今回はアパートを贈与した場合の注意点を紹介します。
★アパートを贈与するには?
アパートは土地と建物部分がありますので、贈与する場合には、贈与を受ける方(受贈者)の経済力によりますが、建物のみを贈与することが多いのかなと思います。この場合には贈与契約書を交わし、法務局へいってアパートの所有者の登記を変更することで完了です。
建物の場合には、不動産の価額×20/1000の登録免許税がかかります。
★アパートの贈与には現金の贈与も必要ですよ!
アパートには、住んでいる方から敷金を預かっている場合があります。この場合には大家さんからみれば、返済義務のある負債があるということになります。つまり、アパートを贈与するということは、一般的に敷金も贈与で引き継ぐということになってしまいます。そうすると税法上は、負担付き贈与という枠組みでの贈与ということになり、アパートの贈与金額が市場価格、いわゆる時価で贈与されたものとして贈与税の申告をしなければならなくなります。
これを回避するには、敷金相当の現金も一緒に贈与することです。要するに、返済義務のある敷金に対して現金も贈与すれば、その現金で返済義務のある負債を払ってねということになり、敷金の贈与による移転がなかったものとして認定されます。
★贈与後にアパートの敷地が相続されると・・・・
上記の枠組みで贈与をしたアパートが例えば、親御様からご子息様に移転したとします。そうすると贈与後のアパートの敷地の権利関係は以下のようになります。
①贈与時点
アパートの土地(親御様所有)→アパート(住んでいる人)→アパートの家屋(ご子息様)
こうなっているので、アパートは貸家として税法上評価できますので、評価額が下がり、親御様は譲渡ではないので所得税もかかりません。
ただし、贈与時点でアパートに住んでいる方が親御様の相続までに継続して住んでいるでしょうか?なぜ、このような疑問を投げかけるかというと、住んでいる方が変わると、権利関係も以下のように変わってしまうからです。
アパートの土地(親御様所有)→アパートの家屋(ご子息様)→アパート(住む方)
要するに、贈与後にアパートの賃借人が変わるとご子息様と賃借人との契約になってしまうので、アパートの土地は親御様からご子息様へ使用貸借契約により貸付けている状態になってしまいます。
こういったことが相続時点でおこっていると、土地の評価は貸家建付地(貸家の土地)としての評価にならず、自用地(通常の土地)の評価になってしまいます。
こういったことが起こる可能性がある場合には、贈与に関して、土地も一緒に贈与してしまうという方法も取れますが、それをすると、相続税の申告で小規模宅地等の特例でアパートの土地の評価を半分にすることができませんので、この点が悩みどころになります。
現実では、上記のような問題が出ますので、資産管理と贈与は計画を練って、相続まで考えてやっていきたいものです。
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編集後記
昨日は、東京青税の合格者同期会の懇親会(飲み会)に参加しました。
ほとんど、知らない顔ばかり、席は固定だったので多くの方とは話せませんでしたが、
私と同様独立する方もいて、理想を高めにした方がいたので刺激になりました。
その理想が3年後、5年後、10年後はどうなっているのかはわかりませんが、
理想は常に高くもっていたいと考えさせられました。