円とします。)
第三種事業の納付額:1,000万円-1,000万円×70%(仕入割合)=300万円
第五種事業の納付額:1,000万円-1,000万円×50%(仕入割合)=500万円
上記の様に、納付額に200万円もの差額が出ることになります。このようなことはないのでは?と思われる方が多いと思います。
しかしながら、あなたの会社の税理士は会社の事業についてどこまで知っていますか?
どのような得意先があり、どのような売上があるのかを知っていますか?ということです。
小売業ぽいが実は製造業に該当した!、サービスだと思っていたが実は製造だった!ということが現実ではあります。自社の売上が簡易課税の事業区分でどのような位置づけなのかを知っておくことで余計な税金をお支払いしなくて済みますので、税理士とよく話し合ってみてはいかがでしょうか?
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編集後記
昨日は、東京青年税理士連盟の研修に行ってきました。
研修テーマは中小企業経営力強化に関する申請と融資審査のポイントでした!
中小企業強化法は以前からあった法律なのですが、非常に使いずらい法律です。
経産省のやりたい放題のような法律だったのですが、以前よりも使いやすくはなったので
その点は評価ができると思います。
融資審査のポイントは東京青年税理士連盟に加入している方を講師として
お招きしての座学でした。オフレコの話を聞くことができたので、創業融資の相談の際には
お客様にいろいろお伝えできそうです。
Liens税理士事務所HP:http://www.liens-tax.com/