今回はみなし役員について紹介いたします。
★みなし役員って何?
みなし役員とは法人税に規定されている役員とみなされる役員です。したがって、会社法上の取締役、監査役以外に、一定の要件(①持ち株数による判定と②経営に従事による判定)を満たしたときに役員認定される役員です。
★みなし役員になるとリスクはあるの?
リスクはございます。それは、単なる従業員であっても役員に認定されるので、給料は通常の役員と同様に定期同額給与、事前確定届出給与以外は損金不算入になります。もし従業員である社長様の親族が認定された場合には、給料は従業員と同様に月給と残業代という形で支給している、賞与も従業員と同様に支給しているという状況ですので、月額給料、賞与に否認のリスクが出てくることになります。
★みなし役員の判定(同族会社の従業員の場合を前提)
①持ち株数による判定
-50%超基準
株主グループの所有割合の大きいものから並べて、50%を超える第一順位の株主グループにいるかどうか、第一順位と第二順位までのグループを合計して初めて50%を超える場合のどちらかのグループに属しているか、第一順位から第三順位までのグループを合計して初めて50%を超える場合のどちらかのグループに属しているか
-10%超基準
判定の従業員の属する株主グループの所有割合が10%を超えていること
-5%超基準
判定の従業員とその配偶者の所有割合が5%を超えいていること
②経営に従事していること
裁判例では、【形式上役員として登記されていない、法人に出資もしていない状態でも法人の事業運営上の重要事項に参画しているかどうか】で判断するというものがあります。具体的には、法人の経営方針などの判断に参加している場合にはみなし役員の認定を受けるリスクが出てきます。
持ち株判定の例(甲グループ20%、乙グループ20%、丙グループ20%、その他40%で従業員は甲グループに所属している甲の娘の夫)
-50%超基準
甲グループ、乙グループ、丙グループで60%>50% ∴満たす
-10%超基準
甲グループ20%>10% ∴みたす
-5%超基準
娘の所有6%>5% ∴娘の夫はみなし役員
以上のように、株主の親族に至るまでみなし役員判定は広範囲ですので、判定を行ってみることをお勧めいたします。